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コロナ禍で再注目されるABM(アカウント・ベースド・マーケティング)とは?

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カスタマーコンサルティングチームの黒柳 将です。

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、従来の対面型(オフライン)を前提とした展示会、イベント、セミナーに見込み顧客の来場を促すようなB2B商材を扱う企業の営業活動は極端に減少しています。それに伴い、多くの企業はZoom(ズーム)等に代表されるWeb会議アプリ、オンラインコミュニケーションツールを活用した非対面型(オンライン)の活動にシフトチェンジを余儀なくされています。

また、近年では一般消費者における購買の意思決定プロセス(比較検討行動や情報収集等)でオンライン上の情報を判断材料のひとつとして重要視する傾向が高まっていました。同様に、B2B商材の選定者による情報収集・意思決定するプロセスも対面での会話が制限されているコロナ禍をきっかけにオンライン化が加速したように思われます。

これらを言い換えますと、オフラインにおける物理的な営業やマーケティング活動が制限されたニューノーマル時代を迎え、効率性やスピード、俊敏性が求められる時代が強制的に到来したと言えるのではないでしょうか。さらに踏まえると、B2Bマーケティング領域では、BDR(Business Development Representative)による戦略的なアウトバウンド型の営業活動が欠かせず、優良な新規・既存顧客に対する永続的な関係を築く効果的なアプローチ手法である『アカウント・ベースド・マーケティング(ABM/Account-Based Marketing)』も再注目されています。今回はこの手法について簡単に触れていきたいと思います。

「そもそも」の始まりと概念を知る

過去に遡ること、2013年にIT産業の経営とマーケティングの特化型アドバイザリーファームであり、米国ボストンに本部を構えるITSMA(IT Service Marketing Association)によってABMの概念が提唱されたことが、2016年5月『The Rise of Account-Based Marketing Timeline(アカウント・ベースド・マーケティングの台頭)*1)』の記事で説明されています。この文中では以下のようにも記されています。

“ Developed in the early 2000s as a way to bring marketing and sales together around their most important accounts, ABM has helped many technology and professional services firms think beyond the immediate sales pitch and focus instead on real client needs.(2000年代初頭にマーケティングとセールスが連携しながら、最重要顧客/企業を攻略する方法として開発されて、このABMによって、多くのテクノロジーやプロフェッショナルサービス企業が目先の売り込みに囚われず、本質的な顧客ニーズに焦点を当てることができるようになった。) ”


なお、私が調べた限りでは、さらに遡ること2012年4月『Industry Insight Is Making Accout Based Marketing More Relevant(アカウント・ベースド・マーケティングとの関連性が高まっている業界の動向)*2)』の内容がこの手法について述べられている最も過去の記事となりました。この文中では以下のように記されています。

“ Dedicating marketers to a company’s key accounts—Account Based Marketing (ABM)—isn’t a new concept. At Deloitte LLP, we aligned marketing professionals with our most important accounts a few years ago. Many of our competitors and other leading companies in a variety of industries have done the same. (最重要顧客の企業に対してマーケティング担当者を配置するーアカウント・ベースド・マーケティング(ABM)は、新しい概念ではありません。Deloitte LLPでは、数年前に最重要顧客にマーケティングのプロフェッショナルを配置した。デロイトLLPでは、数年前に最重要顧客にマーケティング担当者を配置しました。私たちの競合他社をはじめ、さまざまな業界のリーディングカンパニーの多くが同様のことを行っています。) ”


新しい概念ではないという事は、先ほど触れた2016年5月の記事にもある通り、1993年に出版されたDon Peppers (ドン・ペパーズ)と Martha Rogers(マーサ・ロジャーズ)の著者である『One To One Future: Building Business Relationships One Customer at a Time/(邦題:ONE to ONEマーケティング―顧客リレーションシップ戦略)*3)』が起源と言われており、2002年にアクセンチュアやユニシスのような先駆的な企業が採用したアカウント中心のマーケティング手法がABMの概念化に強い影響を与えたということが容易に読み取れます。

転載:2016年5月『The Rise of Account-Based Marketing Timeline
(アカウント・ベースド・マーケティングの台頭)*1)』

ITSMAによる定義とは

2017年2月『Defining the Three Types of Account-Based Marketing(アカウント・ベースド・マーケティングにおける3つのタイプと定義)*4)』では、ITSMAによる定義として以下のように説明されています。

“ Account-based marketing, put simply, is “treating individual accounts as markets in their own right.(アカウント・ベースド・マーケティングとは、簡単に言えば『個々のアカウントをそれぞれの市場として扱うこと』です。) ”


