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ABMの逆ファネル構造と7ステップ

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カスタマーコンサルティングユニットの黒柳 将です。

前回は『コロナ禍で再注目されるABM(アカウント・ベースド・マーケティング)とは何ですか?)』という記事で、対面営業型を中心としたスタイルが崩壊する中、戦略的なアウトバウンド型の営業活動が欠かせないということと、以下のアカウント・ベースド・マーケティングにおける3つのタイプの定義をご紹介させて頂きました。

  1. Strategic ABM(戦略的なABM):
    “Creating and executing highly-customized marketing plans for individual accounts(個々の顧客向けに高度なカスタマイズされたマーケティングプランを作成し、実行すること。) ”
  2. ABM Lite(軽めのABM):
    “Creating and executing lightly-customized programs for clusters of accounts with similar issues and needs(類似した課題やニーズを持つ顧客群に対して、軽くカスタマイズされたプログラムを作成し、実行すること。) ”
  3. Programmatic ABM(プログラム化したABM):
    “Leveraging technology to tailor marketing campaigns for specific named accounts at scale(特定のアカウントに合わせた大規模なマーケティングキャンペーンをテクノロジーを活用し、大規模に実行すること。) ”

さらに、以下のような手順で進めることの重要性を述べさせて頂きました。

  • 営業とマーケティング部門で密接に連携する。
  • 重要な見込み顧客・企業を戦略的に特定する。
  • ターゲットとなる企業の購買もしくは決裁者を特定する。
  • アカウントレベルでの個別最適化されたプログラムやメッセージを提供する。

これらを踏まえて、今回は少しだけ掘り下げて説明していきます。

ABMにおける逆ファネル構造

アカウント・ベースド・マーケティングのアプローチは、以下のように従来のインバウンドマーケティングのファネルをひっくり返した構造になっています。
要するに、魚群のいる水面に大きな網を投げかぶせて漁獲するのではなく、釣りたい巨大魚を誘き寄せながら槍で狙い撃するようなものと例えられます。目的外の魚を捕獲してしまう混獲を減らし、漁獲効率の向上を図るようなものになります。
つまり、狭い範囲に焦点を当て、適切な見込み顧客に対して素晴らしい顧客体験を提供すれば効率的にコンバージョン率は上昇するという考えに​基づいています。

出典:2016年10月『#FlipMyFunnel with Account-Based Marketing by Sangram Vajre)』のコンテンツを編集・加工

ABM実行における7つのステップ

アカウント・ベースド・マーケティングに対する実行プランの作成方法として、2019年4月『Account-Based Marketing (ABM): The Art of Winning Leads(リードを獲得するための秘訣)』の記事では7つのステップが紹介されています。

Step 1: Identify Existing and/or New High-Value Accounts
(既存および新規の高価値な顧客層(企業)を特定する)
Step 2: Map Individuals Involved in Accounts
(顧客層に関与する個人のマッピング)
Step 3: Define and Create Your Targeted Campaigns
(ターゲットとなるキャンペーンの定義と作成)
Step 4: Pinpoint Optimal Channels
(最適なチャネルを特定する)
Step 5: Develop a Strategic Playbook
(戦略的プレイブックの作成)
Step 6: Execute Your Campaigns
(キャンペーンの実行)
Step 7: Measure and Optimize
(測定と最適化)

次はこれらの7つのステップを解説していきます。

Step 1: Identify Existing and/or New High-Value Accounts(既存および新規の高価値な顧客層(企業)を特定する)

まず既存顧客(企業)を徹底的に分析するアプローチを取ります。つまり、自社製品・商品に対する理想的な顧客像を1つに絞り、綿密な分析および調査を元にペルソナを作り上げる作業になります。
多くの場合は最も収益性が高く、中長期的に顧客満足度が高い顧客に集約されると思われます。
さらに、既存顧客の中で自社との関係を強化することに前向きな企業や、戦略的な基準を満たす新規顧客の候補を浮き彫りにする作業になります。

Step 2: Map Individuals Involved in Accounts(顧客層に関与する個人のマッピング)

ここでは、Step 1で特定された企業にて購買に関する意思決定を行う重要な役割を担う人を特定する作業になります。なお、この作業をする際には企業と個人データが正確にマッピングされている必要があります。

Step 3: Define and Create Your Targeted Campaigns(ターゲットとなるキャンペーンの定義と作成)

