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ポストCookie時代に避けて通れないCDP活用方法

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2021年も引き続きコロナウイルスが世間を騒がせておりますが、本記事では今最もデジタルマーケティング業界をざわつかせている重要トピックについて整理をいたしました。
タイトルにもある通り、いよいよカウントダウンが始まったCookie規制問題と、全ての企業が避けて通れない課題と対策についてです。

こちらの記事はご契約企業様のみに公開しておりますので自社ドメインのメールアドレスでログインください。当社サービスに関するお問い合わせはこちらからお願いいたします。

既にキャッチアップされている方も多いと思いますが、2020年1月14日にGoogleから同社のWebブラウザ Chromeにおいて3rd Party Cookieのサポートを段階的に廃止する方針である旨がリリースされました。今からちょうど一年ほど前ですね。


https://blog.chromium.org/2020/01/building-more-private-web-path-towards.html

当時、上記の発表に対して様々な情報・意見が飛び交いましたが、細かい話は後にして、押さえておくべきポイントは1つです。この決定的な変更が行われる期限が2022年目標であること、つまり実質あと1年ちょっとしか時間が残されていないことになります。

コロナウイルスの世界的パンデミックの影響で時期が多少後ろにずれ込む可能性はあるかもしれませんが、Googleの発表文には「2年以内に完了する」とあるので、予定通りに行われるなら2022年の前半までには「トラッキングルールの変化」に対応できる万全な体制を今から整えておかなければいけません。

ただし、Cookie規制と言っても対象となるのは3rd Party Cookieに限った話です。Cookieとは何か?1stと3rdの違いは?といった説明はここでは割愛しますが、自社で管理するドメインから発行される1st Party Cookieに関しては今回の議論に含まれないので、ログイン情報やカート情報の引き継ぎといったWebサイトの動作上で必須の仕組みは従来通り機能します。

ご存知の通り、3rd Party CookieはWeb広告配信におけるリターゲティングやDMPサービス等で作成したオーディエンス(セグメント)の連携、MAツールやレコメンドツールとのID Sync、もっと言うとコンバージョン計測そのものやアクセス解析、ユーザー分析といったアナリティクス領域など、様々な用途で過去10年以上に渡って当たり前のように使われてきました。

Googleの発表以前からAppleは同社のブラウザSafariにおいて3rd Party Cookie(サイト横断トラッキング)のブロック、いわゆるITP(Intelligent Tracking Prevention)を実装しており、Firefox等のブラウザも追随の方向性であるため、Chromeがこの流れに乗るということは世の中で使われている大半のブラウザで2022年以降 3rd Party Cookieが機能しなくなるということです。

厳密に言うと、SafariにおけるITPの影響範囲は3rd Party Cookieに限った話ではなく、既に1st Party Cookieに対しても厳しい制限がかかっており、以下のような段階を踏んできました。

・ITP2.1 (2019年3月26日)「JavaScript経由の1st Party Cookieで最大有効期限が7日に短縮」
・ITP2.2 (2019年5月13日)「JavaScript経由の1st Party Cookieで最大有効期限が1日に短縮」
・ITP2.3 (2019年9月10日)「上記に加え、localStorageの情報も1st party cookieと同様に制限」

制限対象となるか否かは細かい条件があったりしますが、ざっくりの解釈ではクライアントサイドから発行されたJavaScript経由の1st Party Cookieがこれに当てはまります。

逆に言うと、サーバーサイドから発行された1st Party Cookieに関しては現時点で有効期限の制限対象ではないため、SafariのITPに対応するためのソリューションとしてTreasure Data CDPではServer Side Cookie(SSC)発行の機能も既に実装済みです。※詳細は担当CSまでお問い合わせください。

少し話が逸れましたが、3rd Party Cookie規制の影響は決してWeb広告の領域に限った話ではなく、インターネット上で実施する何かしらのマーケティング施策に携わっている人であれば、その細かい仕組みまでは理解していなくても、間もなく訪れる2022年問題が現在の業務に多大な影響を与える可能性が高いということです。

解説が長くなってしまうので先に本記事の結論(個人的な総評)を述べます。

3rd Party Cookieが使えなくなった後の世界では「全ての企業がメディアにならなくてはいけない」と私は考えています。全ての企業がメディアの機能を持つ必要がある、という表現の方が適切かもしれません。

