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木下さん、「昼スナック」って一体何ですか? (ゲスト: 木下紫乃さん第1回)

PLAZMA TALK #4|株式会社HIKIDASHI 代表取締役 木下 紫乃氏

Arm Treasure Dataでエバンジェリストを務める若原強が各界注目のゲストを招いて対談する「PLAZMA TALK」。今回のゲストは、株式会社HIKIDASHI 代表取締役であり、「スナックひきだし」という謎のスナックのママでもある木下紫乃さん。今回は、スナック×デジタルをテーマに木下さんと考えていきます。
「何も計画はないのが私の人生、人生全てが実験」と豪語する木下さんのもとには続々と悩める人々が集まっています。若原をして「絶妙な場」と言わせしめる「スナックひきだし」とは、一体どんな場所なのでしょうか。本対談は3回に分けて配信いたします。
第1回目は、「昼スナック」、「スナックひきだし」に関して伺います。

Topics

バブル世代を元気づける/どういう場が求められているのか/バーのアイドルタイムをスナックに/R45でモヤモヤを抱えている人限定のスナックがスタート/何もテーマはない、というスタート/知り合いの知り合いまででギュウギュウに/「昼スナ」の誕生/120回をこえるスナック営業/「スナックやればいいってわけではない」/ママはファシリテーター/自然に本音を引き出す/今まで会うはずがなかった人たちが出会う場ができてきた/まず、どんなことで悩んでいるかを知りたかった/来た人が勝手につながる状況が出てきた/隣にいる人のリアリティから生まれる気づき/次の進路の背中が押された人も多い/自分自身の意思決定/「うまく行かなかったら変えればいいだけ」/人のチャレンジを応援する場/「無責任」/「図書館かよ」/サードプレイスの理想形?/オフィス什器のカウンターにママもセットで売る

Shino Kinoshita: President, HIKIDASHI Co., Ltd.
Tsuyoshi Wakahara: Evangelist, Arm Treasure Data
Recording: 2020/04/14

※収録はオンラインにて行っています。一部背景に環境音が入っている箇所あります。ご了承ください。

若原 皆さんこんにちは。トレジャーデータの若原です。様々なゲストをお招きしてデータ活用などについてお話をするArm Treasure Dataの「PLAZMA TALK」。今日の素敵なゲストは、株式会社ヒキダシ、代表取締役社長の木下紫乃さんをお迎えしています。木下さん、よろしくお願いします。

木下 よろしくお願いします。

若原 木下さんは「スナックひきだし」という謎のスナックをされていて、聞くところによると昼夜問わずビジネスパーソンが出入りしているみたいな噂も聞くんですけど、今日は木下さんには、そもそもその「スナックひきだし」みたいな話だったり、あとは、スナックというのはリアルに集う場であるとすると、このCOVID-19の文脈でその場がどう変わってきているのかみたいな話、あとは、ゆくゆくはスナックというコミュニティとテクノロジーとかデータが掛け合わさっていくとどんな景色が見えていくのか、みたいな話も最後してみたいなと思っていますので、よろしくお願いします。

木下 よろしくお願いします。じゃあ私がスナックをやっている動機とか、その辺のお話ができればいいですかね?

若原 はい、お願いします。

バブル世代を元気づける

木下 さっきスナックとしてご紹介いただいたんですけども、私の本業はスナックのママではないです。株式会社ヒキダシという会社の名前を言っていただいたんですけども、もう4年前、2016年に「株式会社ヒキダシ」という会社を立ち上げて、何をやりたかったかというと、私は今年、年齢を言っちゃってあれなんですけど、52なんですけど、その世代の人たちって、私たち実はバブル世代と呼ばれた世代なんですけど、その世代の周りの人たちを見ると、結構いい感じの会社にいるのに、そろそろ役職定年を迎えるとかそんな感じで。あと会社の中で、この世代のリストラも最近始まっていたりするし、そういうのがなくても、もう俺なんて、とか、私とかも年だし、みたいな感じの人たちが多いなと思っていて。
 なんかそれって、自分の同世代だし、私の問題でもあるんだけど、「それってどうよ?」ってずっと思っていたところがあって。で、世の中見渡したとき、私らの世代に対して、「もっとしっかりしなさいよ」とか、「ちゃんとやろうよ」とか、「もっと面白いことやろうぜ」、っていう流れってあんまりないじゃん、って思ったんですよね。それで、ほかにもいろんな動機はあったんだけど、同じ世代なんだから、何か元気づけるっていうことをビジネスでできないかなって、割とふわっとしているんですけど、そんな気持ちで立ち上げたのがその「ヒキダシ」という会社なんですね。
 当初は私はそれまで10年ぐらい人材系の会社にいて、研修のプロデュースをやったりとか、コーディネーターをやったりとか、私が先生ではないんですけど、先生と企業をつなげるということをやっていたんですけど、そういう文脈から人材育成の仕事ということで、研修とかワークショップとかを40代後半や50代の人たち向けにやっていこうと思っていてやり始めたんですけど、全然人が集まらないんですよ。この世代ってそういうものに自分でお金を出して行くとかそういうのにあまり慣れていない。

