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タイアップ広告は何を目指すべきか — 講談社「現代ビジネス」とpopInの試みから見えてきたもの

CASE STUDY|
株式会社講談社 第一事業局 コミュニケーション事業第一部 デジタルマーケティンググループ リーダー 松村 吏司氏
popIn株式会社 執行役員 西舘 亜希子氏

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広告主企業にとって、ターゲットとしている消費者にリーチする手段として、コンテンツマーケティングは重要な選択肢のひとつとなっています。そして、そのコンテンツマーケティングを展開するフィールドとして、コンテンツメディアは重要なパートナーであり、タイアップ記事広告はオウンドメディアだけではリーチできない潜在顧客にリーチする最適な手段のひとつです。しかし、実際にタイアップ記事広告を展開する場合、そのKPI設定は難しい課題です。一般的にはコンテンツのPV数やリンクのクリック数などで施策の良し悪しを判断するに留まり、より深い分析まで踏み込めないケースがよくあります。

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広告主企業にとって、ターゲットとしている消費者にリーチする手段として、コンテンツマーケティングは重要な選択肢のひとつとなっています。そして、そのコンテンツマーケティングを展開するフィールドとして、コンテンツメディアは重要なパートナーであり、タイアップ記事広告はオウンドメディアだけではリーチできない潜在顧客にリーチする最適な手段のひとつです。しかし、実際にタイアップ記事広告を展開する場合、そのKPI設定は難しい課題です。一般的にはコンテンツのPV数やリンクのクリック数などで施策の良し悪しを判断するに留まり、より深い分析まで踏み込めないケースがよくあります。

そうした課題に対して、ひとつの解決策に挑戦したのが、大手出版社の講談社と、メディア事業者などにコンテンツレコメンデーション製品を提供しているベンチャー企業popIn(ポップイン)です。実際にどのような試みを行い、どのような成果を生み出すことができたのか。株式会社講談社 第一事業局コミュニケーション事業第一部デジタルマーケティンググループに所属し、ビジネスメディア「現代ビジネス」の広告営業リーダーを務める松村吏司氏と、popIn株式会社のメディアセールス担当執行役員である西舘亜希子氏が、「媒体社・広告主から見たDMPを活用したタイアップ記事広告の検証」と題した講演の中で紹介しました。

3社が運用するTreasure Data CDPのデータを横断し、新たな指標に迫る

松村氏が広告営業を担当する「現代ビジネス」は、月間UUが平均約1000万、月間PV数が約7000万を超える、ビジネスパーソンから絶大な支持を集めるビジネス情報サイトだ。講談社現代新書を紹介する「現代新書」、自然科学の新書を紹介する「ブルーバックス」、金融情報サイト「マネー現代」と合わせて、知識・教養情報プラットフォームを形成している。popInは、もともとこの「現代ビジネス」にコンテンツレコメンデーションエンジンを提供していたが、今回は広告主として同社が開発・販売するプロジェクター付きシーリングライト「popIn Aladdin」を紹介するタイアップ記事広告を出稿。データを活用してその効果を多角的に検証しようと試みたという。

この施策の狙いについて、「タイアップ記事広告はページのPV、UUを報告するのが一般的だが、そこを深堀する仕組みが作れないかと考えた」と語る松村氏。具体的には「狙ったペルソナに届けられること」「広告の効果を長期的に継続すること」「コンバージョンを生み出すこと」「データを使った新たな価値を提供できること」「読了ユーザーはコンバージョンが高くなること」といった仮説を、データを用いて検証しようとしたという。

では、どのようにこの検証をしようと考えたのか。そこには、Treasure Data CDPの存在がある。「現代ビジネス」は以前からすべての記事ページのアクセスログをTreasure Data CDPで管理して、その活用法を模索していた。一方、popInもまたレコメンデーションウィジェットを通じてページの読了率を計測しており、データはTreasure Data CDPで管理していた。そこに、メディアレップであるCCI(サイバーコミュニケーションズ)がコンサルティングサービス「Data Current」を通じてTreasure Data CDPに収集し、管理していた属性データを加えることで、どのような人がタイアップコンテンツに接触した後クライアントサイトに遷移し、さらにアクションを起こしているかを把握できるようにした。コンバージョン計測のために新たに購入完了ページにも計測タグを入れ、トランザクションの計測も実現。複数のサイト、複数のデータベースを横断できるよう、データは「td-global-ID」によって統合分析をさせるようにしたという。

このような3社で運用するTreasure Data CDPのデータを「td-global-ID」で統合分析することによって、「クライアントサイト内の回遊」「運用型広告(Google Adwardsなど)とのコンバージョン比較」「間接コンバージョンレート比較(ポストインプレッションの動き)」「間接コンバージョンしたユーザーの時間軸(コンテンツ接触からコンバージョンまでの時間経過)」「タイアップ読了率とコンバージョンの相関性」「ユーザーの興味・関心(カテゴリー・著者・記事傾向)」「ユーザーの基本属性、企業属性分析」といった、これまでのタイアップ記事広告では把握することができなかった様々な指標を計測しようと考えたのだ。

データ分析から見えてきたこと — コンテンツ接触から136日後に購入というデータも

では、この施策を実施した結果、どのような効果が得られたのか。従来の広告指標で把握すると、決して良好と言える結果ではなかったという。クライアントサイトへの訪問率は9%。サイト内回遊率について、運用型広告は56%なのに対してタイアップ記事広告では15%。コンバージョン率は運用型広告が3.2%なのに対してタイアップ記事広告では0.7%。「タイアップからの直接コンバージョンについては非常に厳しい結果になった」と松村氏は振り返る。