なぜこの見解に至ったのか?その根拠を解説する前に、2つの背景について整理しておきます。

法的側面から見た2022年問題

ご存知の通り、グローバルではプライバシー保護を目的とした個人データの利活用に関する規制が既に実施されています。EUにおけるGDPR、カリフォルニア州のCCPA等です。

日本の法律と比較した場合に、Cookie自体を個人情報として扱うか否か、個人情報の第三者提供の定義や販売に関するルールなど異なる点はいくつかありますが、日本でも欧米と同様に個人情報の取り扱いやプライバシーに関して従来よりも配慮が求められた法改正が間もなく施行されます。

お気付きの通り、この改正個人情報保護法も2022年の施行予定です。法改正の細かい話はそれだけで記事が2,3本書けるくらいボリュームがあるのでここでは割愛しますが、3rd Party Cookieに関連した項目では下記が大きく影響してきます。

”提供元では個人データに該当しないものの、提供先において個人データとなることが想定される情報の第三者提供について、本人同意が得られていること等の確認を義務付ける”

つまり、事前にユーザーの同意を取得していなければ外部サービス(他社メディアやDMPサービス)から仕入れた興味関心/行動ログ等のデータを自社の顧客に紐付けて(利用して)はいけない、ということです。

これまでは、第三者から仕入れた2nd Partyデータや3rd PartyデータをCookie情報を参照に突合し、ユーザーの解像度を高める目的で分析やCRM施策に活用されるケースがありましたが、2022年の法改正に伴い今後は事前に同意を得なければ同じことができなくなってしまいます。

技術的側面から見た2022年問題

こちらは、まさに冒頭で記載した3rd Party Cookie規制の話です。従来、外部サービス(メディアやDMPなど)を使って興味関心等のデータを自社顧客に紐付ける際には3rd Party Cookieが広く使われていましたが、前述した通りSafariにおいてはITP実装の影響で既に3rd Party Cookieのトラッキングを完全ブロック、同様にChromeも2022年には不可となる予定です。

もちろん、この技術的規制に対して各ベンダー企業も対策となり得るソリューションを開発しており、共通ID/統合IDといったCookieの代替となる手段も提供され始めていますが、世界的なプライバシー保護の流れを見る限り、従来のような「個人(固有のブラウザ)を完全に特定した分析やターゲティング」は難しくなっていくと言えるでしょう。

上記の通り、法的側面と技術的側面どちらから見ても、「自社で取得できないデータは外部から仕入れて使えば良い」という考えが、あと1年ちょっとで通用しなくなってしまいます。

一度タグが発火したらどのサイトを見ていても同じ広告に追跡される鬼リタゲや、自社サイト以外における顧客のWeb行動ログを外部から仕入れ、個々のユーザーの趣味嗜好を完全に把握するといったマーケティング手法自体が過去のものになっていくはずです。

これまで外部に頼っていた仕組みを自社で同じように再現できるか?

ここまで、個人情報保護法改正と3rd Party Cookieの規制の事前知識、法的側面と技術的側面から見た背景について全体像の整理をしました。どちらの期限もあと1年ちょっとです。

本記事の結論がどのように着地するのか、何となく見えてきたのではないでしょうか?

法規制も技術規制もそれぞれが別々に進行している議題ですが、その目的と方向性は一緒なので未来において必ず交わります。世の中の流れは完全にデジタルデータの行き過ぎた流通を規制する方針、つまり強固なプライバシー保護傾向、ユーザー第一主義に向かっているのです。

こうなると、顧客データの取り扱いに関して企業側にできることの範囲が極端に狭まります。

自社の顧客について性別や年齢といった単なる属性情報からもう一歩踏み込んだ家族構成やライフスタイル、自社製品以外の趣味嗜好、どんな商品/サービスに価値を感じ普段どんな消費傾向があるのかといった360度の顧客情報を把握したければ、今後は自社サービスの領域内で入手できる(保有している)データで頑張ってくださいね、という宣言をされたに等しいのです。

仮に1年前から自社のサービスを使ってくれているAさんがいたとして、次にどんな商品を買ってくれそうか、何をレコメンドすれば興味を持ってくれそうなのか、もしくは何故しばらく購入がないのか、本当は解約兆候にあるのではないか?など、個々のユーザーのステータス(現在の購買意欲)をできるだけ詳細に理解した上で最適な対策を打とうと思ったら、その参考値となり得るだけのデータ(変数)が大量に必要になります。

