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N1分析を通じたカスタマージャーニー理解

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カスタマーコンサルティングチームの櫻井 将允です。
前回はペルソナ作成についてお話しました。ペルソナをターゲットごとに作った後には、施策に落とし込むにあたってカスタマージャーニーを理解することが重要です。今回は、ペルソナ作成に加え、カスタマージャーニーを理解するにあたって私がよく用いる手段である『N1分析』についてご紹介しようと思います。

『N1分析』とは?

『N1分析』とは、西口一希さんが「たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング」という本の中で紹介しています。この本のタイトル通り、1人の顧客を深く分析し、理解し、アイデアを事業や施策などに反映していくものです。

この分析の必要性や1人の人で良いのか?といった疑問への答えはこの本にお任せするとして、私がどのようにしてこの分析を用いているか?についてご紹介します。(1人の人をイメージする重要性は前回のペルソナ作成でも触れてますのでよろしければご確認ください。)

使う目的や利点は?

手段であることには変わりませんので、いつでも使えば良いというわけではありません。顧客を理解し、顧客起点のアクションを行うために用います。顧客のペルソナやカスタマージャーニーを理解するために、様々な視点(様々なデータを用いる)・様々な時間軸(時系列で追う)で深く分析します。

ペルソナについては前回の記事で触れましたように、セグメントの共通項を見つけ、人物の骨格を作ることが私は多いです。カスタマージャーニー理解も同様のアプローチを採ることが多いですが、データを解釈する中で困ることがあります。集団を分析しようとすると、どうしても平均化されてしまい、特徴がぼやけてしまうことです。時系列で見る際にも検討期間が様々であったり、触れる情報源も様々で憶測になりやすいです。

『N1分析』は1人の人を見るのでこのようなことが起きないという利点があります。そのため、骨格を作った後の肉付けとして『N1分析』を行うことが多いです。具体的な1人の人を分析するため、関係者全体がイメージを共有しやすい利点もあります。参考までに前回の記事でもサンプルとしてお見せしたペルソナを再掲します。

例:自動車メーカー向けを想定して架空で作成

ペルソナを作ったら、このペルソナの方がどのようにして車の購入に至るのか?、カスタマージャーニーを理解することが重要です。

カスタマージャーニーの理解と用いるデータ

カスタマージャーニーを理解するにあたって、どんなデータを使うのか?集団でもN1でも基本的には大きくは変わりません。変わるとすれば繋がっている/繋げられるデータが違う場合だと思います。カスタマージャーニーを描くにあたって、スタート地点からゴール地点までの道のりと各フェーズにおいて必要なデータを整理することから始めます。

スタート地点からゴール地点までの道のり

思い立ち〜購入・契約など目標までの全体フローです。
例えば以下のようなイメージです。


購入・契約までの検討期間の長さやプロセスによって異なる部分はあると思いますが、ある程度検討するようなものであればこのようなフローが当てはまるのではないでしょうか。ふと気になり始めたタイミングや興味を持ち始めたタイミング、そろそろ行動しようかなと思うタイミングや何かストレスを感じ始めたタイミングなどきっかけとなるフェーズが思い立ち期です。

もちろん一目惚れで特定商品をそのまま購入するケースもあると思いますが、他に何か候補や代替手段はないか?と探し始め、候補が複数見つかったら自分なりの評価基準で比較し、絞り込むと思います。最終的に本当に買う・契約するのか?という問いを含め意思決定し、ゴールへ。この全体フローに合わせて、どんな気持ちや行動が伴うのかを整理します。

各フェーズにおいて必要なデータ

各フェーズにどんな気持ちや行動が伴うのかを整理するにはデータが必要です。気持ちに関しては、本人に尋ねるしかないことが多いです。行動から類推することも内容次第ではできますが、大抵はインタビューやアンケートで確認することが多いと思います。

では、行動についてはどうでしょうか。例えば自社のWebサイトで車を紹介しているなら、どの車に興味があるか、どんな点に興味があるかをID特定できていれば知ることができます。また、興味関心やライフスタイル、ライフステージに関するコンテンツがあれば、それらの閲覧傾向から車購入に関連するコンテクストを理解できるかもしれません。

車に限らず、他の商材でも同様のことができると思います。(Web検討が少ないものなど難しい商材もあります)保有しているデータでカスタマージャーニーのどの部分を理解できるのか整理し、不足しているものや肉付けしたいものをインタビューやアンケートなどで補完するというのも有効だと思います。

データをどのように読み解くか

例えば以下のようなデータが集められ、特定の人を確認できる場合を想定します。

  • 会員情報(性別、年齢や会員ステータスなど)
  • 過去購入履歴(購入頻度や過去に購入した商品・変遷、購入価格帯など)
  • Web閲覧(最近Nヶ月以内の自社サイトWeb閲覧履歴、閲覧商品や興味事など)
  • 来店履歴(最近Nヶ月以内の来店履歴、来店目的など)
  • 提案商品履歴(来店した際に提案した商品、購入有無など)

会員情報は特定のお客様の基本情報となる要素です。
その他のデータは基本的に日付が紐づくデータなので時系列で整理ができます。


1つ1つのデータだけでは前後関係がわかりづらいですが、整理すると、


このように1本の線として行動を捉えることができます。また、一連の行動から何に興味や懸念を持っているのか推測することもできます。このような気づきに対して何ができるか?を考え、アクションに移していきます。重要なのは一連の行動から裏側にある気持ちを推測し、何をしたから前に進めたのか?/何をすれば前に進めたのか?まで突き詰めることです。

カスタマージャーニーを理解する際には各フェーズに関係する担当者を集めて、議論することが有効です。全フェーズを自身で担当し、理解できているなら別ですが、基本的にはそれぞれのフェーズに関わる人が存在すると思います。それぞれの仮説や認識と分析結果との共通点・ギャップを整理し、関係者間で共通認識を持つことが必要です。

まとめ

今回はN1分析を用いたカスタマージャーニー理解についてでした。保有しているデータの種類、データの質・量によってできること/できないことあると思いますが、N1分析であれば様々な種類のデータが繋がっているという顧客が存在するかもしれません。代表性など課題はあるかもしれませんが、仮説出しやディスカッションの刺激材として関係者で分析してみるのも有効なことが多いです。

顧客起点のマーケティングの第一歩として試してみてはいかがでしょうか。

最後までご覧いただきありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう。

櫻井 将允

Customer Consultingチーム

2006年に代理店系マーケティングリサーチ会社に入社以降、マクロミルやグリー、ヴァリューズなどマーケティングリサーチ会社、コンサルティング会社、事業会社にて様々な課題に対する調査分析を担当。リサーチプランナー、リサーチャーとして14年以上、1500件以上のプロジェクトを主導。通信、自動車、有料放送、ゲーム・音楽アプリ、化粧品、食品・飲料、不動産、保険など様々な業界のリサーチを経験。前職、電通マクロミルインサイトではマーケティングリサーチ業務に加えて、電通DMP(People Driven DMP)の開発・活用支援にも従事。意識データ×行動データの統合分析を推進。 2019年にトレジャーデータに参画。顧客データ、Webログデータ、購買データ、接客データ、位置データ等のデータを統合し、顧客理解、有望顧客特定、施策効果検証など多様なテーマの分析に従事。また、Tableauを用いたダッシュボード構築も担当。

得意領域 : データ分析(アンケート、Web・Appログ、POS、TV視聴等)、ダッシュボード構築

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