上述から読み解くと、ターゲット顧客を獲得・拡大するために、見込み客の数よりも、アカウントの質を重視して、市場全体を対象とした包括的なキャンペーンに頼らず、価値の高い見込み客を戦略的に特定し、そのビジネスの主要なステークホルダーに対してパーソナライズされたコミュニケーションを行うことを意味しております。

また、この文中では以下の3つのタイプが紹介されています。

出典:2017年2月『Defining the Three Types of Account-Based Marketing
(アカウント・ベースド・マーケティングにおける3つのタイプと定義)*4)』のコンテンツを編集・加工

1. Strategic ABM(戦略的ABM):
“ Creating and executing highly-customized marketing plans for individual accounts(個々の顧客向けに高度なカスタマイズされたマーケティングプランを作成し、実行すること。) ”

2. ABM Lite(軽めのABM):
“ Creating and executing lightly-customized programs for clusters of accounts with similar issues and needs(類似した課題やニーズを持つ顧客群に対して、軽くカスタマイズされたプログラムを作成し、実行すること。) ”

3. Programmatic ABM(プログラム化したABM):
“ Leveraging technology to tailor marketing campaigns for specific named accounts at scale(特定のアカウントに合わせた大規模なマーケティングキャンペーンをテクノロジーを活用し、大規模に実行すること。) ”

これらは、たとえば、ターゲット顧客の重要度から《1. 5-20社以内》《2. 5-15社以内》そしては《3. 100社以上》のように分類して、下記のような手順(概要)で進めることの重要性とも関係します。なお、当然ながら、各タイプ毎における目安の社数は、企業規模および対応人数などの変数によって変動するとお考えください。

さいごに

コロナ禍で対面営業型を中心としたスタイルが崩壊する中、データを活用したマーケティングおよび営業プロセスを構築できるかは、B2B企業にとって重要課題になっております。さらに、多様化や複雑化した商材を持って膨大な顧客と会話するには、現場叩き上げのトップセールスパーソンにとっての最強の武器とも言えた勘と経験と度胸、いわゆるKKD法では立ち行かなくなっています。今回のABM(アカウント・ベースド・マーケティング)のようなフレームワークを活用しながら、データという客観的な切り口を最大限に活用しつつ、 大事な局面に差し掛かった場合にKKD法にも頼るという絶妙なバランスが非常に重要なことだとも考えます。

そのような環境下で、弊社のカスタマーデータプラットフォームTreasure Data CDPは、あらゆるデータを収集・加工・分析することで客観的な切り口を示唆するための道具になり得ます。それらを上手に使うために、カスタマーサクセスチームの持つノウハウを提供したり、支援させていただくことで日々の営業およびマーケティング活動の一助になればと思います。

(参考資料)
*1)https://www.itsma.com/account-based-marketing-timeline/
*2)https://www.itsma.com/industry-insight-making-abm-more-relevant/
*3)https://www.amazon.co.jp/One-one-Future-Building-Relationships/dp/0749914920
*4)https://www.itsma.com/defining-the-three-types-of-account-based-marketing

黒柳 将

Customer Consultingチーム

システムインテグレーター(SIer)のサーバーサイドエンジニアとしてキャリアをスタート。自動車メーカー、大手人材サービス会社や大手出版社等のWebアプリケーション開発を通して、Oracle Databaseを代表とするRDBMSチューニング、データモデル/テーブル設計およびシステム設計、Java開発(Unix)、運用保守の業務を経験。エンジニアやITコンサルタントの業務の中でデジタルマーケティングの世界に触れることが多くなり、2004年にデジタル広告ビジネスを統合的に展開する博報堂系列の会社に転職し、デジタル領域におけるマーケティングツール活用のコンサルティングや導入支援、外資系ベンダーとのアライアンスの業務に約7年ほど従事。その後、2011年にアドプラットフォーム提供企業Sizmek社(吸収合併により、現Amazon社)の日本法人立ち上げ時にボードメンバー、カスタマーサービス部門の統括として参画。大手外資系消費財企業や自動車メーカー等の多くの広告主とデジタル広告の計測から潜在顧客の行動フローを可視化するアトリビューション分析、メディアとの広告商品開発、パートナーアライアンス等のプロジェクトを推進。また、既存顧客に応じたカスタマーケア提供や自社プログラマティック・バイイング運用の指揮を執る。2017年2月に成長戦略の一環とする日本事業の譲渡によってYahoo!JAPANに移籍。2018年7月、トレジャーデータに参画し、大手通信会社のABM戦略におけるCDP導入および施策実行、自動車メーカー等へのデータ活用のコンサルティング業務に従事。シニアマネージャーとしてカスタマーコンサルティングチームを率いる。

得意領域 : デジタル広告、プログラマティック・バイイング、アドテク、キャンペーン設計・計測、ABM、プロジェクトマネジメント

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