明暗を分けるのは、顧客との接点の多さです。これは単にメルマガとDMとLINEでアプローチするチャネルを持ってます、といった出口の話ではありません。まだ声に出していない潜在的なニーズ(無意識データ)を取得するための入口を、どれだけ持っているかということです。

爆発的に成長する企業は全てのデータを自社で取得する仕組みがある

皆さんご存知、米国のメガテック企業GAFA(最近はFAANGやGAFMAなど)が圧倒的に長けているのがこの領域です。何十年も業界トップの椅子を守っていた伝統企業が、自社で莫大な顧客データを保有するぽっと出の新興企業に一瞬で惨敗する、という不条理な現実がこの10年ほどで何度も証明されてきました。

Amazonの成長が神がかっているのは、表面的には膨大なデータを用いたレコメンド技術に優れているからです。私もヘビーユーザーの一人ですが、自分に最適化されたおすすめ商品がポンポン出てくるので、無意識の消費やついで買いがどんどん連鎖します。

ただ、鶏と卵の話のように順序を誤認しがちですが、Amazonは決してレコメンド技術に優れていたから爆発的に成長したわけではありません。レコメンド技術に磨きをかける(学習させて予測モデルを作る)ための興味関心データのバリュエーションが膨大だったからです。

Amazonは本のネット販売から始まり現在はEverything Storeとして全ての業界を網羅すべく突き進んでいますが、これは決して「何でも買えるECサイトを提供した方が儲かる」という考えに基づく戦略ではなく「何でも売ってるECサイトを提供した方がより多くの顧客データが手に入る」ゆえにレコメンド精度が高まってさらに儲かる、というロジックだと理解しています。

本を販売しているだけでは、そのユーザーの読書に関する趣味嗜好しか分かりません。ですが、例えばキャンプ用品や登山用具のページをよく見ているというデータを取得できれば、この人は読書が好きなインドアタイプと思っていたけど、実はアウトドアの趣味嗜好が強く、本を読むシチュエーションも家ではなく旅先なのかもしれない。

それなら、一度にたくさんの本を持ち歩ける電子書籍の方が絶対便利だから、Kindleをレコメンドしてみようか?といったフラグ(予測)がどんどん立っていくわけです。読んでいる本の中身から、その人の趣味嗜好やライフスタイルを把握してレコメンドすることもできますね。

このように、Everything Storeであることの最大のメリットは、ジャンル横断のデータ取得ができるため、その人の消費行動を正面からではなく上から全体を把握できるところにあります。

Netflixについても同様です。彼らは動画というフォーマットに絞ってビジネスを展開していますが、動画という枠組みの中で洋画、邦画、国内ドラマ、海外ドラマ、アニメ、バラエティ、オリジナル作品、といったEverything Storeを提供しています。

ユーザーの視聴本数や視聴時間、ジャンル、出演者、監督など、様々な傾向値(趣味嗜好データ)を横に広く取得し、そこから構築した予測モデルを元に最適なレコメンドを「次に見る」という形で示してくれるため、解約する理由が見つからないまま楽しく課金してしまうのです。

重要なのは縦に掘り下げたデータよりも横に広げて網羅したデータ

このように、1つのカテゴリだけから多くの情報を得ようとするよりも、1つ1つはそこまで深くなくても複数のカテゴリから多くの情報を得た方が結果的にユーザーの趣味嗜好がクリアに見えることが多々あります。これはオンラインに限らず、オフラインにおいてもです。

初対面の人と会話をする時に、家族構成や両親の話、兄弟の関係や幼少期のエピソード等をひたすら深堀りするよりも、好きな食べ物、休日の過ごし方、最近のマイブーム、ファッションのこだわりなど、横に広い情報を集めた方が相手の人間像をよく理解できると思いませんか?

全ての企業がメディアの機能を持つ必要がある、という結論の根拠がまさにこれです。

既にオウンドメディアの本格的な運用体制を持っている企業様はその重要性を十分に理解されているかと思いますが、単にECサイトを立ち上げてオンラインで商品を販売しているというだけでは、そこから得られるユーザーの情報が非常に限られてしまいます。

会員登録をする際にも、性別/年齢/居住エリア/職業/年収など、他にアンケート欄があっても入力項目はそこまで多くできないはずです。商品ページの閲覧履歴に関してはAmazonやNetflixのようにEverything Storeレベルの網羅性があれば趣味嗜好を360度把握することはできますが、単一商品の販売や特定カテゴリのラインナップを扱う企業様が大多数だと思いますので、ここで得られる顧客の趣味嗜好/興味関心データはやはり非常に狭いものになってしまいます。

