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先進事例から学ぶデータ活用戦略(楽天 / SBI / 山口フィナンシャルグループ)

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カスタマーコンサルティングチームの由川 優です。
これまで海外の先進的なDX推進事例をご紹介してきましたが、今回は国内の先進事例をご紹介いたします。海外の先進事例では平安グループRoyal Bank of CanadaTencentを紹介してきました。今回ご紹介するのは楽天グループ、SBIホールディングス、山口フィナンシャルグループのデータ活用戦略です。

楽天グループは全ユーザーのうち73.0%が2つ以上グループ内サービスを利用している

楽天は、2006年に楽天エコシステム構想を発表し「楽天グループ内の様々なサービスを有機的に結びつけ、ユーザーのグループサービス内での回遊性を高める」ことを目指しており、2サービス以上の利用ユーザー比率は、2007年の33.3%から2020年は73.0%まで増加しています。同比率は楽天ポイントの登録・利用状況を元に集計しており、ポイント管理のIDをベースに楽天グループ内のサービス利用状況を捕捉し、グループ内のあらゆるサービスへ相互送客していく意図が伺えます。

2009年から銀行や電子マネーなど決済サービスを展開し、楽天市場の利用者へインセンティブを付与したプロモーションにより楽天カード会員を獲得。楽天市場(オンライン)の購買実績だけでなく他店でのオフラインの購買実績も把握できる仕組みを構築しています。2014年には楽天モバイルを開始してからは楽天カフェやスマートスタジアム構想などネットとリアルをつなげるO2O(オンラインtoオフライン)サービスを展開し、購買活動以外のデータも収集可能なインフラへ事業展開しています。

楽天モバイル・楽天カード・楽天銀行での回遊性を高め、広告事業での売り上げを伸ばす

2020年度通期の決算説明会(2021年2月12日開催)では、ID、ポイント、ブランドを活用した楽天エコシステムの展開拡大、イノベーションの加速、迅速な意思決定体制の構築を目的に、新グループ体制へ移行し「楽天グループ株式会社」への社名変更を公表しました。同説明会では、楽天モバイルの新規加入者には楽天カード、楽天銀行への同時申し込みキャンペーンを展開(ポイントを付与)してグループサービス内での回遊性を高めていること、1億人以上の楽天会員とオンライン・オフラインのデータを蓄積した基盤をもとに、広告事業の売り上げが好調であることを公表しています。

1997年にECサイト「楽天市場」のサービスを開始して以降、サービスを拡充し続け現在70超のサービスを展開している楽天ですが、事業展開の順番にはオンラインの購買実績→オフラインの購買実績→購買実績以外の顧客データを収集する意図があると考えられ、収集したデータはポイントを中心に利用者を特定することで顧客体験の向上だけでなく、広告事業の展開に繋げていると考えられます。

SBIホールディングスは証券口座保有者の資産運用ニーズへ対応するため、他の金融機関との事業提携や株式取得によりサービスを拡充

SBIホールディングスは、証券業界では最も多い726万口座(2021年6月末時点)を保有しており、資産運用を目的とした顧客を囲い込むため、自社グループでのサービス提供には拘らず他社と事業提携や株式取得により顧客ニーズへ対応することを目指しています。例えば、相続関連サービスやクレジットカードの投信積立サービスはSMBCと提携し、プライベートバンキングサービス(SBIマネープラザ)では地域金融機関との共同運営店舗を展開しています。

また、金融商品の1つとして不動産金融事業へ参入するため、住宅開発事業を展開するアスコット社、不動産資産の管理・運用を行う東西アセット・マネジメント社の株式を取得。暗号化資産関連事業ではSBI VC トレードとTaoTaoを合併し、取扱通貨の追加を検討していることを公表しています。

SBIホールディングスは保有口座数を多さを強みとし、同口座を保有する資産運用目的の顧客ニーズを見越してサービスを拡充しています。自社グループでのサービス提供に拘らずスピーディーに証券口座の利便性を高めることで、より多くの利用を促すこと、自社ではリーチできない顧客を獲得することを両立し、多くの顧客データの収集・活用を目指していると考えられます。

