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HOW TO TD(User Engagement)Treasure Data User Engagement

CDPプロジェクトを成功に導くキックオフとは

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カスタマーオンボーディングチームの小暮 和基です。

トレジャーデータではお客様のTreasure Data CDP導入をプロアクティブにサポートさせていただく有償サービスも提供しております。今から一年ほど前、僕もその担当部署(カスタマーコンサルティングチーム)に所属しており、チームメンバーと本稿のタイトルである「プロジェクトキックオフ」のフォーマットを作成しようと思案した時期がありました。

しかしながら、プロジェクトキックオフの項目例を紹介する記事は検索すればいくらでも転がっている一方で、プロジェクトキックオフの目的感の粒度がバラけていたり、なぜその項目が必要なのかを目的に紐づけて説明する文献はなかなか見当たりませんでした。

そこでTreasure Data CDP導入プロジェクトにおけるキックオフの目的、および必要な項目を改めて見直すことにしたのです。本稿ではその際に策定した内容についてご紹介させていただきます。Treasure Data CDP導入時のプロジェクトキックオフであることを前提としていますが、結果的には汎用性が高く他のプロジェクトにも応用できる内容になっているよう思いますので、是非ご参考いただければと思います。

プロジェクトキックオフの目的

多くの文献や記事にも記載があるように、プロジェクトキックオフの一義的な目的は「プロジェクト全体の生産力や推進力を最大化させること、ひいてはプロジェクトを成功させるため」であることを前提とします。(ここに異議がある場合はプロジェクト化する意義について見直す必要があるかもしれません)

全体の生産力や推進力を最大化させるために、プロジェクトキックオフでは「初動段階で誰に何を実施すべきか」が考慮される必要があります。その観点で抽出された要素が以下です。

  1. メンバー個々の生産効率を高める
    • メンバー内の判断軸を統一する
    • メンバー個々人に責任領域を把握させ、自分ゴト化と能動的関与を促す
  2. 情報を均質化しコミュニケーションロスや手戻りを防ぐ
  3. 必要なリソース・スキル・人財を確保する
  4. コミュニケーションにおける障壁やコストを低減させる
    • メンバー全員にプロジェクト全体構成やコミュニケーションの流れを把握させる
    • チームビルディング
  5. 直近の作業確認 / 依頼

メンバー個々の生産効率を高める

通常プロジェクトはチームで(特にCDPの場合はセクション横断で)組織されるケースが多いですが、プロジェクト全体の生産性を高めるためにもまずはメンバー個々人の生産性を高めていくことが必要です。そして「メンバー個々人の生産性を高めていく」ために、キックオフで達成すべき項目として以下の2点が挙がりました。

メンバー内の判断軸を統一する

プロジェクトタスクに限った話ではありませんが、作業を進めていけば何かしらの判断を迫られる場面に出くわします。しかし影響度が低い内容まで都度プロジェクト全体で判断をしていくわけにはいきません。判断軸をメンバーに共有することで、プロジェクトへの影響度合の把握も含めメンバー個々人に委譲し生産性を高めることができます。

キックオフでのインプット項目例

  • 事業課題
  • プロジェクト目的
  • プロジェクト課題(AsIs<->ToBeの差分)
  • アプローチ

メンバー個々人に責任領域を把握させ、自分ゴト化と能動的関与を促す

特に新しい取り組みでは責任領域が曖昧になりやすいものです。またプロジェクト全体の生産性を高めることを考慮すると、責任領域を単に線引きするだけでなく担当者に自分ゴト化してもらったり能動的関与を促すことが重要なのです。

キックオフでのインプット項目例

  • プロジェクト目的
  • 要件整理(ビジネス要件、システム要件、業務要件)
  • ロードマップ
  • 体制図 / 役割分担

※「プロジェクト目的」が上記判断軸統一でも挙がっているように、ひとつのインプット項目に対し複数の目的が込められる場合もあります

情報を均質化しコミュニケーションロスや手戻りを防ぐ

プロジェクト初期に起こりがちなのは、既に検討済みである内容を別の担当者が知らずに再度イチから検討し直したり、特定の情報が開示されていないために複数の人から同じ内容を質問されるなどで全体進捗が滞るケースです。これらはおよそ情報を均質化することで解消されます。

大事なことはプロジェクトの方針や既決事項だけでなく、プロジェクト運営に影響する将来的なリスク項目や未決事項も含めてメンバー間で共有することです。

キックオフでのインプット項目例

  • 制約事項(e.g. セキュリティ上の作業制約、ツール仕様制限など)
  • 前提(プロジェクトに必要なステータス仮説 e.g. A社との契約がこの日までに完了)
  • ロードマップ