従来は、まさにここで外部メディアやDMPサービスの出番でした。自社のドメインでは取得できない顧客の趣味嗜好(自社サイト外の閲覧履歴)を3rd Party Cookie経由で入手し、そのデータを自社のマスタデータと統合して分析やマーケティング施策に活用していたわけです。

ところが、前半記載したように法的側面/技術的側面の両方から今後それができなくなります。1st Party Dataシフトなどと言われ始めていますが、これまで外部の仕組みに頼っていた顧客の趣味嗜好データの取得を、自社の仕組みで再現できなければいけない時代になったのです。

とは言え、いきなり1st Party Data中心の体制を整えるのは難しい

至るところから悩みの声が聞こえてきそうですが、ご安心ください。この問題に対して、トレジャーデータとしては3rd Party Cookieが完全に使えなくなるまでの移行段階に関しても、外部との連携手段として様々なソリューション開発を進めています。

既に実装済みのものも複数あり、例えばYahoo JapanトップページとのID Syncや、Amazon DSPとのID Syncなど、いずれもCookieやMobile IDを用いたSyncにはなりますが、いわゆる大手プラットフォーマー(Walled Garden)とのデータ連携手段はご案内が可能です。

今後はFacebook Conversion APIとのコネクタ開発など、その他にも主要プラットフォーマーと複数社連携の話を進めていますので、残り1年ちょっとの対策についてもご相談ください。

ただし、いずれにしても2022年のCookie規制問題は誰もが平等に避けて通れない未来なので、こうした大手プラットフォーマーに依存し過ぎる体制は望ましくありません。仮に外部の仕組みが全て吹き飛んでしまったとしても、自社で持つ仕組みでビジネス判断に必要な顧客データを収集できる体制を、今この時点から着実に構築していくことが最も重要だと思います。

なぜ全ての企業がメディアの機能を持つ必要があるのか?

非常に長くなりましたが、冒頭に記載した本記事の結論にようやく繋がりましたね。これまで企業のオウンドメディアはあくまで集客目的、とにかくWebサイトに来てもらうためにSEO対策を張り巡らせたり、とりあえず更新頻度を高くしてPV数を稼ぐ、といった手法がメインだったと思います。

これが正しいかは否かは解がありませんが、実際に検索流入だけを意識した施策でも十分数字に繋がる時代があったので、目先のマーケティング手法としては確かに効果がありました。

しかし、2022年以降は法的にも技術的にもゲームのルールが大きく変わります。それに合わせて、オウンドメディアの立ち位置や役割も従来の単純な集客目的から、顧客に最適なレコメンドを出すために不足しているデータを収集する場所へと変わっていくはずです。

0から新聞社のような網羅的メディアを立ち上げて運用するのは現実的ではありませんが、自社のマーケットに絞ったコンテンツを更新していく場合でも、例えばユーザーからよく問い合わせがあるQ&Aや不安に思うポイントについて詳しく解説した記事などの閲覧履歴があれば、このユーザーは使い方に悩んでいるかも?といったフラグや、その後も似たようなページの閲覧が多ければ、このままだと解約予備軍になるかも?といった予測もできます。

特定のライフステージに関する記事を閲覧している人がいれば、会員登録の情報だけでは得られなかった顧客の家族構成や、今の生活に不足している何かまで把握できるかもしれません。

闇雲に記事を作成する前に、まずは今ある情報の中からペルソナを設計、仮設を立てたその人(厳密にはセグメント)に向けたメッセージとなる記事を地道に作成していくことが重要です。

その際、SEO対策と同様に記事のタイトルやディスクリプション、本文に使うキーワードは明確な意図を持って作成します。集客目的も0ではありませんが、一番の目的はその記事を閲覧したことで記事に含まれるキーワード(興味関心/趣味嗜好)をそのユーザーに紐付けるためです。

こうして、外部メディアやDMPの力を借りなくても自社のドメインで顧客の興味関心ワードを幅広く取得することができます。あとはAmazonやNetflix同様、このキーワードを持っている人にはこの商品をレコメンドしてみよう、という予測モデルを作成し、検証していくだけです。

そんなこと言っても、記事のキーワード解析って自然言語処理とか形態素解析とか色々難しいプロセスが必要で、それ専用のツールをまた別で導入しなきゃいけないんじゃないの…??