若原 それはいわゆる研修とかセミナーとかそういうかたちのものってことですね。

木下 そうです。自分でもお金出さないし、企業さんとも組んで研修とかやっているんだけども、私がやりたいのは、自分らこれからどうしていく?ということを、割と本音でいろいろ話をして、それで人の話からヒントをもらって、みたいなことをワークショップとかのかたちでやりたいんだけども、企業でやっても、みんなやっぱり同じ会社で、今までもある意味ライバルみたいなかたちでやってきた人たちに、自分がこれから「実はパン屋やりたいんだよね」、とかって、あまりそういうこと言いづらいんですよね。で、会社の研修だと、後ろに人事部がいて、「あいつ、パンやりたいのか」、みたいな話になると、面倒くさいじゃないですか。辞める気なのか?みたいなね。だから、なかなか私が本当にやりたいことをそのかたちでできないな、としばらく1年ぐらい悶々としていたんですね。

どういう場が求められているのか

木下 じゃあ、どういう場だったら私らの世代の人たちって来るかなと。そういう人たちの意見も聞きたいしな、と思ったとき、ふと降りてきたのが、飲み会だったら行くよな、と。バブル世代だから飲むの大好きだし、そういう飲みの場というのがみんなすごく好きだから、その場を使って何かできないかな、と考えたんですよ。それで、それが2017年ぐらいかな?実は私45歳のときに大学院に、いい歳こいて行っていたんですけども。「慶応メディアデザイン」という、何学んでもいいよ、という、デザイン思考とかそういうのをベースにいろんなことを、「自分の学びたいことを学ぼうよ」という感じの大学院だったんですけど、そこに行ったんです。そこですごくいい経験ができて、若い人たちと交流できて面白かったんだけど、そのときに同級生だった方が、その方は実は、ソニーにいたんだけども辞めて、大学院に行くのと同時にバーを始めていたんですね。で、「そうだ、あの人がいた」と思いだして、その2017年は卒業して何年か経っていたんですけど、その人にまた連絡をして、「バーのスペースをちょっとイベンドスペースとして貸してもらえないか?」ということをお願いしたんです。

バーのアイドルタイムをスナックに

木下 で、2017年の夏頃から、私は会社の名前がヒキダシなので、「スナックひきだし」といって、これ看板なんですけど、ぼろぼろになってて年季を感じるんだけど、スナックひきだしという「バーチャルスナック」です。そこのバーは「チャーリーズバー」というちゃんとした名前がついてるんだけど、これまだ当時はペラペラの紙だったんですけど、紙の看板をその時間だけ、夜の7時半から9時半までペタッと看板の上に貼らせてもらって。そのバー自体は10時ぐらいから混むっていう場所だったので、その前のちょっとした時間を月に2回ぐらい貸してと言って、そういうのを始めたんです。

R45でモヤモヤを抱えている人限定のスナックがスタート

木下 今って、割とそういうスナック形式のイベントってだいぶ増えてきたと思うんです。結構若い人たちもそういうのやっていますけど、当時はあまりそういうのなくて。だから別に先駆者だと言いたいわけではないんですけど、「何じゃ、そりゃ」みたいな感じで。でもそのときは、このスナックひきだしというのは「45歳以上限定」。要は「R45」