必要なリソース・スキル・人財を確保する

これは特にCDPプロジェクトにおいて重要な要素で、プロジェクトの進行状況やフェーズによって必要なリソースやスキルセットが異なる場合があります。例えば導入初期ではITセクションが中心となる一方でマーケティング運用メンバーに多くタスクが集中することはありません。逆にインプリメント(=システム実装)があらかた完了すればマーケティングセクションが作業の中心となりエンジニアが負うべきタスクは減少します。

既存のライン業務と並行しかつ長期的な取り組みになりやすいCDPプロジェクトにおいて、各セクションからヤマ場を想定したレベルのリソースやスキルの提供を常に受けることは困難です。なので各領域責任者にプロジェクト計画(目的・取組領域・工程・スケジュールなど)を把握させ、遅滞なくプロジェクトを進行できるように工面してもらう必要があるのです。

キックオフでのインプット項目例

  • 要件整理(ビジネス要件、システム要件、業務要件)
  • ロードマップ
  • 体制図 / 役割分担
  • 日々の業務推進方法(会議体 / コミュニケーションチャネル)

コミュニケーションにおける障壁やコストを低減させる

『メンバー個々の生産効率を高める』の項でも触れたように、通常プロジェクトは普段の業務ラインとは異なったセクション横断型のチームとして組織されます。新たなプロジェクト組織の中でスムーズな連携を促すため、キックオフで達成すべき項目としてここでも2つの項目が挙がりました。

メンバー全員にプロジェクト全体構成やコミュニケーションの流れを把握させる

プロジェクトの全体像として構成図やメンバーごとの責任領域を明らかにした上で、メンバー間のコミュニケーションや連携手法について提示します。特に「進捗管理のやり方」や「課題のエスカレーション方法」はキックオフのタイミングで提示しておくことを推奨します。

キックオフでのインプット項目例

  • 体制図 / 役割分担
  • 日々の業務推進方法(会議隊 / コミュニケーションチャネル)
  • 進捗管理方法
  • 課題エスカレーション方法

チームビルディング

エイミー・エドモンドソン氏が提唱し米グーグル社が研究発表した「心理的安全性」に代表されるように、チーミングが全体パフォーマンスに影響を与えることは最近多くの人にも知られています。コミュニケーションにおける障壁やコストを低減すべく、チームビルディングの一環としてキックオフの場は役立ちます。

キックオフでのインプット項目例

  • メンバー紹介、責任者コメントなど

直近作業の確認 / 依頼

プロジェクトのキックと併せて足元タスクを具体作業として振り出していきます。ここでは「日々の業務推進方法」や「進捗管理方法」なども作業者に予め伝えることを忘れないようにしましょう。

キックオフでのインプット項目例

  • 体制図 / 役割分担
  • 直近タスク
  • 日々の業務推進方法(会議隊 / コミュニケーションチャネル)
  • 進捗管理方法

まとめ

ここまでプロジェクトキックオフの目的をお伝えさせていただきました。キックオフはプロジェクトに関与する全メンバーに対して詳細情報をインプットできることが好ましい一方で、キックオフは実施タイミングも重要であり場合によっては一部項目が検討中のステータスのままキックオフをセットすべき状況も十分あり得ます。そのような際にもぜひ本稿をご参考に事前準備すべき資料内容や収集メンバーなどを判断軸の一つとしていただけますと幸いです。

キックオフで展開する内容は『プロジェクトの計画』であり、曖昧であったり実現性の伴わない計画のままスタートしたプロジェクトはやはりどこかでスタックしたり成功までに時間を要しやすくなります。Treasure Data CDPのご契約企業様の多くは初めてCDPを導入することになりますので、豊富な経験をもつ専任メンバーがプロジェクト計画のチェックやキックオフに向け、サポートさせていただくオプションプランもございますので、導入後に不安がある場合はCDP検討時にご相談ください。

小暮 和基

Customer Onboardingチーム

インターネット広告の大手メディアレップにてWebメディアへの広告コンサルやadTechツールの導入を数多く手掛けた後、博報堂DYメディアパートナーズに出向。マスメディアのアセットを活用したデジタル事業開発やクロスメディアプロモーションを推進する専任担当として活動。その後、デジタル以外に領域を拡げるべく籍を移した外資系マーケティング会社では企業のマーケティング・ブランド戦略、プロモーション効果計測、マーケットリサーチなどに携わる。前職ではIoT製品を開発・販売するスタートアップ企業のマーケティング担当として、戦略立案から施策実行、自社メディアの運用や販売チャネル分析など幅広く担当(人がいないから全部やる)。2019年にトレジャーデータに参画。カスタマーコンサルティングチームを経て、2020年からはカスタマーオンボーディングチームに所属。

得意領域 : IoT、ペルソナ分析、ジャーニーに合わせた情報設計、効果検証

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