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リーンスタートアップによるMVPとは?

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カスタマーコンサルティングチームの黒柳 将です。

以前に『リーンスタートアップ型(仮説検証型)の推進アプローチとは?*1)』という記事の中で、アメリカの起業家エリック・リース氏(Eric Ries) が2008年に提唱した効率的に製品開発や新規事業開発を進めるフレームワークを簡単に説明させて頂きました。今回はリーンスタートアップ手法の重要な構成要素の一つであるMVP(Minimum Viable Product:利用可能最小限の製品)をご紹介させて頂きます。

MVP(Minimum Viable Product:実用最小限のプロダクト)とは?

この言葉は、2001年にハイテク製品開発のための経営コンサルティング会社SyncDev, Inc.の創業者であるフランク・ロビンソン氏(Frank Robinson)によって定義されて、その後にエリック・リース氏などの書籍や記事によって広く浸透したと言われています。

では、彼はこのMVPをどのように定義したのでしょうか?SyncDev, Inc.のサイトでは下記のように述べられています。*2)

” We define MVP as that unique product that maximizes return on risk for both the vendor and the customer.
(私たちは、ベンダーと顧客の双方にとって、リスクに対するリターンを最大化するユニークな製品をMVPと定義している。)”

こちらに加えて、下記のようにも説明されています。

” Simply speaking, the MVP is the sweet spot in the upper left quadrant of ROI on the vertical axis and risk, which correlates directly to effort and time to market, on the horizontal axis.
(簡単に言うと、MVPは縦軸のROI、横軸の労力と市場投入までの時間に直接的に相関するリスクを設定した左上象限にあるスイートスポットです。)”


このように、彼らの定義によればリスクを最小限に抑えて、その中で最大限のROIをもたらす製品機能ということになります。まずは短期的な期間で成果を目指す視点を持ちつつ、その後の安定した品質の確保と更なる品質向上を図ったものになります。これは競合他社に先を越される余地を残さないようにする、競争優位性を持ち合わせた製品開発の手法とも言えます。

よって、この概念は決して、顧客に最低限の価値を提供する製品機能ということではありません。「価値(Value)」、「利点(Benefits)」、「特徴(Features)」という軸に於いて、顧客との合意形成のプロセス上に成り立つ実行可能(Viable)、且つバランスが良い製品機能でなければならないということを意味します。

リーンスタートアップとMVPの関係性は?

リーンスタートアップは、『Build(構築)』、『Measure(計測)』、『Learn(学習)』の3ステップを試行錯誤しながら繰り返すアプローチに基づいて進められます。はじめのステップは、解決すべき問題に対して出来るだけ早く、正確に計測・学習のプロセスに進めるための重要なフェーズであり、それを踏まえると、まさにMVPの概念そのものはリーンスタートアップの中核を担うと言えるのではないでしょうか。

MVPの第一の目的は、製品アイデアやコンセプトが市場からどのように評価されるかを見極めるテスト工程になります。冒頭で述べさせて頂いた通り、無駄な時間と労力を最小限に抑えるつつ、最初の顧客に製品機能を提供することで最終的な開発ゴールに向けて最短ルートを目指すリーンスタートアップの重要な構成要素の一つでもあります。

しかしながら、ここまでリーンスタートアップやMVPのコンセプトが浸透しているにも関わらず、成功事例として語られるのはスタートアップの事業やサービスの文脈が大半のように思われる。それ以外のMVP開発は苦労している印象すら感じられます。その背景には、一般的に過去の成功体験が足枷になって、イノベーションに繋がる大胆なアイデアや従来と異なるアプローチや手法は躊躇されて、否定的な捉え方になりがちなことに起因するかもしれません。

このアプローチや手法が必要とされるケースでは短期的に収益貢献に繋がらないことが多いため、主力事業の関係者からの評価を得にくいという問題も相まって社内の「異端児」としてみられ、プロジェクトメンバーは肩身が狭い思いをすることも多いかもしれません。しかしながら、本来は異質なものを取り入れたり、多様性を受け入れたりすることが、イノベーションに繋がるとも言えるのではないでしょうか?やはり、ここでも利害関係者を巻き込む計画が成功の鍵を握っていると考えます。

さいごに

多くの課題意識を持った経営層及びマネジメント層は、業務の効率化によって組織やビジネスモデルを変革することを目的に据えており、その成功のための道筋をデジタルトランスフォーメーション実行で最適解を見つけようとしております。その文脈では、今後さらにリーンスタートアップやMVPの概念は代表的な手法の一つとして活用するシーンが増えて来ると思われます。今回のような簡単な紹介でもカスタマーサクセスチームの持つ情報を提供していくことで、少しずつでもDX推進の成功に繋がれば幸いです。

*1) https://plazma.red/user_engagement/howto/0276
*2) https://www.syncdev.com/minimum-viable-product/

黒柳 将

Customer Consultingチーム

システムインテグレーター(SIer)のサーバーサイドエンジニアとしてキャリアをスタート。自動車メーカー、大手人材サービス会社や大手出版社等のWebアプリケーション開発を通して、Oracle Databaseを代表とするRDBMSチューニング、データモデル/テーブル設計およびシステム設計、Java開発(Unix)、運用保守の業務を経験。エンジニアやITコンサルタントの業務の中でデジタルマーケティングの世界に触れることが多くなり、2004年にデジタル広告ビジネスを統合的に展開する博報堂系列の会社に転職し、デジタル領域におけるマーケティングツール活用のコンサルティングや導入支援、外資系ベンダーとのアライアンスの業務に約7年ほど従事。その後、2011年にアドプラットフォーム提供企業Sizmek社(吸収合併により、現Amazon社)の日本法人立ち上げ時にボードメンバー、カスタマーサービス部門の統括として参画。大手外資系消費財企業や自動車メーカー等の多くの広告主とデジタル広告の計測から潜在顧客の行動フローを可視化するアトリビューション分析、メディアとの広告商品開発、パートナーアライアンス等のプロジェクトを推進。また、既存顧客に応じたカスタマーケア提供や自社プログラマティック・バイイング運用の指揮を執る。2017年2月に成長戦略の一環とする日本事業の譲渡によってYahoo!JAPANに移籍。2018年7月、トレジャーデータに参画し、大手通信会社のABM戦略におけるCDP導入および施策実行、自動車メーカー等へのデータ活用のコンサルティング業務に従事。シニアマネージャーとしてカスタマーコンサルティングチームを率いる。

得意領域 : デジタル広告、プログラマティック・バイイング、アドテク、キャンペーン設計・計測、ABM、プロジェクトマネジメント

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