何もテーマはない、というスタート

木下 で、「もやもやを抱えている人」っていう入店条件を決めて、それで月に2回ぐらいイベントを2時間ぐらい。イベントなんだけど、ここはすごく大事だなと思っていたんだけど、私らの世代って、「グローバルな課題について考える」とか、「これからのキャリアについて考える」、と言われた途端に、「そういうの違う」、「もう、私そういうのいいから」、ってなっちゃうので、「何もテーマはない。スナックです」、というかたちでイベントをスタートしたんですね。

知り合いの知り合いまででギュウギュウに

木下 実際、どうなるか正直わからなかったし、どうやって集客するかも、お金もそんなに掛けられなかったので結局「Facebookだけで集客」をしたんですけど、12席ぐらいの席が20人ぐらい埋まるというか、ぎゅうぎゅうになるぐらい人が来てくれて。で、私の知り合いだったり、私の知り合いの知り合いぐらいまでの距離ではあるんですけど、スナックなので、みんな横同士が仲良くなったりして。私もスナックのママ役なんですけど、本当にママのように振る舞い、何々さんってこういうことをやっている人だから、こういうことをやれる人がいるとつながれていいね、という、その人の他己紹介をしてほかの人につなぐみたいなことをやっていたんですね。

「昼スナ」の誕生

木下 で、3カ月ぐらい、結構人が集まるし、「これって、もしかしたら求められているものなのかな」と思い始めていて。ただ、月に2回という感じで、私が夜、空いているときという感じなので、不定期だったんですよね。で、不定期だとなかなか行きづらいとか、いつやっているかわからない、とか言われたり、あと意外に私らの世代って「夜出れない」という人も結構いて。それは家族がいて、昼間は仕事で忙しいから夜はいてほしいと言われるとか、あと女性だったらお子さんがいるので出づらいという意見もあって。でも世の中のイベントってほとんど夜なんだけども、夜、意外にそういうふうに出られない人もいるんだと思って、いろいろ考えたとき、「バーは、昼間は空いている」と。空いていたって別に家賃は払うわけじゃないですか。私が払っているわけじゃないんだけども。かつ、夜来れないんだったら「昼間」というのもありだ、と。で、不定期でわからないというんだったら、じゃあ毎週やるかな、と思って始めたのが「昼スナ」っていって昼間に。

若原 「昼間バージョン」ってことですね。なるほど。

木下 そうなんです。でも、昼間だとなおさら不定期だとわかりづらすぎるので、「昼間やるんだったら毎週やろう」と決めて。私も自営業だから週1日は、お客さんが来なかったらそこで本業も、パソコンさえあればできるんだからやる、ぐらいの気持ちでやろうかなと思って、そのバーのマスターに相談したら、「もちろんいいよ」と、「場所空いているからさ」、と言って貸してくれたのが2017年の夏ぐらいだったんですよね。

若原 微妙なさじ加減というか、すごくいいとこ取りしている感ありますよね。

120回をこえるスナック営業

木下 でもこれ、何も計画して考えているわけじゃなくて。私の人生ははっきり言って全く計画がないのが私の人生なんですけど。「人生全てが実験で、死ぬまで実験というのが座右の銘」でもあるんですが、思いつきでやってきて、その思いつきがたまたまマッチしたというだけの話で。これだって今後どうなるかわからないですし、今も状況変わってきているので、いろいろ工夫もしながら、と思っているんですが、前回で6回目かな、途中カウントの仕方が適当な時期もあったのでもうちょっと多いかもしれないんですけども、でも100回以上、週に1回やってきて、という感じで続けてきているというのが今の状況です。

若原 なるほど、そういう感じなんですね。さっき、研修だとなかなか自分のこれからやりたいことを相談しきれない、みたいな。会社っていわゆるオンの場であって、会社にとっての自分しか見せちゃいけない、みたいなところってあるなって改めて思いますし。

「スナックやればいいってわけではない」

木下 そうですね。そうだ、それで言わなきゃいけないことを忘れていたんですけど、「スナックをやりゃいいってものでもなく」て、私がもともとやりたかった「ミドルの私らの世代の支援」という意味で、それがどう結果に結びついているかというところなんですけど、スナックって皆さん、これ聞かれている方行ったことあるかどうか、若い世代の方って意外に行ったことないっていう人もいるんですけど、割と狭い空間に、まさに今で言う「3密」かもしれないんですけど、その空間にその場限りでお客さんが来て、たまに常連さんとかも何人かいたりして。で、その中で、本当に隣同士で座って、ママがいて、来た人みんなでわいわい飲みながらおしゃべりするっていう空間なんですよね。で、バーとはそこが違うなと私は思っていて。

