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先進事例から学ぶデータ活用戦略(中国平安グループ)

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はじめに

カスタマーコンサルティングチームの由川 優です。
海外の先進的なDX推進事例についてご紹介いたします。

中国平安グループは、グローバルで最も注目を集めるDX推進事例の1つです。保険を中心とした金融グループであり、設立より30年足らずでFortune500の29位に位置付けられている注目度の高い保険会社です。

金融を本業としながら、世界トップクラスのテクノロジー集団となることを公言しており、全世界30以上の研究開発拠点、2万人以上の技術者を抱えています。本稿では、平安グループが展開する「平安健康医療科技(ピンアングッドドクター)」のサービスを参考に、データ活用によるDXを推進するための要点を概説します。

中国全土で医療問題の解決を目指す「平安健康医療科技(ピンアングッドドクター)」

中国平安は1988年に深センで保険会社として設立された金融グループです。保険をコアにしながら金融サービス・ヘルスケア・自動車関連サービス・スマートシティーなど多くのエコシステムをサポートしています。
平安グループが提供する平安健康医療科技(ピンアングッドドクター)は、2015年4月にリリースされ、その後4年半で、3億人以上(2019年9月時点)のユーザーを獲得しているモバイルアプリです。

中国では、高度医療機関は大都市に集中し、受診に3時間以上の待ち時間が発生することも珍しくありません。非効率な医療体制が公的な医療関連支出を増長しているともいわれ、中国全土で医療問題を抱えています。

平安健康医療科技(ピンアングッドドクター)はこの問題を解決するため、医療機関の診察予約、医師とのオンライン診察、健康維持のための情報提供を可能としたモバイルアプリを展開しています。

保険販売に拘らないことでユーザーからデータを収集する

ユーザーは診察を予約する際、自身の症状など問診に必要な情報を入力します。平安はこの情報をもとにユーザーへコンタクトし、自社の保険販売を進めますが、積極的な保険営業は一切しないといわれています。ユーザーからすれば健康不安がある時に気軽に相談でき、保険により金銭的な不安をも解消してくれる平安に対し、あらゆる情報(データ)を提供することに抵抗はないでしょう。

顧客に受け入れられるデータ活用戦略

「平安健康医療科技(ピンアングッドドクター)」は非常に良くできた仕組みですが、取り組み自体を参考することは難しいため、平安の公開情報やCIOのインタビュー記事から読み解ける各社で参考とすべきポイントを記載します。

自社の業態より『上流』に位置するプレイヤーの利便性を考える
平安は保険販売機会を捕捉するため、医療機関の受診予約を『上流』と捉えてモバイルアプリを展開しています。一般的な保険会社であれば、保険を超えたサービスとなり提供は難しいと思いますが、医療機関を保険業界の『上流』と捉えてアプローチしている点は興味深いです。

自社単独でのデータ収集が難しい場合は、『上流』に位置するプレイヤーに利便性を提供し、データ活用において戦略的に提携することは1つの選択肢になります(戦略的提携は『上流』となるプレイヤーにも利点があることが前提となります)。

自社の既存保有データのみで成果を上げることが難しい場合は、収集するデータの拡大を並行して検討することが望ましいです。

多くの人が感じている不便さの解決を目指す(=社会課題に目を向ける)
平安は、医療機関と受診者(ユーザー)が感じる不便さを解決することを意図して機能提供しています。モバイルアプリでの診察予約は診察の待ち時間を短縮し、オンライン診察は医療従事者の負担増や人手不足を解決することが可能です。

いずれも保険会社が取り組むべき課題とは受け止めにくいですが、同課題を解決しうるモバイルアプリを提供することで、保険販売に繋がる膨大なデータが集まる仕組みを作っています。新たな取り組みによりリリース直後から多くのユーザーを獲得することは困難ですが、社会的な不便さを解決する仕組みであれば、その可能性は高くなると考えられます。

自社商品が「どんなときに必要とされるか?」、「どうすれば必要とされるタイミングを補足できるか?」を考える
顧客が商品の必要性を感じていない時の営業活動は、成果に結びつかないケースが多く、顧客の満足度低下につながる懸念もあります。

マッキンゼー・アンド・カンパニーのレポートでは、顧客が企業へデータ提供する価値を感じる要素は「自身の興味・関心」・「適切なタイミング」・「データ提供先企業への信頼感・愛着」の3つであるとしています。

「商品への興味・関心が高まるのはいつか?どのようにそのタイミングを捉えるか?顧客が前向きに利用する(データ提供する)仕組みになっているか?」を考えることが、商品販売機会に繋がるデータを収集する上で重要な要素となります。個人と紐付けたデータ収集を目指す場合は、上記3点を考慮した施策を検討するのがよいでしょう。

まとめ:自社の既存保有データのみでの活用が難しい場合は、新たなデータ収集する仕組みを考えることも必要

データ活用を推進するものの、なかなか成果に結びつかないといった悩みは多く見受けられます。既存保有データを中心とした取り組みでは、成果創出が難しいケースも少なくありません。新たなデータ収集を検討・実践する際には、明確な戦略とともに、施策実行の成果を判定するデータを収集する仕組みが必要となります。新たなデータ収集を検討される際には上記を参考として頂くとともに、弊社メンバーへお声掛けください。

出典
・平安グループ概要:
https://group.pingan.com/about_us/who_we_are.html
https://group.pingan.com/about_us/history.html

・Ping An Good Doctor app概要:
http://www.pagd.net/allPage/aboutUs/47?lang=EN_US
http://www.pingan.com/app_upload/images/info/upload/5789191e-3019-4370-b8e1-a3a81561d4e3.pdf?_ga=2.179969124.135959931.1624620478-300401505.1624620478

・[Investor Day] Ping An Group Healthcare Ecosystem Uncovered:
https://group.pingan.com/resource/pingan/IR-Docs/2020/Ping-An-Group-Investor-Day-2020—Healthcare-Ecosystem.pdf

・Building a tech-enabled ecosystem: An interview with Ping An’s Jessica Tan(McKinsey & Company):
https://www.mckinsey.com/featured-insights/china/building-a-tech-enabled-ecosystem-an-interview-with-ping-ans-jessica-tan

・Using ecosystems to reach higher: An interview with the co-CEO of Ping An(McKinsey & Company):
https://www.mckinsey.com/featured-insights/asia-pacific/using-ecosystems-to-reach-higher-an-interview-with-the-co-ceo-of-ping-an

・What shoppers really want from personalized marketing(McKinsey & Company):
https://www.mckinsey.com/business-functions/marketing-and-sales/our-insights/what-shoppers-really-want-from-personalized-marketing

由川 優

Customer Consultingチーム

2007年にアクセンチュアへ入社し、銀行、証券、オートリースへのコンサルティングを経験。大規模システム開発のプロジェクトマネジメントを得意とし、PMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナルとしての国際資格)を有する。その後ガートナーへ転職し、ITテクノロジーのトレンドやグローバル先進企業の事業戦略について知見を深め、デロイトへ移籍。新たな保険会社の設立や、データ活用に特化した金融グループ子会社の設立を支援する中で、デジタル戦略の立案、計画策定、施策実行を経験。データ活用による既存業務効率化や、新サービス創出の知見を有する。金融業界を中心に先進技術の導入事例を調査・研究する職務にも従事。2020年にトレジャーデータへ参画。データ活用の施策立案やデータ価値を最大化するためのシステム全体像策定などを担う。

得意領域 : デジタル戦略立案、先進事例の調査・探索、プロジェクトマネジメント、コンサルティング

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