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なぜいまD2Cなのか? キーワードは「カスタマーサクセス」

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2020年12月9日(水)・10日(木)に開催されたD2Cのビジネスモデルを深堀りしていくイベント「PLAZMA D2C」。当イベントのパートナーである、株式会社顧客時間の3名に「D2C」についての質問に答えていただきました。なぜいまD2Cなのでしょうか?

奥谷 孝司 氏 岩井 琢磨 氏 風間 公太 氏
  • 株式会社顧客時間
  • 共同CEO 取締役
  • オイシックス・ラ・大地株式会社 執行役員 Chief Omni-Channel Officer
  • 奥谷 孝司 氏
  • 株式会社顧客時間
  • 共同CEO 代表取締役
  • 岩井 琢磨 氏
  • 株式会社顧客時間
  • チーフプランナー / 広報統括
  • 風間 公太 氏

<質問>

 

質問1:なぜいまD2C化すべきなんでしょうか?

奥谷 孝司 氏

奥谷:ひとつは、まだまだデジタル活用によるD2Cに本気で取り組んでいる企業は少ないので、ファーストムーバーになるという意味でも「D2C化すべき」だと思います。
また、このコロナ禍において、顧客と企業の関係を改めて見つめ直すタイミングに来ています。今こそ「D2C」という発想で、デジタル活用によって顧客とつながる”ものづくり”をしていくことが、顧客体験と企業の進化につながるのではないかと思います。なので「いつやるか?今でしょ!」ということでやっていただけるといいのではないでしょうか(笑)

岩井 琢磨 氏

岩井:「直接顧客とつながる”ものづくり”」とおっしゃいましたが、それはコロナ後に始まったことではないですよね。

風間 公太 氏

風間:そうですね。ただ特に昨今のコロナの影響で、リアルな場所を起点としているビジネスでも、自分たちがお店をやりたくても今までのようにはできないという状況です。そうした中で、デジタルの接点を顧客との間に持ってないと、自分たちが伝えたいことも伝えられない。逆に言うと、顧客からのリアクションも得られない。なので、まずデジタルでどうつながっていくかっていうことが、改めて重要視されている気はしますね。

質問2:D2Cの必勝パターンってありますか?

奥谷 孝司 氏

奥谷:「必ず勝つパターン」というのはないのではないでしょうか。
ただD2Cにおいて、やめてはいけないのは「顧客基点」であること。全てのビジネスがそうですが「顧客のために」ということ。よりそう思って取り組めるかどうか、というのは重要でしょう。

岩井 琢磨 氏

岩井:「こうすれば成功する」という必勝パターンはない、ということですが、一方でD2Cを考えていくときのプロセスとして「こういうものが大事だ」というのはありますよね

奥谷 孝司 氏

奥谷:それは、奥谷・岩井の書籍「世界最先端マーケティング」 に載っている「エンゲージメント4P」のフレームワークを使っていただけるといろいろわかります。今回の「PLAZMA D2C」でも、詳しく説明しておりますので、ぜひお買い求めいただければ幸いです!(笑)

岩井 琢磨 氏

岩井:宣伝を入れないの、宣伝を。

風間 公太 氏

風間:まさに今回「PLAZMA D2C」に登壇してくださる事業会社さんの話を聞くと、事業領域は全く違います。また最初から「D2Cをやろう」と始められたところもあるし、そうじゃないところもある。ただ結果的に、顧客基点で取り組んだことがD2C型のビジネスモデルになって、成功されてるということかなと思います。

岩井 琢磨 氏

岩井:私は、YAMAPさんの取り組みがすごく好きなんです。顧客とつながってるからこそ、「こんな提案してお客様に受け入れていただいた」事例もすごくあって、それが一つの必勝パターンなのかな、と。顧客基点で、どんどん新しい提案をし、データを通して顧客理解をして、次の顧客体験へ戻していくこと。これはひとつの、モデルとしての必勝パターンと言えると思いますね

質問3:D2Cのよくある失敗パターンは?

