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DXにおけるデザイン的な視点 – デザインの有効性について –

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カスタマーコンサルティングチームの矢戸 政法です。

データ活用を「デザイン」する

データを活用してクリエティブ・デザインを最適化しようという動きが広告業界界隈で数年前からありますが、今回はそのようなお話ではありません。期待してしまった方がいたらすみません。ここ数年のデジタル・トランスフォーメーション(DX)の動きやデジタル化の加速を産業革命と捉える向きもありますが、この動きはデジタル/データを使って企業の活動をRedesignする、デザインし直す動きであり現在の企業活動に最適な形に修正する動きだと個人的に思っています。

今回はデザインの基本的な考え方とDXにおけるデザインの役割について考えてみたいと思います。デザイナーという職種は奇しくも産業革命期に生まれたもので、産業革命期のデザインの役割を考えると今現在においてデザイン的な思考が役に立つことにお気づきになるのではないかと思っています。

ではまず、18世紀から19世紀の産業革命期のデザインについてお話しましょう。

デザインの歴史

18世紀の産業革命以降、モノづくりの工程が大きく変化したのはご存知だと思います。産業革命期以前のモノづくりは職人が最初の工程から最後までを担っていました。つまり、どのようなモノを作るかを構想し、作り方を考え、実際に制作して製品が作られていったのです。実際には一人の職人がすべての工程を担うのではなく分業も広がっていきますが、職人はすべての工程に何らかの形で関わっていたようです。

しかし、工場制機械工業の時代になると構想・設計する担当者、製造ラインの設計者、製造の担当者というように分業が進み、各工程が分断されていくようになります。そして、生産の効率を高めるために各工程を専門に担う人材が配置されるようになり、それぞれの工程の職能が磨かれていくことになります。このような過程で製品の設計や造形を専門とするものが現れます。

その頃の人々の生活はどのようなものだったのでしょう。街には工場に勤める労働者が集まり、労働者は同時に生活者(消費者)になっていきます。労働者は工場で大量生産された安価な製品を購入し生活していました。労働者階級の暮らしは裕福ではないものの、自分の好みの製品を選択して購入していたようです。その証拠に使いやすいモノや造形的に美しいモノがよく売れ、逆に効率だけを求めて生活者にとって使いにくいものは売れないという現象が現れてきます。このような現象に気づいた生産者は生活者に受け入れられるように造形が整えられた製品を設計するように促します。

そのようにして設計者にデザインという役割が加わり、やがてデザイナーという職種が生まれてくるのです。産業革命において例えば自動車であればT型フォードのように大量生産することによって安価になり一般市民にまで普及する製品も生まれましたが、一旦普及すると更に売るための工夫が必要になります。そこで生産者はデザインを利用し買い替えの需要や人とは違ったものを持ちたいという生活者の欲求に応えるようになったとも言われています。。そのようにして設計や造形を担う専門家はデザイナーとしてその職能を認められるようになっていったのです。

産業革命期におけるデザイナーの役割

産業革命期に生まれたデザイナーという職能に期待された役割は、「売れる製品を作る」ことと言えると思います。レイモンド・ローウィのようなインダストリアルデザイナーは機関車や自動車から製品のパッケージに至るまで様々なモノにデザインを施し、売れる製品を世に送り出すことの一役を担いました。一方、人間工学に基づいた「使いやすいモノ」を作ることもデザイナーに期待された役割でした。

ヘンリー・ドレイフュスは人間の体や動作の特徴を研究して道具の設計に活かす「人間工学」を応用してダイヤルや受話器の形状を研究しベル社の電話機をデザインしました。この電話機はアメリカの家庭で見ない家がないと言われるほど普及したと言われています。

一方、工場で大量生産される粗悪品に対して危惧を抱く運動も起こります。ウィリアム・モリスが主導した「アーツ・アンド・クラフツ運動」は手仕事の良さを改めて提唱し、生活と芸術の融合を訴え、ヴァルター・グロビウスは「バウハウス」を設立し様々なプロトタイプデザインを世に送り出しました。残念ながらこのような運動は功を奏する事はなく大量生産・大量消費の時代が続くことになりますが、デザインや芸術の意義について後世に大きな影響を与えることになります。

デザインを取り巻く現在の環境

レイモンド・ローウィらの活躍によって製品にデザインが施されるのは今や当たり前の時代になっています。また、グラフィックデザイン、Webデザインなど人々の生活にデザインは欠かせないものとなっています。エレベーターのボタン一つにもデザイン施され、わかりやすい、使いやすいデザインのボタンやそうでないデザインのものまで私達の周りにはデザインが施されたモノが溢れています。

クリッペンドルフはデザインの定義を「モノに意味を与える行為」としています。一見、意図しているところは「モノ」のデザインだけのように聞こえますが、その著書「意味論的転回/デザインの新しい基礎理論」によるとデザインは製品に対する行為だけでなく、空間やコミュニケーション、社会に至るまで人々生み出す様々な「人工物」に対してデザインされるものと捉えていることが分かります。

彼の言葉を拡大すると、デザインとは「モノやコトに意味や価値を与える行為」と言えるかもしれません。つまりデザインは、かつては「モノを売る」という課題解決の方法であり、現代においてはモノやコトに意味を与えることで例えば「使いやすくする」「わかりやすくする」行為であり、環境問題や貧困などの社会的問題を解決する方法として活用すべき行為だと思うのです。さらにこれらの問題は一人のデザイナーで解決できる問題ではないため、現代のデザイナーに求められるのは共同して解決するための方法を導き出す中心人物たることだと考えます。

少々長くなりそうなので、今回はこのあたりで終了とさせていただき、次回はトレジャーデータ社のブログらしく「DXにおけるデザインの役割」について書いてみたいと思います。

矢戸 政法

Customer Consultingチーム

リクルートで営業/企画/編集の業務経験を経て、2000年にWeb/デジタル業界へ転身。以降、Webサイトのプロデュース、企業サイトの構築・運営、各種デジタルプロモーションの企画/制作からアド・サーバやDMP、アプリ計測ツールなどのデジタルマーケティング系のソリューションやAR、動画配信ツールといったメディア系のデジタルソリューションにいたるまで幅広くWeb/デジタルに関わるキャリアを持つ。様々な最先端のデジタル技術にふれる一方で、日本におけるマーケティングのデジタル化が進まない現状を憂い、それを打破する可能性をTreasure Data CDPに見いだし、2019年よりカスタマーコンサルタントとしてトレジャーデータへ参画。運輸・鉄道サービス企業や大手製造メーカー、保険会社のDX支援・Treasure Data CDP導入を主導。

得意領域 : 企画・施策設計、プロジェクトマネジメント

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