記事

組織はなぜ変化に抵抗するのか (ゲスト: 大宮拓さん第2回)

PLAZMA PARTNERS #6|株式会社Speee PAAM事業部 事業責任者 大宮 拓氏 × トレジャーデータ株式会社 若原 強

PLAZMAに参画するソリューションパートナーを紹介する、「PLAZMA PARTNERS」シリーズ。
今回は、前回に引き続き、デジタルマーケティングおよびデジタルトランスフォーメーションの推進をサポートし続けているSpeee株式会社のご紹介です。
株式会社Speee PAAM事業部 事業責任者の大宮拓さんをお迎えし、後編では、「組織はなぜ変化に抵抗するのか」について詳しく伺います。聞き手は、引き続き、トレジャーデータのエバンジェリスト若原です。

第1回目のトークはこちらから

 

Topics

組織は新しい取り組みに抵抗しがち/抵抗を受ける3つの理由/①目指す景色が伝わっていない/ピンとこない/直観的にイメージしにくいデータ活用/②メリットが理解されない/提案を聞き入れる準備はあるのか/③変化を嫌う/外圧が必然性を生む/「中期経営計画にDXと書かれたから」/担当者が評価される仕組みはあるか/行動は評価制度に規定される/非合理的抵抗/実績を出すことに勝る説得力はない/抵抗下で実績を出す3つのアプローチ/水面下で進める/闇研究/Googleの20%ルール/無料ツールから試していく/バズワードは思考停止ワード/トップダウンで治外法権をつくる/企画会議を通さず勝手に進める/ボトムアップとトップダウンの説明責任/途中経過を公開する/展示会やプレスリリースで既成事実化/効果的なインナーコミュニケーション手段/社外を使って社内を動かす

Taku Omiya: Predictive Analytics And Marketing Div. Business manager, Speee Inc.
Tsuyoshi Wakahara: Evangelist, Treasure Data
Recording: 2020/04/16

※収録はオンラインにて行っています。一部背景に環境音が入っていますがご了承ください。

若原 大宮さん、5つのポイントの紹介ありがとうございました。今度は私から持ちネタというか、ご紹介しながら大宮さんと意見交換できたらと思います。

組織は新しい取り組みに抵抗しがち

若原 私は前職はコクヨという会社で、働き方とか働く場の研究をしていたんですが、そのときに一つやっていたことがありまして。それがイノベーションみたいな文脈で、企業、組織の中で新しいことを取り組もうとすると、大体おしなべて抵抗を受けますと。それで、その抵抗を受ける理由って何なんだろう?と。あとは、そういった抵抗の中でも上手いこと実績を出して理解を得ていくには、皆さんどんなことをされているのか?みたいなことをまとめたネタがあって、それをご紹介させていただきながら大宮さんのご意見もぜひ伺いたいなと思います。

大宮 ありがとうございます。

若原 まず、組織の中で「新しいことをやりたいです」といったとき、抵抗を受けることも少なくない理由を、私は3つぐらいに分類しているんです。

抵抗を受ける3つの理由①

目指す景色が伝わっていない/ピンとこない/直観的にイメージしにくいデータ活用

目指す景色が伝わっていない

若原 1つ目の理由は、そもそもやりたいことが同じ景色として伝わっていないというか、何をしようとしているのかがそもそも伝わってなくてイメージできないという理由で抵抗を受けることは一つあるかなと思っています。

例えば、私の経験で抽象的に言うと、「新しいテクノロジーを使って何かやりましょう」みたいな話を持ちかけたとき、大体こういう理由で抵抗を受けるなというのはありますね。

例えば、VRやARとかが流行り始めたとき、「VR・ARを上手く組み合わせてこういうことをやると、営業効率こんなふうに上がりますよ」、みたいな話を提案しても、「そもそもVR自体でもいっぱいいっぱいなのに、ARを組み合わせるってどういうことだ」、みたいなこともあったりして、なかなか抵抗を受けて話が進まないということがあったりしましたね。

ピンとこない

大宮 ちなみに、そのピンとこないみたいな話というのは、使ったことがないからピンとこないという感じになるんですかね?

