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iOS15のプライバシー保護強化の新機能(1)

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初投稿します。カスタマーエクスペリエンス部門のDirectorをしている髙橋 達です。

本記事では、2021年秋にリリース予定のiOS15にて新たに導入されるプライバシー保護強化の新機能*(1)についての紹介をします。また、新たなプライバシー保護機能を踏まえて、我々のデジタルマーケティングにどのような影響を与えるかを考察します。なお本記事は2021年8月時点での状況に即した内容となっており、実機を用いてのテストではなく、あくまで様々な外部サイトの情報をベースに記載しています。

プライバシー保護強化の新機能

  1. SafariでのIPアドレス保護機能
  2. Appleのメールアプリでのメールプライバシー保護機能
  3. アプリケーションのプライバシーレポート
  4. iCloud+ユーザ向けにiCloud Private RelayおよびHide My Email機能

それぞれの機能について紹介します。

SafariでのIPアドレス保護機能

iOS 15のSafariでは、デバイスのIPアドレスが既知のトラッカーから隠蔽されているようになり、トラッカーがIPアドレスから正確な位置情報を取得することができなくなります。*(2)

こちらのブログ記事*(3)の検証では、位置情報自体は取得できるものの、都市レベルのトラッキングの精度はなくなっていると考えられます。このことから、位置情報を使った広告配信やプッシュ通知への影響が考えられます。ただし、この保護機能はSafariのみに適用されるため、ネイティブアプリへの影響はありません。位置情報を使った施策をする場合には、ネイティブアプリを使った位置情報取得がより重要になってくると考えられます。

Appleのメールアプリでのメールプライバシー保護機能

CheetahDigital社の”メールマーケティング担当者への影響範囲”*(4)にて詳しく紹介がされているためそちらを参照ください。

ポイントとしては、メールプライバシー保護機能は、Appleメールアプリに導入され、メールの内容を自動でトラッカーに対して難読化させることができるようになります。これにより、Pixel Trackingを使った開封率の計測およびIPアドレスの取得などができなくなります。その結果、メールマーケティングにおけるKPIにてメールの開封率を利用している場合には、これが正確にトラックできなくなり、メール内のリンククリックによるコンバージョン率の計測などが必要になると考えられます。

Treasure Data CDPにてPixel Trackingを利用している場合にも同様の影響があります。Pixel Trackingにてメール開封の確認に利用している場合には、td_redirectパラメータ*(5)を利用し、Webサイト側にて計測できるようにすることを検討してください。

アプリケーションのプライバシーレポート

設定メニューには新しいセクションが導入され、アプリが通信した外部のドメインが強調表示されるようになります。*(1)


マーケティング施策への直接的な影響はありませんが、ユーザ自身が自分のデータがどこに送られているのかを本当の意味で確認することができます。そのため、ユーザ自身がサービスのプライバシーポリシーと実態のデータのやりとりの比較が簡単に行えるようになり、データの利用目的などをユーザに適切に公開していくことが益々重要になってきています。

iCloud+ユーザ向けにiCloud Private RelayおよびHide My Email機能

iCloud Private Relayは、iCloud+サブスクリプションの一部として提供される、新しいインターネットプライバシーサービスです。iOS 15のユーザーは、よりプライベートかつ安全にWebサイトにアクセスし、ブラウジングできるようになります。Private Relayは、SafariでのWebブラウジングとDNS解決クエリを保護し、Appの安全でないhttpトラフィックからユーザーを守ります。Private Relayを経由するよう設定されたインターネット接続では、ユーザーがいる地域にマッピングされる匿名化されたIPアドレスが使用されるため、ユーザーの正確な位置や身元が明らかになることはありません*(6)。

iCloud+に限らずSafariについてはIPアドレスの匿名化が行われるため、同様の影響が考えられます。また、現在はSafariだけの適用となっています。

Hide My Email機能を利用することで、オンラインフォームに入力するときやWebサイトにサインアップするときにランダムなメールアドレスを生成します。一意でランダムなメールアドレスが作成されるので、アカウントの設定やサインインプロセスに際して、App や Web サイトのデベロッパに個人用のメールアドレスが伝わることはありません。このアドレスはユーザとデベロッパを一意に特定し、<一意の英数字の文字列>@privaterelay.appleid.com という形式になります。*(7)

これはサービスやメルマガ単位で異なるメールアドレスの利用が増えていくことが考えられます。例えば分析目的で複数サービス間でのEmailによるユーザのUnificationをすることが難しくなるということが考えられます。複数サービス間でユーザ情報を紐づけるために、ユーザの同意を取るだけではなく、ユーザ送客を行うための仕組みをメール以外で行うなどの対応が必要になる可能性があります。

まとめ

iOS15によって導入される機能により、

  • SafariやメールでのIPアドレスを用いた位置情報によるターゲティングは有効性は低くなっていく
  • Apple Emailでは全てのメールが開封として扱われるため、開封率の意味がなくなり、KPIとしてはリンククリックなどによるコンバージョンベースでの計測に移行していくことになる
  • 何をトラッキングしているかの情報がユーザに明示的に提示されていくので、プラバシーポリシーとアプリの情報との間に差がないように適切に見直していく必要がある
  • ダミーEmailを使った仕組みが提供されるため、複数サービスを跨いだときのEmailのUnificationが難しくなっていく可能性がある

参考記事

(1) https://www.apple.com/newsroom/2021/06/ios-15-brings-powerful-new-features-to-stay-connected-focus-explore-and-more/
(2) https://webkit.org/blog/11940/pcm-click-fraud-prevention-and-attribution-sent-to-advertiser/
(3) https://www.wojtek.ch/advertising/campaign-tracking/safari-tracking-ip-address-protection-apple-ios-15/
(4) https://www.cheetahdigital.com/jp/blog/jp-apple-mail-privacy
(5) https://docs.treasuredata.com/display/public/PD/Tracking+Pixels#TrackingPixels-Usewith%3Cimg%3ETag
(6) https://developer.apple.com/jp/support/prepare-your-network-for-icloud-private-relay/
(7) https://support.apple.com/ja-jp/HT210425

髙橋 達

Director of Technical Support Engineering
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