ママはファシリテーター

木下 バーって2人でカップルで来たらカップルでお酒飲むし、1人でいる人は1人で飲むし、という感じで、あまりカウンターの中にいる人が話しかけたりというのはないと思うんですけど、スナックはそことは形は似ているんだけども全然違っていて、ママがいて、ママが意識高い系の言い方でいうと「ファシリテーターみたいな役割」を担って、来た人たちと1対1もあるんだけど、その来た人たち同士とつなげてみんなで何か話をしていくという場になっていると思うんですね。

自然に本音を引き出す

木下 で、もともと最初、私はR45というふうにして、その世代の人たちでちょっと悶々としている人たちに来てもらって、夜やっていたときは、そういう人らが「今ぶっちゃけどんなことで悩んでいるの?」みたいな話を、フランクな感じで、会社の名前じゃないですけど、引き出して。それで、「何々さんそれどう思う?」みたいな感じで、ワークショップでは決してないんだけども、そういうことをみんなで自然なかたちで話ができる、しかも本音で、ということを夜やっていたんですよね。

今まで会うはずがなかった人たちが出会う場ができてきた

木下 昼間も毎週やるようになったから頻度も増えてきたし、来る人も、お客さんがお客さんを呼んで来てくれて、常連さんもできてきたんだけど、常連さんだけじゃなくて、「誰々さんに面白いから行ってごらんと言われて来た」んです、って来た人と、たまたま行った常連さんとがつながって、「何やっている方なんですか?」「そんなことやっているんですか!」、といって、今まで会うはずがなかったような人たちが出会うというような場が少しずつ生まれてきていて。

まず、どんなことで悩んでいるかを知りたかった
来た人が勝手につながる状況が出てきた

木下 で、私はもともと「その世代の人たちが何を考えているか、まず知りたかった」というのがあるんですね。私から何かを与えるというよりも、「どんなことで悩んでいるかというのを知りたかった」というのがあって、それがまずスナックを作ったスタートだったんですけど、その「何を考えているか知りたい」というのもあるんだけども、来た人が勝手につながって、「こんな生き方世の中にあるんだ」、とか、「この人こんなことやっててこんなこと考えているんだ」、っていう、「自分に今までなかった選択肢が新しい人と会うことによって広がっていく」という場が勝手に生まれていく状況が、会を重ねるごとに出てきたんですね。で、それを見ていると、もちろん私はそこで茶々を入れたりするんですね。おしゃべり苦手な方だったら、「何々さんってこういうことをやっているんですよ」、ってちょっとつなげてあげるみたいな、そういった触媒の役割するんですけど、あまり私が、「キャリアとは」とか、「私らの世代は」とか、そんなの語らなくても、みんな勝手にほかの人の生き方から、「これは面白い」とか、「こういうのありなんだ」、っていうのを勝手にお互いがつながることで吸収し合っているという場が生まれてきて。

若原 面白いですね、その力学は。

隣にいる人のリアリティから生まれる気づき

木下 「え、じゃあこれでいいじゃん?」っていうふうに思って。結局、誰かがえらそうなこと言うよりも、よっぽど面白いことをやっている人を、ネットとかの情報じゃなくて、リアリティとして隣にいて、その人の話を聞くことによって、それもありなんだ、っていうふうに気がつけるという場が生まれてくることによって、「自分が考えている道が狭かった」とか、少なかったということに気づける人が少しずつ出てきたんじゃないかな、と思っている」というのが今の私の状況なんですよね。

若原 その最後の話、すごく面白いなと思って。特に、転職という機会もなく1社で勤め上げている人って、会社の中で起こっていることが自分の普通になっちゃっている、みたいなところあるじゃないですか。それは別にそれは悪いことじゃないと思うんですけど、「ほかの会社ではこうだ」とか、「会社員じゃない人はこうだ」とかっていう、そういういろいろなことを知った上で自分の位置を知るって、今後を考える上で大事だなと思うんですけど、それってさっきおっしゃられたみたいに研修とかセミナーとかでもなかなかそういうのってやれなかったり。