若原 まずそれは多いと思います。いろいろなレベルがあると思うんですけど、そもそもキーワードはさすがにニュースや新聞で見たことがあっても、例えばVRで言うと、実際に自分でヘッドセットかけて見ることがないとか、そういうことも少なくないんですね。

大宮 データ活用においてもピンとこないみたいな話ってよく言われる話だったりするんですね。

若原 見えない世界ですもんね。

直観的にイメージしにくいデータ活用

大宮 体験してもらうことも、結構難しいと言えば難しいんで。それは例えば、「Treasure Data CDP」を導入していて、「Treasure Data CDPの管理画面を見てください」と言っても、なおのこと混乱させてしまうことになったりするじゃないですか。なので、それでピンときてもらうということよりは、消費者にどういうリターンが返ってくるかということを具体的に示す必要があるなと私は思っていて。で、その構造の中で、データがこういう風に使われていますよという説明をすることを意識しているんですけど。

若原 逆に言うと、今の1つ目の理由としては、何をしようとしているか伝わらないから抵抗が起こるということだと思うんですが、何をしようとしているか…。もしかしたら、極論伝わらなくてもいいのかもしれないですね。何をしようとしているかではなく、その結果として自社のお客さんにどのような変化が起こるのか、どんなふうに喜んでいただけるのか。そういうことが納得感をもって伝われて、逆に言うと手段は何でもいいみたいな世界かもしれないんで、そういうアプローチは確かにあるかもしれないですね。

抵抗を受ける3つの理由②

メリットが理解されない/提案を聞き入れる準備はあるのか

メリットが理解されない

若原 2つ目の理由としては、どんなことをやろうとしているのか伝わっているんですけど、まさに今大宮さんからご指摘いただいたお話に繋がると思っていまして。それは、やろうとしていることは伝わっているが、やろうとしていることによるメリットが理解されないというところですね。

大宮 先走っちゃいましたか。

若原 いや、さすが先見の明がおありになるコメントで。で、これも僕の経験で言うと、図面を引いて設計をするような業務に対して改善案を提案したことがありまして。それは、空間の図面なんですけど、0(ゼロ)から毎回変えるわけですね。ただ、その書き上がった図面を、ざっと今までの案件を並べてみると、7割ぐらいは大体同じようなものを書いていて、恐らくその7割はパターン化できるだろうなと思ったんです。

なので、毎回オーダーメイドでやらないといけない残りの3割は、当然オーダーメイドでやるべきだと思うんですけど、その7割に関してはパターン化することで、要は販管費を削減できるということに繋がるんじゃないかなと思って、「提案をパターン化しましょう」みたいな話を言ったんですね。販管費が下がるだろうなというのは理屈としてはなんとなく伝わるかなと思ったんですが、そこがなんか伝わらないというか。やっぱり、やったことがない話なので、「前例がない」「これ実際やってみて失敗したくない」みたいな理由で、結構抵抗を受けたということはあります。

大宮 なるほど。

提案を聞き入れる準備はあるのか

大宮 それはちなみに、議論というか、メリットを理解しようとする過程においては、皆さん聞き入れる姿勢はお持ちなんですか?

若原 いい質問ですね。そこももしかしたら、「そうです」と言い切れないかもしれないですね。

大宮 結構、そこが重要なポイントかもしれないですよね。

若原 やったことないことでもメリットをちゃんと理解しようというマインドになれるかどうか、みたいなところがありますよね。

大宮 ありそうな感じはしますよね。

若原 こういうことが難しかったなというのが2つ目の理由ですね。メリットが理解してもらえないという。

抵抗を受ける3つの理由③

変化を嫌う/外圧が必然性を生む/「中期経営計画にDXと書かれたから」


若原
 3つ目の理由は、何をしようとしているのかも伝わっているし、メリットも伝わっているはずなんだけど、なぜか抵抗を受けるというパターンもあって。

変化を嫌う

若原 これはまた別の話で、コンサル担当時代に経験した話です。ある会社にいたとき、商品別の粗利益率がわかっていないという状況があって。要は、どの商品が儲かるのかがデータとして整理されていないという状況だったんですね。これはまずいけど、伸びしろはめちゃくちゃあるなと思いって、まず商品別の粗利率をちゃんと出して、どれが儲かるのかみたいなことを整理した上で、営業が上手く連携して、どの商品を重点的に売っていくかみたいなことをやりましょう、という話になったと。