ご安心ください。それ、Treasure Data CDPでやれちゃいます。

上記はTreasure Data CDPが備えている各種機能、及びデータフローを1枚で整理した図になりますが、機械学習に関する機能は複数のパターンがあります。予め用意されたライブラリを使用して学習から予測まで一連の処理をカスタマイズできるHivemallや、非エンジニアでも操作できるように機械学習の機能をGUI化したPredictive Scoring、Workflowの中でPythonを実行することができるCustomScriptなどなど。

オプション機能ではありますが、機械学習を試す目的で新たなツールを導入しなくても、既に格納されているデータ(変数)に対して直接Treasure Data CDP上で学習モデルの作成や処理実行が可能です。よくあるユースケースとしては、レコメンドの精度向上や解約予測です。

他にも色々な機能がありますが、今回はオウンドメディアという文脈に最も近しいものをご紹介いたします。

こちらは、Contents Affinity Engine(コンテンツ解析)と呼ばれる機能です。端的に言うと、Treasure Data CDPの機械学習機能を使ってユーザーの興味関心キーワードとカテゴリを自動付与するもので、参照しているのは記事のタイトルとディスクリプションになります。記事の全文を読み込ませて、含まれるキーワードを付与させることも可能です。

取得自体はTDのJSタグを通して行われ、最終的には下記のようなイメージでtableに反映されます。td_interest_wordsがキーワードを分解して格納したもの、td_affinity_categoriesが記事の内容から関連度が高いと推測されるカテゴリを自動付与したものになります。

大手新聞社様や読者を多数抱えているメディア系のお客様だと、上記のコンテンツ解析機能はかなり使い込んで頂いている印象がありますが、メーカー企業様や自社でオウンドメディアを運用されていないお客様ですと、あまり馴染みのない機能かもしれません。

実際に使ってみると想定よりも記事の中に出現し過ぎている単語(自社名や株式会社など)の重み付け調整等、カスタマイズに少し手間がかかりますが、実はJSタグ経由で付与されたこれらのキーワードはAudience Studio(GUI機能)のセグメント作成画面でも使えるようになります。

つまり、ユーザーが閲覧した記事に含まれるキーワードを常にTreasure Data CDPにPV単位で学習させ続けておけば、商品の販売ページや会員情報・購買履歴からだけでは把握できない顧客の潜在的ニーズ(無意識の興味関心)を蓄積することができ、これまで外部のメディアやDMPから購入していた情報を自社の仕組みだけでも再現することができるということです。

もちろん、オウンドメディアの運用には相当なパワーがかかります。そのために専任のチームを1つ作るくらいの気持ちで取り組む必要があるのも事実です。しかし、明確なゲームチェンジが行われる2022年以降に生き残ることができるのは、やはり外部に依存せず自社の仕組みだけで顧客を理解するのに十分なバリュエーションのデータを持っている企業だと言えます。

Cookieの規制以降もある程度の母数を持つ塊として、丸まったデータの連携や提供は可能だと言われていますが、一人一人の顧客に結びつける用途での外部データ利用は規制の対象です。

自社の顧客が何を考えているのか、その判断に必要なデータを取得できず顧客のことをイメージできなくなっていけば、その時点から商品やサービス/プロダクトを拡大することは非常に難しくなります。オウンドメディアを持つことは、顧客理解の材料を集めるのとイコールです。

2020年はコロナウイルスの影響で強制的なDXを求められた1年でした。リモートワークや業務の全面デジタルシフトはもはや、やるかやらないかではなく「いかにやるか」の段階に入っています。

おそらく2022年には従来の3rd Party Cookie依存の歴史から脱却し、いかに自社の仕組みだけで顧客データを取得できるかが問われる1年になるでしょう。移行段階である今からその体制を整えておけるかどうかで、近い将来の競争力に大きな差が生まれるのではないでしょうか。

書き始めたら凄まじい文字数になってしまいましたが、本記事は以上となります。Contents Affinity Engineの実装方法/事例紹介などは、また別の機会に記事化する予定です。

Googleから3rd Party Cookie規制の発表がされた時には、誰もが「まだしばらく先の話」だと思っていたはずですが、時が経つのは早く、気がつけばあともう1年となってしまいました。

大きなルール変更の流れに乗り遅れないよう、今から対策を進めて頂ければと思います。

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