木下 そうなんですよね。

若原 すごく絶妙な場だな、というのは改めて思いました。

次の進路の背中が押された人も多い

木下 全然計算していたわけでもなんでもなくて、結果的にそうなっているだけなんですけど、本当に今若原さんおっしゃった通りで、私がどれだけ口で、「こういう生き方している人がいるからあなたの考えだけじゃないよ」、「そういう選択肢もあるよ」とか、いくら口で言ったって、やっぱり人間って「目の前にいないとイメージできないし」、「そうは言っても」っていうのあるじゃないですか。でも隣で、いやいや「実は早期退職でコンサルの会社辞めて、健康にすごく興味があったから健康の仕事を今始めようとして、アルバイトをやりながらこういうこともやっているんですよ」、という人が隣にいたら、「それどうやって具体的にスタートしたんですか?」って聞けるし。で、「その道って現実的にありなんだ」っていうふうに、本当にしっかりとした「リアリティ」が見えますよね。それが、それを聞いた人の選択肢に1個加わると思うんです、隣にそういう人がいればね。だから、そういう場になれているのは、私はそこまで全く計算していなかったけれども、そういうのが作れたのはうれしいな、と思ってはいます。

若原 実際、そこにいらっしゃった方で、紫乃さんやほかにいらっしゃっている方とお話をして、進路を実際に変えたという方も結構いらっしゃるんですか?

木下 そうですね、直接的なのかはわからないですけど、ちょっとしたところで背中を押しているところは、それは私だけじゃなくて、そのときに会った人の話を聞いて決めたとかっていう人はいっぱいいますね。それこそ転職をそこで決めちゃった人もいたり、とか。

若原 もう「その場で」、ってことですか?

木下 「その場で」って、「何回か来ることによって決めた」っていう。あとそこで会った人の会社に行った人もいるし。それはでも私一切責任負えませんよ、みたいな話なんですけど。

自分自身の意思決定

木下 「最後、決めるのあなただから」、という話なんですけど、でもそういうセレンディピティみたいな出会いもあるし。実は一番多いのは、「自分は早期退職をしようと決めている」と。でも、それを言ったとき、例えば家族に相談すると家族はやっぱり心配じゃないですか。あまりにも近いし。「大丈夫なの?」っていい意味で心配してくれて、そういうふうに言うと。で、会社の同僚に言うと、同僚は同僚でちょっと距離が近すぎて、バイアスのかかった意見、同僚の意見もある意味リアリティがあっていいんだけど、「え、本当に?」みたいな感じになるじゃないですか。で、自分ではある程度、80%ぐらいは決めている。だから、誰かに(無責任に)じゃないですけど、「いいじゃん」っていうのを言ってほしいみたいな感じの人がよく来るんですね。
 私はポリシーとして、自分で決めたことというのは、それがどんな意思決定であっても、自分で決めたならそれはその人にとって正しいし、それがどんな内容であっても、もちろん公序良俗に反することはダメだけど、法律に反することはダメだけど、でも「自分で決めた進路は、その人が決めたんだから頑張りな」、「自分で決めたことだったら自分で上手く行かせることは自分でできるから」、って言ってあげたいと思っているし、自分もそうやって意思決定をしてきたから、それが例えば、世の中的に言うとリスクがあるものだとしても、「その人が決めているなら背中を押してあげる」というふうには決めていて。

「うまく行かなかったら変えればいいだけ」/人のチャレンジを応援する場

木下 それで上手く行かなかったらまた変えればいいだけだと思うんです。そういうふうな人が来て私も、「絶対それ決めたならやったほうがいいよ」、って言うと、周りも割と、そのスナックひきだしに集っている人たちは人のチャレンジを、「やりなよ」と言う人たちが多いので、「おめでとう」とか「卒業だね」みたいなことを言う人が多くて。

「無責任」/「図書館かよ」

木下 それはもちろん無責任かもしれないけど、今の日本の世の中ってチェンジしようとしたとき、「大丈夫?」とかっていう意見を心配してくれて言う人のほうが大多数だと思っていて。そういう意味では、ほぼ私が作っているコミュニティは「マイノリティ」だと思うんですね。でもそのマイノリティな世界に来て背中を押してもらうということを求めている人はいて、そういう人たちが噂を聞きつけて来てくれるということは多いですね。

若原 私、前職でオフィス周りのことをやっていたんですけど、働く場の話で言っても、「サードプレイス」みたいなことが結構出てきたりして。いわゆるシェアオフィスとかコワーキングスペースがサードプレイスだ、みたいな話もあったんですけど、中で起こっていることを見ると、コワーキングスペースと言っているのにみんなソロワークしていてコワーキングしていないというの、よくあるじゃないですか。

木下 そうですよね、あります。「図書館かよ」みたいな。

若原 そういう紫乃さんが作られている場というのが、ある意味「サードプレイスの一つの理想形」なのかなと改めて思いました。

サードプレイスの理想形?