 何をしようとしているかも、メリットも伝わっているはずなんですが、何故か抵抗を受けて。よくよくいろいろ聞いていくと、結局「面倒くさい」「やる人がいない」「そういう裏側の整理をやっている暇があったらほかにやることがあるからそっちを優先したい」とか、そういう理由で、手間をかけたくない、ほかの業務を止めたくないみたいな理由で抵抗を受けることは結構あったな、と。

大宮 なるほど。とにかく変化を嫌うところはありますよね。

若原 ありますね。これ、人間全般の話かもしれないですけどね。コンフォートゾーンから出たくないというか。そういう、人としての根本的なところにかかっているような理由なのかなと思います。

外圧が必然性を生む/「中期経営計画にDXと書かれたから」

大宮 そもそもやる理由、必然性みたいなものが生まれない限りなかなか動かないという感じかなと思うんですけど。

若原 外圧がかかるとか、誰でもわかる危機的な状況に陥るとか、そういうことがないと多分この手の話は進まないのかもしれないですね。

大宮 データ活用周り、DX周りでも、最近ご相談として増えているのは、「中期経営計画にDXをやると入れたから進めてください」という話とかがあるんですね。

若原 ありそうな話ですね…

大宮 それも外圧そのものだと思うんですけど。若原さんが説明していただいていた、そもそもどんな変化が伝わっているか?、みたいな話で、伝わっていて、かつメリットも伝わっていて、でもやらないみたいな人たちって、多分そういう外圧がないとなかなか行動に移せないというのがあるんじゃないのかなと、経験上も思いますね。

若原 これは別に、場面を変えれば自分自身もそうなるかもしれないなという前提での話なんですが、こういう状況って理由を突き詰めていくと、やりたくないからやりたくない、みたいなことになっちゃうので、正攻法で対応しきれないというか、そういうところが結構悩ましいところで、新しいことを取り組もうとする方たちの中では、こういう理由で悩まれている方も多いんじゃないかなというのは想像できそうですね。

大宮 そうですね。

担当者が評価される仕組みはあるか

大宮 我々もプロジェクトを始めるとき、「担当者さんが、それで評価されるんですか?」という確認をするんです。要は、評価制度みたいなものが組み込まれているかとか、コミットメントに組み込まれているかなど確認するんですけど、若原さんの経験したケースで言うと、評価には組み込まれていたんですかね?

若原 組み込まれてないケースのほうが多いかもしれないですね。

大宮 我々も事業を運営しているので、もちろん社内でもよくあるんです。コミットメントしていることに対しての責任はすごく全うするんですけど、それからちょっと派生したもの、それと関係ないというか、関係ないと言っても、いろんな機会があったりするので当然チャレンジすべきことも多いなと思うんですけど、そっち側の優先度が上がらなくて、やったほうがいいことはわかるけど、ちょっと手が出ない、みたいな話はあるなと思っているんですよね。

若原 確かにありますね。

大宮 評価もそうですが、もしかしたら、そもそもこのプロジェクト自体をどう評価してあげるのか、チャレンジする姿勢を評価できる体制になっているのかなど、そういうところまで改善していかないといけないのかもしれないですよね。