奥谷 孝司 氏

奥谷:まだ成功も失敗もないとも言えるかな、と思います。
ただ、よく聞かれる「D2CとECの違いって何?」というのは、今回の「PLAZMA D2C」のKEYNOTEで詳しく説明しています。何が違うか、失敗しないためにはどう考えるべきか。ぜひKEYNOTEをご覧いただければと思います。

それからD2C事業を始めるうえで大事なことは、まさに経営者のコミットメントですね。これまでは自社が築いたアセットを使って、ブランドを最大化したり、オペレーションを効率化したりすることによって成長を目指してきました。ただ、そうやって事業規模を効率的に追うほど、提供する商品サービスと顧客との距離は遠くなるわけです。

そのことを、我々は「フロー型のマーケティング」と呼んでいます。プロダクトありきで、よい価格、よいプロモーションを行い、あとは売り場に並べる。これがこれまでの一番効率的なマーケティングの考え方ですが、商品サービスは売り切りとなり顧客との距離は遠くなるわけです。なので「これを引き戻して顧客と直接つながる」という強い決意がリーダーにないと、D2Cは成功しない
だからこそ、ベンチャーはよりD2Cを実現しやすいのかもしれません。意思決定においても少ないステークホルダーでできるわけですから。

顧客に向き合うことは、正直つらいし、怖いこともいっぱいある。これに生半可な気持ちで取り組むと良くない。「顧客と本気で向き合う勇気があるか」です。ちゃんとデータやファクトを積み上げて、向き合い改善する胆力があるか、というところが成功への近道であり、失敗を回避する要諦ではないかなと思います。

岩井 琢磨 氏

岩井:事業としてD2Cをやっていくときに、どういうKPIをその組織の中で持つべきかは、今回の「PLAZMA D2C」に登壇される皆さんも論点にされていて、組織の考え方を変えてこられていると思います。そのあたりもぜひ、セッションを聞いていただきたいと思います。

奥谷 孝司 氏

奥谷:そうですね。最大のKPIにすべきは自社の売上だけではなく「カスタマーサクセス」でしょうね。「カスタマーサクセス」はBtoBワードですけど、BtoCでこそ本当はもっと言わなきゃいけない。「顧客の真の成功とは何なのか」ということを、メーカーと小売も考える。こういったことから自社のD2C事業とは何かを考え始めるのも、いいかもしれませんね。

風間 公太 氏

風間:事業規模を追うだけでは、マス的アプローチと同じになってしまい、せっかくのD2Cが持つ利点がビジネスへ生かせなくなってしまうと思うので、そういうアプローチの部分も非常に大事かなと思いますね。

質問4:これぞD2Cのカスタマーサクセス事例!と感じた体験は?

風間 公太 氏

風間:私は、今回の「PLAZMA D2C」に登壇いただくスナックミーさんで、これを感じています。毎月、我が家にお菓子が届くと家族で取り合いです。こちらの嗜好に応じたものが届くわけですけども、それでも何が実際届くかというのは、開けてみないとわからないっていうワクワク感があります。お菓子にまつわる冊子も含めて、よい体験になってるのを感じます。

岩井 琢磨 氏

岩井:自分の体験ではないですが、先ほどもお話ししたYAMAPさんの事例は、まさに「カスタマーサクセス」だと思います。YAMAPさんが提供している、YAMAPユーザー同士がすれ違ったときに相互に位置情報が記録されるというサービスがあります。実際に、遭難された時にその記録があったことで助かったケースがあるんです。(参考記事:みまもり機能が、登山者の命を繋ぎました )

単に「便利である」ということを超えて、登山の中で最も重要なことを顧客に対してサクセスとして届けている。YAMAPさんが設定している顧客価値にブレがないのを感じます。

奥谷 孝司 氏

奥谷:結局、皆さんの記憶に残るものは、全部「体験」ですよね。企業と顧客とのつながりで生まれる体験に、カスタマーサクセスがある
先ほど話のように、商品売上100億がKPIではなく、体験価値の総和が100億になればいいわけです。そこまでの道のりとして「個の顧客への、一つひとつの優れた体験」を提供していくことが、やはり大事なのではないかと思います。なので「顧客はみんな、意外とすでに体験志向である」ということが、D2Cをやっていく上での肝じゃないでしょうか。

岩井 琢磨 氏

岩井:顧客をいかに囲い込むかじゃなく、顧客にとって使い続ける理由はどこにあるか、という視点ですね。

奥谷 孝司 氏

奥谷:まさに「つながる理由」ですよね。

 

トレジャーデータ株式会社

2011年に日本人がシリコンバレーにて設立。組織内に散在しているあらゆるデータを収集・統合・分析できるデータ基盤「Treasure Data CDP」を提供しています。デジタルマーケティングやDX(デジタルトランスフォーメション)の根幹をなすデータプラットフォームとして、すでに国内外400社以上の各業界のリーディングカンパニーに導入いただいています。
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