しかし一方、西舘氏は「このタイアップ記事広告についてはコンバージョン数、コンバージョン率についてはフォーカスしていなかった。すぐにコンバージョンに至らなくても、今後運用型広告などをきっかけに再びコンテンツに接触し、購入を後押ししてくれればと考えていた。この結果に関してはネガティブにはとらえていない」とコメント。むしろ、非常に興味深いデータが次々に明らかになったのだという。

そのひとつが、コンテンツ接触からコンバージョンまでの時間経過だ。初回訪問から49日や76日経過後など、長期間経ってから購入したケースがいくつもみられ、最長で136日後に購入したというデータも。加えて、閲覧から即購入している場合など印象的なコンバージョンに関しては、実際にどのような人が購入したのかという属性分析もできるようになったという。

「popIn Aladdinが展開する他の広告施策を展開していく中でタイアップ記事広告に再接触し、タイアップという信頼性の高い情報がユーザーの背中を押してくれた。間接コンバージョンでコンテンツの貢献度を見ていくことが重要だ」(西舘氏)。

また、現代ビジネスとpopInと組んだからこそできた分析もあったという。それが、読了率に関する様々なデータ分析だ。例えば、高い読了率のユーザーはコンバージョン率が0.09%高く、サイト遷移率も9.86%高かった。この点についても、西舘氏は「過去に高い読了率のユーザーのほうがブランド好意度やNPS(人に勧めたくなる)が高いというデータが取れていたが、それをコンバージョン率という生のデータではじめて検証することができた」と評価。松村氏も「しっかりと読んでくれたユーザーのほうがコンバージョンしていることがわかった。しっかりとデータ分析してどのようなコンテンツを作り求めているユーザーに適切に届けることができるかを考えることが重要であることが改めてわかった」と語った。

タイアップ記事広告が、ビジネスの方向性を検討するきっかけに

データ分析から見えてきたことは、これだけではない。それが、CCIのデータを活用したユーザーのインサイト分析だ。popIn Aladdinは、実勢価格7万9,800円と比較的高額な商品で、現代ビジネスのサイトの特徴を踏まえると新しいものへの感度が高い男性が関心を持つと考えられる。しかし実際には、タイアップ記事広告からのサイト訪問者はサイト全体よりも女性の比率が高く、年齢層も高いという結果に。また、世帯年収も1200万円以上の所得者層だけでなく400万から800万の所得者層もサイト全体の傾向を上回っており、7万9,800円という定価に対して関心の高いユーザー層に届けるにはどのような売り方が適切かを考える契機となったのだという。

「タイアップ記事広告を公開したときにはまだ製品が世に出ていなかったが、実際にユーザーに届けてみると400万から800万の所得者層も関心が高いことがわかり、販売方法で分割払いを検討したり、サブスクリプション型プランの導入を検討したり、ユーザーに買いやすい環境を作るためにはどうすればいいのかというビジネス全体の方向性を考える良いきっかけになった」(西舘氏)。

この気付きは、タイアップ記事広告が何を目指すのかという課題に対するひとつの答えを示唆している。つまり、タイアップ記事広告を通じて関心の高いユーザーのインサイトをデータで分析することで、ビジネスそのものをブラッシュアップする方向性を模索するという考え方だ。松村氏は次のように説明した。

「クライアントがプランニングした製品のペルソナに対して最適なコンテンツを作り上げて届ける。そのうえで、認知やコンバージョンだけでなく顧客に新たな気付きを与えることができることが大きいのではないか。加えて、ターゲット(関心の高いユーザー層)の再確認ができれば、他のコンテンツメディアを活用した新しい展開もできる。それが、総合出版社の強みを活かしたマーケティングになる。今後はドメインを横断した読者の分析、クライアントやサードパーティのデータを活かした分析をさらに深めていきたい」(松村氏)。

松村氏は、これからのタイアップ広告が担える要素について、ブランド・信頼性の担保、適切なペルソナへのリーチ、データ分析による市場理解の3点を挙げ、「データを活用してクライアントと目的を共有していきたい」と意欲を見せる。そのうえで、継続的な読者へのリーチ力・信頼性を作り続けること、クライアント・代理店・媒体社でプランニング全体のポジションを共有すること、タイアップ記事広告の品質・結果に対するコミットメント、クライアントとデータで繋がっていくというパートナーシップの構築が、タイアップ記事広告をより良くする要素に挙げた。

「講談社の社是は、『おもしろくて、ためになる』。面白い企画を作れる人は、私のバックにたくさんいる。そうした編集者だけでなく、popIn、トレジャーデータ、広告代理店など様々なパートナー企業と協力しながら、みんなで一緒に面白くてためになるタイアップ記事広告をこれからも作っていきたい」(松村氏)。

トレジャーデータ株式会社

2011年に日本人がシリコンバレーにて設立。組織内に散在しているあらゆるデータを収集・統合・分析できるデータ基盤「Treasure Data CDP」を提供しています。デジタルマーケティングやDX(デジタルトランスフォーメション)の根幹をなすデータプラットフォームとして、すでに国内外400社以上の各業界のリーディングカンパニーに導入いただいています。
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