若原 そうですね。これ、結構前にまとめた話をベースに話しているんですけど、当時苦労してきたことが思い出されてきて、大変だったなというのを今感じてます。

行動は評価制度に規定される

大宮 でも、そういう説明をしなくてもやってくれる人もいるじゃないですか。「若原さんが言うなら、若原さんと一緒にやりたいです!」みたいな人、当然いたと思うんですよね。一方で、動いてほしい人ほどすごく合理的に説明しても動いてくれなかったりもありますよね。多分、チャレンジしたいということよりは、評価という影響システムのほうが強くその人の行動を抑制しているんじゃないかという部分はあるのかななんて、今お聞きして思いました。

非合理的抵抗

若原 今、3つ理由をご紹介していったのを改めてまとめると、組織の中で新しいことをやろうとしたときに抵抗が起こる理由は3つありますね。1つ目は、そもそも何をしようとしているのかわかられないから抵抗が起こる。2つ目は、やろうとしていることのメリットが理解されない。最後の3つ目は、そもそも極論するとやりたくないから抵抗が起こる。で、1つ目から3つ目に行けばいくほど、理由が非合理的になっていくという感じかなと思っていまして。なので、おしなべて非合理的に起こる抵抗に対して、どんな風に解決策を見出していったらいいのかなというのは結構大事なポイントなのかなって、当時も思っていましたし、今も思っています。

実績を出すことに勝る説得力はない

若原 私の過去の経験を振りかえると結局、実績を出すことに勝る説得力はないのかなと思っています。「実際売れました」「実際お客さんがいいと言っています」とか、それに勝る説得力はないのかなと。抵抗を受ける中で、いかに実績を出すのかをどう考えたらいいのかなって思ったんです。で、そういう視点で世の中の事例をいろいろ見てみると、3つぐらいに取り組みは分類できるなと思ったんです。この3つについて、ぜひ大宮さんのご意見を伺いたいなと思います。

抵抗下で実績を出す3つのアプローチ

①水面下で進める
闇研究/Googleの20%ルール/無料ツールから試していく/バズワードは思考停止ワード

水面下で進める/闇研究

若原 1つ目は、水面下で勝手に進めちゃうというアプローチですね。これはもちろんできる範囲で、ということはあるんですけど。いろいろ調べていると、「闇研究」という言葉が出てきたりして。要は、さっきの評価の話とは全然違う世界で、水面下で自分たちが必要だと思うことを、自分たちのできる裁量と使えるお金と一緒にやってくれる人の範囲でやってみて、結果が出たらそれを報告して認めてもらうみたいな、そういうやり方があるのかなというのを調べながら思いました。

Googleの20%ルール

若原 これを考えたとき、Googleの20%ルールってあったじゃないですか。あれってある種、闇研究みたいな、水面下の動きを会社としてオフィシャライズしたということになるなと思っていまして。そういう観点で見ると、Googleの20%ルールの中で取り組まれたことというのは、Googleが新しくリリースしたサービスのうちの半分は、その20%ルールの中で生まれて、みたいな話があるじゃないですか。なので、評価やリソース配分とは切り離された世界で自由に何かやらせてもらうことってすごく大事なのかなと思うんですね。そういう力学を自分たちで上手く作り出すというのは、ちょっと変化球的ですけど、何か物事を上手く作る一つのポイントになるのかな、っていうのは思っていたことの一つですね。この辺って何か思われることとかありますか?

大宮 データ活用においての話でいうと、例えば、「Treasure Data CDP」とかもわかりやすい例かもしれないんですが、どうしても基盤を導入したとしても稼働しないので、そこにデータを集めてきて、ということが当然必要なので、基盤を導入した後に水面下では結構進みづらいなと思って。セキュリティチェックしたり、いろんなことやらなきゃいけないので。

若原 オフィシャルにやらないといけないですもんね。

大宮 ただ、その手前でやれることというのは結構あると思っていて。

無料ツールから試していく

大宮 例えば、CDPを導入するか否かみたいなことを検討するとき、無料で使えるツール、世の中的に言ったらGA(Google Analytics)とかも使えると思うんです。実際に我々もプラットフォーム選定をお手伝いをする中で、どういう風に効果を出していくか?というのをシミュレートしていくのに、Google Analyticsを使って事前に分析をかけていって、恐らくこの項目がこういう風に改善するであろう、というのをシミュレートしたりするんですね。さっきの話にも通ずるんですけど、わかりやすく伝える、ビジュアライズして伝えるということをやると、そのデータと言われるものを活用していくことに可能性を感じてもらえるということはあるなと思っていて。