山口FGは地域共創モデルの確立を目指し「生活・余暇支援」を行うスマートフォンアプリをリリース

山口FGは自治体や民間企業と連携し、地域課題解決を目的とするエコシステムを構築するとともに、エコシステムと山口FG内の各機能を有機的に連携させて収益化を図る方針を公表しています。同方針の実現に向け、2019-2020年度には、イネサス(福利厚生代行)、バンカーズファーム(農業法人)など5社を設立しました。

イネサスは山口FG主要エリアにおける人材流出・中小企業の高い離職率・地域内消費活性化に資する福利厚生サービスの提供を目的に、2021年1月27日法人設立されまし、2021年7月には地域内事業者へ従業員の「生活・余暇支援」を行うスマートフォンアプリをリリースしました。今後、加盟している幅広い業種の地元事業者様と連携し、地域内の広範な福利厚生ニーズへの対応を検討していくと公表しています。

アプリサービスに収集される各種データ(利用動向・人的属性) は、加盟店舗へ還元し、地域事業者様のデータドリブン経営を実現していくことを目指しており、福利厚生サービスを提供する加盟店は、イネサスからの利用データをサービス改善や新サービス開発に活用でき、イネサスは地域事業者のあらゆるデータを蓄積可能となります。どうデータは地域課題解決やエコシステムと山口FG各機能の連携に活用することができると考えられます。

エコシステム形成には長期的なビジョンと顧客体験の向上が必要

楽天はオンラインの購買実績だけでなくオフラインを含めたあらゆるデータを収集することを目指すとともに、ポイント付与などで顧客体験を向上させグループ内サービスの回遊を高めています。SBIは資産運用を目的とした顧客ニーズへ対応するため、事業提携・株式取得によりサービスを拡充することで更なる利用を促し、顧客データを収集しています。山口FGは地域課題の解決を掲げて福利厚生サービスを提供し、サービス提供事業者と利用者のデータを収集・活用することを目指しています。

いずれも短期での成果創出や顧客体験の向上は難しいかもしれませんが、長期的なビジョンを明確にするとともに、顧客体験・利便性の向上を両立させる取り組みであるといえます。今後も多くの業界でデータ収集・活用のためにエコシステム形成が進められると思いますが、ご検討の際は是非とも弊社メンバーへお声掛けください。

出典

楽天株式会社 : 2020年度通期及び 第4四半期決算説明会 (2021年2月12日) ビデオプレゼンテーション資料
https://corp.rakuten.co.jp/investors/documents/results/2020.html

楽天の歴史
https://corp.rakuten.co.jp/about/history.html

SBIホールディングス株式会社:2022年3月期 第1四半期 決算説明会(2021年7月29日)プレゼンテーション資料
https://www.sbigroup.co.jp/investors/library/presentation/pdf/presen210729.pdf

山口フィナンシャルグループ:2021年3月期決算 会社説明会(2021年6月14日)資料
https://www.ymfg.co.jp/ir/pdf/document/2020_2/ymfg_all.pdf

由川 優

Customer Consultingチーム

2007年にアクセンチュアへ入社し、銀行、証券、オートリースへのコンサルティングを経験。大規模システム開発のプロジェクトマネジメントを得意とし、PMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナルとしての国際資格)を有する。その後ガートナーへ転職し、ITテクノロジーのトレンドやグローバル先進企業の事業戦略について知見を深め、デロイトへ移籍。新たな保険会社の設立や、データ活用に特化した金融グループ子会社の設立を支援する中で、デジタル戦略の立案、計画策定、施策実行を経験。データ活用による既存業務効率化や、新サービス創出の知見を有する。金融業界を中心に先進技術の導入事例を調査・研究する職務にも従事。2020年にトレジャーデータへ参画。データ活用の施策立案やデータ価値を最大化するためのシステム全体像策定などを担う。

得意領域 : デジタル戦略立案、先進事例の調査・探索、プロジェクトマネジメント、コンサルティング

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