ターゲットとなる企業や個人を特定したら、その意思決定者が興味を示すであろうパーソナライズされたキャンペーンを設計する必要があります。顧客の課題を見つけ、それらに付随する関心事をニーズに結びつけながらコンテンツやメッセージを検討する作業になります。
意思決定者が何を考えているかを理解するためには、企業や個人に紐付く様々な情報を分析・調査することから得られる可能性があります。個人に焦点を当てて、コンテンツやメッセージをパーソナライズするためには、提供する価値の観点からストーリーを組み立てることが重要になります。

Step 4: Pinpoint Optimal Channels(最適なチャネルを特定する)

ターゲットとなる企業や意思決定者が、課題に対する対応策を調べる際に最も活用するコミュニケーションのチャンネルを特定する必要があります。これらも企業や個人に紐付く様々な情報を分析・調査することから得られる可能性があります。

Step 5: Develop a Strategic Playbook(戦略的プレイブックの作成)

アカウント・ベースド・マーケティングを実行する際には、誰がいつ何をするのかを纏めたプレイブックを作成することが非常に重要になります。
営業チームやマーケティングチームの両方が連動しながら、ターゲットとなる企業の意思決定者にアプローチする機会を得ることができるかが重要なポイントとなってくるからです。

Step 6: Execute Your Campaigns(キャンペーンの実行)

前述のStep 5で作成したプレイブックに沿って、営業チームやマーケティングチームの両方が連動しながらEメール、ダイレクトメール(DM)、広告などさまざまなマーケティングおよびチャンネルを活用してキャンペーンを実行します。

Step 7: Measure and Optimize(測定と最適化)

アカウント・ベースド・マーケティングの成果を測定することは、通常のリードジェネレーション施策を測定することとは異なります。パイプラインと収益化を促進するために、個人ではなく顧客毎での最大化に主眼が置かれるからです。
それらを分析して得られた結果に基づいて、改めてStep1から改善を図るプロセスが求められます。

さいごに

さまざまな企業と個人のデータアセットに対してクレンジングとマッピングすることによって、 ターゲットを精緻に特定したアカウント・ベースド・マーケティングのアプローチが可能になります。
データエンリッチ化とはデータの持つ「意味」を正しくデータに付加することであり、データがきちんと整理整頓されている必要があります。

弊社のカスタマーデータプラットフォームTreasure Data CDPにて、あらゆるデータを収集・加工・分析することで客観的な切り口を示唆するための道具になり得ます。
カスタマーサクセスチームの持つノウハウを提供したり、支援させていただくことで日々の営業およびマーケティング活動の一助になればと思います。

黒柳 将

Customer Consultingチーム

システムインテグレーター(SIer)のサーバーサイドエンジニアとしてキャリアをスタート。自動車メーカー、大手人材サービス会社や大手出版社等のWebアプリケーション開発を通して、Oracle Databaseを代表とするRDBMSチューニング、データモデル/テーブル設計およびシステム設計、Java開発(Unix)、運用保守の業務を経験。エンジニアやITコンサルタントの業務の中でデジタルマーケティングの世界に触れることが多くなり、2004年にデジタル広告ビジネスを統合的に展開する博報堂系列の会社に転職し、デジタル領域におけるマーケティングツール活用のコンサルティングや導入支援、外資系ベンダーとのアライアンスの業務に約7年ほど従事。その後、2011年にアドプラットフォーム提供企業Sizmek社(吸収合併により、現Amazon社)の日本法人立ち上げ時にボードメンバー、カスタマーサービス部門の統括として参画。大手外資系消費財企業や自動車メーカー等の多くの広告主とデジタル広告の計測から潜在顧客の行動フローを可視化するアトリビューション分析、メディアとの広告商品開発、パートナーアライアンス等のプロジェクトを推進。また、既存顧客に応じたカスタマーケア提供や自社プログラマティック・バイイング運用の指揮を執る。2017年2月に成長戦略の一環とする日本事業の譲渡によってYahoo!JAPANに移籍。2018年7月、トレジャーデータに参画し、大手通信会社のABM戦略におけるCDP導入および施策実行、自動車メーカー等へのデータ活用のコンサルティング業務に従事。シニアマネージャーとしてカスタマーコンサルティングチームを率いる。

得意領域 : デジタル広告、プログラマティック・バイイング、アドテク、キャンペーン設計・計測、ABM、プロジェクトマネジメント

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