バズワードは思考停止ワード

大宮 前回の対談の話に戻りますが、キーワード先行というかバズワード化していくと、思考停止するなと思っていて。バズワードってある種、思考停止ワードな気がするので、「データ活用」や「DX」など言われた瞬間に、「今手前でやれることってそもそも何があるんだっけ?」という整理を疎かにするケースってあると思うんですね。急に、エクセルをバカにし始めたりとかして。「いやいや、全然エクセルで集計してもいいじゃん!」みたいなこともいっぱいあると思うんです。けど急に、「SQL書きましょう」とかなったりするんです。でもそれは手段と目的の話だと思っていて。データ活用において水面下で進めるというのは、もしかしたらそのフェーズを上手く切って、民主化というか、社内での「データ」と言われるものの活用の市民権を得ていくには、あるものでも十分やっていける可能性があるなと思っていて。

若原 おっしゃる通りですね。僕の話は、データ活用っていうことを特に意識して書いたわけではないんですけど、大宮さんにきれいにデータ活用分野に具体化してお話を補足いただいた感じがあって、すごくありがたいです。

大宮 よくある話ですし、実際どうなるの?という話は弊社としても当然気になることだと思いますので、実績出しちゃうというのは早い話かなと思うんですけど、そのためにはやれることって実は結構ありますよね、と経験上も思いますね。

若原 上手く、すぐにやれちゃうことを活用しながら、一部かもしれないですけど、小さな成功体験・実績を生んで、上手く社内を説得していくみたいなことは一つできるかもしれないですね。

抵抗下で実績を出す3つのアプローチ

②トップダウンで治外法権をつくる/企画会議を通さず勝手に進める

トップダウンで治外法権をつくる

若原 実績を出すための2つ目の取り組みとして、これも聞く人によっては、「そんなのずるいじゃん」と捉えられちゃうかもしれないんですが、トップダウンでその取り組み自体、治外法権にしてもらう、みたいな。「社長にやれと言われたから、やっています」みたいなことをどれだけ作れるか、みたいな話は確かにあるなと思いますね。

企画会議を通さず勝手に進める

若原 ちょっと古い話なんですが、ある家電メーカーさんが、社名を隠してどうしても世に出したい商品企画を、勝手にクラウドファンディングに突っ込んじゃったという話がありまして。これは社長だけが知っていた話らしいんです。そのある商品企画の担当者の方がいらっしゃって、それを社内の商品企画会議に乗せていっても恐らく通らないだろうということを感じて、社長だけに言ってクラウドファンディングに突っ込んで。「出資が集まりました」という状況って、それに勝るニーズ調査の結果はないというか。これだけの方が、これだけお金出してくれると言ってるんだから商品化しましょうよ、みたいなかたちでその評価を逆輸入したというか、そういうやり方があって。ただこれは、完全に1人でやっていたら社内がざわつき兼ねないなと思うんですけど、そこを上手く社長と話を通しておくことで、ギリギリの線でやった、みたいなことだったのかもしれないな、と思いました。

大宮 面白い。メーカーがやっていきたい企画があるんだけども、社内で新しい企画を通そうとすると反発を受けちゃうよね、というだからということですよね?