木下 どうでしょうね。「応援をする場というのを作りたい」、「人のチャレンジを応援する場」というのを、最初はミドルシニア起点で始めているし、今もその世代の人たちって、挑戦するためにはいろいろ背負っているものが多い世代だから、勇気が要る世代でもあるので、その世代の人たちが来ることは多いんですけど、いまやその世代の人たちだけじゃなくて、もっと若い人たちも来てくれるし。そこは世代とかって敷居を全部取っ払っているんですけど。いずれにしても、新しいことをしようとするとどうしても、日本の社会っていろんな意味で「足を引っ張る」というか、「大丈夫か」という心配をしてくれる人たちが比較的多いと思うんで。それは、じゃあその人たちに心配してもらえばいいから、ここはあまりみんな心配しないで、「じゃあ次どうする?」っていう、そっちに向けてのチアアップとかエンパワーメントをしてくれる人たちが集まっているような場にしたいなと思って。そういう私の思いみたいなものがあって、そういう場作りをしているというのはありますね。

若原 よくわかりました。ありがとうございます。ちなみに、この「スナックひきだし」というのはどこでやられているんですか?

木下 麻布十番で私の大学院の同級生がやっている「チャーリーズバー」というお店があって、そこを木曜日の昼間2時から6時まで、4時間だけなんですけど、毎週木曜日だけ借りてやっているというのが「スナックひきだし」です。

若原 どこでですかと聞いておいてなんなんですけど、僕も実は一度お邪魔していて。そもそも紫乃さんがセミナーやられているところに僕がちょうどキャリアデザインみたいなことを調べている流れでお邪魔して、その「スナックひきだし」という存在も教えていただいて、今度一度行きますね、みたいな。

木下 そうです。真面目なセミナーをやっているときに。スナックも真面目にやっているんですけどね(笑)

若原 セミナーの中でひきだしを宣伝されていたから、2017年?

木下 2017年の夏前、春ぐらいかもしれないですね。まだ始めたばかりというか。

若原 そういう懐かしい出会いを経て、こんな対談をさせていただいているなんて、結構感慨深いですね。

オフィス什器のカウンターにママもセットで売る

木下 私、覚えているのが、若原さんの前職の会社さんが、いわゆるオフィス什器を売っている会社さんだったじゃないですか。で、「オフィスにカウンターを作ろう」っていう。展示会に私行かせていただいたとき、「ママもセットで売りましょうよ」、って馬鹿げた提案をしているのを覚えているんですけど、いまだに実は行けるんじゃないかなと思ってますよ。(笑)

若原 全然ありますよね。(笑)

木下 だってカウンターだけだと、企業にいる方って、「これどうしよう」、「使っていいのかな?」とか、隣同士で仲良しの人だけで来ちゃうじゃないですか。あそこにママもセットで売りつければ、ママが隣同士の人をつなげて、ママ何も知らないから、ママは外部の人がほうがよくて。「どんな仕事やってるのよ?」って言うのをセットで売るっていうのをあの会社さんに提案したいという夢はまだ捨てていないです。

若原 また改めて企みましょうか?

木下 ぜひやりましょう。

若原 ありがとうございます。

ーーーーーーー
最後までお読みいただきありがとうございます。
第1回は以上です。いかがでしたか?
木下さんとのトークは、第2回のコロナ禍のコミュニケーションは「使い分け」 (ゲスト: 木下紫乃さん第2回)へ続きます。

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トレジャーデータ株式会社

2011年に日本人がシリコンバレーにて設立。クラウド型データマネジメントソリューションを提供しています。日本では2013年から本格的に事業を展開し、デジタルマーケティングやデジタルトランスフォーメションの根幹をなすデータプラットフォームとして、すでに国内外400社以上の各業界のリーディングに導入いただいています。
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