若原 そうだと思いますね。恐らく商品企画自体が、そのメーカーさんの既存の商品カテゴリーのどこにも当てはまらないような商品の場合って、そもそもどこの会議体にこの企画持っていったらいいのかがわからなかったり、持ってこられた会議体の人たち側にとっても、これ別にうちが扱うカテゴリーじゃないんじゃないの?みたいな感じになっちゃうと、そもそもまっとうな議論ができないとか、いろいろあると思うんです。恐らくそういう状況を経た上で、クラウドファンディングにプロトタイプを突っ込むという判断だったのかなと思います。

大宮 なるほど、面白いですね。

若原 こういうのは面白いですし、思いがあるからこそ成し遂げられるやり方なのかなという感じもしますよね。

ボトムアップとトップダウンの説明責任

大宮 これがボトムアップ的なアプローチで社長を巻き込んだということも考えられますし、社長がやれと言ったということも、両方考えられ得るケースですよね。

若原 僕も、そこがどっちからかというのは存じ上げていないんですけど、両方あり得ますね。

大宮 データ活用文脈においても両方あり得ると思っているんですけど、ちなみに断然進むのはトップダウンですね。

若原 それは絶対そうですね。

大宮 先程ご紹介したケースの中でも、「IR資料の中に盛り込んじゃう」みたいな話をさっきお伝えしたと思うんですけど、あれも外圧を受けないと進められないみたいな話だと思うんです。いろいろプロジェクトでお客様やクライアント様の担当者さんと接触していると、アカウンタビリティ(説明責任)を皆さんすごく気にしてらっしゃって。特に結果が出てない場合、説明しづらくて。「売上が20%上がりました」「30%上がりました」という風になれば説明しやすいので全然いいんですけど、プロジェクトの途中だったりする場合、なかなか説明しづらいので。「それって本当に投資し続ける意味あるの?」って問われたとき、「ちょっとわからないですね」となりがちなんですよね。それはある種、アカウンタビリティを果たせてないという話になるんですけど。

 ボトムアップで行く場合は、そこに思いが乗っかると「いや、大丈夫です!」っていう説得を試みると思うんです。もしくは、他社さんのケースでいろんなものを集めてきて、とにかくその説明責任を果たそうとすると思うんですけど、それは相当荒波に立ち向かっていく感覚になるので、よっぽどの思いがないと相当難しいなと思うんです。一方でトップダウン、社長がこれをやれって言った瞬間、皆さんアカウンタビリティがすっ飛ぶんで。「これは、やれと言われているからやっています」となっているので、そうすると結果的にはどんどん進んでいって、ということはよくある話だなと思いますね。

若原 やっぱりトップダウンをどうやって獲得できるかというのは、我々の立場からしても非常に大事なところですよね。わかりました、ありがとうございます。

 1つ目のポイントとして、水面下で勝手に進める。2つ目のポイントとして、トップダウンで治外法権にするみたいな話をご説明しました。

抵抗下で実績を出す3つのアプローチ

③途中経過を公開する


若原 
3つ目の話は、もしかしたら2つ目の話とちょっと関わるんですけど、途中経過を社外に出しちゃって評価を受けるという話が面白いなと思っています。

これは、今年は中止になりましたが、アメリカのテキサス州のオースティンという街で毎年3月にSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)というイベントをやっていまして、私は近年、毎年参加させてもらっているんです。で、このイベントを上手く使って商品企画を進めているという日本のメーカーさんもあるという話があって。

 このSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)というイベントをご存じない方向けに簡単にご説明すると、一般的には音楽と映画とテクノロジーの複合型のイベントと言われています。要は、いろいろな面白い未来を示唆するようなモノがたくさん集まってきて、それを、荒削りではあるけども、面白いと思えるような感度の高い人たちがたくさん集まるようなイベントですね。そういう感度が高い人たちが集まれるところに、社内だけだと判断しきれない新しい企画を、途中なんですけど突っ込んじゃって、その方々にレビューしてもらって、筋の良さそうなものは社内に持ち帰って、事業化や商品化なりを検討する、という取り組みが近年日本企業で行われていて、それがすごく面白いなと思っているんです。

 これも先程のクラウンドファンディングの話と似ているかもしれないんですが、社内だと、海のものとも山のものともわからなくて判断しきれない商品のプロトタイプを、こういったイベント会場へ持っていって展示ブースを作って、いろいろな人に来場してもらいながら、「これってこういう風にも使えるんじゃない?」「これってこういうところが面白いところだよね」「これってこういう可能性もあるかもしれないよ」、みたいなフィードバックをいろいろいただくと、社内で検討しているよりも、格段に幅とスピードをもって企画が練り上がるらしいんです。こういった取り組みもすごく面白いなと思いますし、ある種、実績を出しちゃうという目的でも面白いのかなと思ったりして見ていました。

大宮 実際のユーザーの声も集まりそうですし、素晴らしい取り組みですよね。

展示会やプレスリリースで既成事実化/効果的なインナーコミュニケーション手段

大宮 社内に出してしまうという話って、インナーコミュニケーションにもすごく使えるなと思っていて。

例えば、データ活用において社外に先に出してしまうという話も実はあるんですね。ちゃんとサクセスケースになってから、いわゆる「事例」としてお出ししていくというのが基本路線ではあると思うんですが、例えば、「これから導入していきます」「こういうふうに活用していきます」というのも、プレスリリース出してしまうことによって既成事実化して、それを社内に、「もう出したからやっていくよ」という風にしていくという使い方もあるなと思っているんです。

 不思議なもので自社内で言われるぶんには、納得感ないし、説得力ないんだけども、外部のメディアや、例えばSNSとかで取り上げられていますとなると、自分たちの活動自体をより良くしていこうみたいなモチベーションに繋がっていって、プロジェクトが進んでいくということはあるなと思っているんですよね。

若原 ありますね。人間心理の面白いところかもしれないです。同じこと書いてあっても、社内資料のパワポに書いてあるのと、例えばPR TIMESみたいな外部のサイトでの自社のプレスリリースで紹介されているのを見るのと、同じ内容でも受け取られ方全然違いますもんね。心理的なところを上手く使うというのは確かに全然ありですね。

社外を使って社内を動かす

大宮 社内の評価を上手く使っていくことや、社外のメディアパワーを上手く使っていくというのは、プロジェクト推進上、非常に有効ではないかなと思いますね。

若原 確かにそうですよね。私が過去にまとめた話を大宮さんに紐解いていただくと、データ活用とデジタルトランスフォーメーションの文脈でよりわかりやすくなって非常にうれしいです。ありがとうございます。

大宮 よかったです。ありがとうございます。

若原 今日お互いの持ちネタを、デジタルトランスフォーメーションを上手く進めていくにはという目的で意見交換してきたわけですが、すごく面白かったです。改めて勉強になりましたし、もしかしたら今既にデジタルトランスフォーメーションに取り組まれている方、これから取り組まれようとしている方々に少しでも参考になるような対談になっていたら、非常に僕らもうれしいです。ぜひ参考にしていただければなと思います。大宮さん、今日は長時間いろいろお話を聞かせていただきまして、ありがとうございました。

大宮 こちらこそありがとうございました。

ーーーー

最後までお読みいただきありがとうございます。

Speee大宮さんとの対談は以上になります。引き続き、当サイトでは弊社エバンジェリストの若原と各界の素敵なゲストによる対談やソリューションパートナーをご紹介していきます。ぜひお楽しみに。

続きを読む

トレジャーデータ株式会社

2011年に日本人がシリコンバレーにて設立。組織内に散在しているあらゆるデータを収集・統合・分析できるデータ基盤「Treasure Data CDP」を提供しています。デジタルマーケティングやDX(デジタルトランスフォーメション)の根幹をなすデータプラットフォームとして、すでに国内外400社以上の各業界のリーディングカンパニーに導入いただいています。
Back to top button

Treasure Data CDP 事例資料

最新データ活用事例が集結

今すぐダウンロード

CDP導入のためのチェックポイント

大手企業のための、プロジェクト成功のベストプラクティス

今すぐダウンロード

CDPリサーチ資料

プライベートDMP市場動向レポート2020年

今すぐダウンロード

Treasure DataのTotal Economic Impact(TEI:総経済効果)

Forrester Consulting 調査レポート

今すぐダウンロード

無料オンライン相談窓口開設

CDPに関するお悩みを解決しませんか?

お気軽にご相談!