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「Lookerのアイディアは、創業時から変わっていないんです」DXを加速させるエコシステム戦略とは

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次世代データプラットフォームを提供するグローバルカンパニー、Looker。Treasure Data CDPのソリューションパートナーとして、またPLAZMAのオフィシャルスポンサーとして活動をともにするLookerのCEOであるFrank BienとKeenan Riceが、2月のPLAZMA Hitotsubashiの登壇にあわせて来日した。今回はそのタイミングで行ったインタビューの様子をお送りする。聞き手はTreasure DataでMarketing Strategistを務めるSean Valencia。

大規模データベースでのBIツール構築を目指して

──本日はありがとうございます。まずは簡単に自己紹介をお願いします。

Frank Bien:私はLookerのCEOを務めています。個人的なバックグラウンドを申し上げますと、私のキャリアは大規模データベース開発に携わるところから始まりました。こうした分野においていまだに誰も新たな分析プラットフォームを構築していないと感じたことが、Lookerの創業に繫がっています。

Keenan Rice:本日はありがとうございます。私はLookerで、新興市場におけるグローバルVPを務めております。Lookerには2012年より在籍し、ビジネスの拡大をミッションとしていました。それ以前は、キャリアを通じてソフトウェア会社に在籍していました。

──Lookerについて教えてください。

Frank Bien:私たちはカリフォルニアを拠点とする、データアナリティクスカンパニーです。私たちがこれから始めるデータ社会で目指しているのは、データプラットフォームの再構築です。 現在、私たちを取り巻くデータビジネスでは、ビジュアライゼーションやカテゴライズ、ガバナンスといった、それぞれのツールが非常に細かい粒度で、かつ膨大な数で商品化がなされているという課題があります。私たちはその課題を、ビジネスに必要な全ての要素を包含するデータ分析プラットフォームにまとめ上げることで、単一の、シンプルで展開しやすいソリューションとして提供しています。技術的には新しい基盤を構築したともいえますね。 Lookerのビジネスは急拡大中で、約1,700のユーザーが存在します。SunrunからUber、King、The Economistをはじめ、広範な領域で活用されています。

──Lookerの製品を構想したきっかけを教えていただけますか?

Frank:私は90年代後半にDellを去り、大手MPPデータ分析データベースのひとつであったGreenplumという会社に転職しました。ベンチャー支援のエンタープライズソフトウェアを使い、企業向けにこれらのソリューションを構築することが仕事で、人々がどのようにして異なった視点からデータを活用できるかを模索し始めました。 BIツールがグロースし続けている一方、データベースは遅くて、高コストであると感じていました。抽出や、データエンジン、キューブ、およびスキーマに関するすべてのアイディアは、実際にはもう必要ではなくなっていたのです。Greenplumでは、すべてのデータを大きなデータベースに格納していました。データを分析するにあたり、皆同様なアプローチを行っていました。すべてが抽出とサイロでした。 Lookerは、データベースの能力を最大限活用するプラットフォームを構築したいと考え、そのインフラストラクチャのフロントエンドの要件を満たすための製品を作りました。これが創業から6年間、Lookerで取り組んできたことです。 Lookerのアイディアは、実は創業時から変わっていません。その点が他社と比較しても非常に興味深い企業であるかと思います。

──それは未だに、Lookerを競合他社と差別化しうる特徴と言えますか?

Frank:私たちは早い段階で、当時まだ答えの出ていなかった分野に賭けました。1つ目は、巨大データベースの活用です。 4〜5年前、人々はまだこれがクレイジーなアイディアだと言っていました。データベースに直接クエリを実行することはできませんでした。明白なのは、ペタバイト単位の情報でスケールし、それを数千人単位のユーザーに提供する顧客がいるということです。 私たちが賭けたもう1つは、SQLです。私たちは、SQLがビジネス及びビジネスアナリティクスの言語であると信じていました。データベースがSQLで語られる限りにおいて、データベースの下に何が存在するのか、その本質的な事柄について認識することが出来ないと考えていました。Lookerは、SQLクエリエンジンであるPrestoや、その他の新しい分散基盤だけでなく、クラウド上のデータベースをサポートしています。私たちのソリューションは、まさにあらゆる環境で動作しています。 結果、この2つの賭けは本当にうまくいきました。 今後変わっていくのは、ビジネス活用に共通しているレイヤーを提供するときの方法です。単なるビジネスインテリジェンスのツールが要求されるのではなく、統合されたアプリケーションの形式が求められ始めています。「データアプリケーションの出現」と私たちは呼んでいます。これからのビジネス要件では、ひとつのアプリケーションのなかで、データを計測し、分析し、施策を打てなければいけません。現行どおり、それをビジネスインテリジェンスツールと呼べるかどうかはわかりません。しかし、間違いなくビジネスに求められているアプリケーションと言えます。

日本市場参入の鍵となったエコシステム戦略

──戦略的な部分を聞かせてください。日本市場に参入を決めた理由は?

Frank:私たちは、新しい地域でビジネスをする効果的な戦略を学習し、その公式を編み出しました。アメリカからはじめ、ヨーロッパで急激に展開しました。はじめはインサイドセールスチームから多くの潜在顧客が存在する大都市圏。ヨーロッパではロンドン、それからダブリンにオフィスを置きました。ビジネスの約20%が当地で行われています。 日本に進出した一番の理由は、日本国内、特に東京が、私たちが得意とする中心的な大都市圏だったからです。加えて、伝統的な企業と同程度に、先進テクノロジー企業のための新しいスタートアップコミュニティがあったのも理由です。私たちは日本語を話せる従業員を採用し、実際に現場に配属し、駐在員として日本に派遣しました。それからスタッフを増やし、セールスだけでなくマーケティングを展開していきました。一般的に、日本に進出して失敗する企業はローカライズやマーケティングを軽視していますね。これらは重要な投資なのです。私たちは最初の顧客を獲得し、彼らの心を掴むことを重視しました。

──日本での手応えはいかかですか。

Frank:まだまだチャンスがあると考えています。日本の企業もデータをクラウドにどんどん移行しようとしており、どのような種類のツールを使用するのか検討しています。彼らはデータのカオスとガバナンスの問題に対処しようとしていますね。これらはすべてLookerが解決できます。私たちはヨーロッパに進出した時よりも早く、日本で顧客を獲得することができました。素晴らしい兆候です。Keenanが長く日本にいるので、詳細は彼に話してもらいましょう。

Keenan:戦略的にポジティブな点は、Lookerはエコシステム企業だということです。Treasure Data CDP、データ移動、ストリーミング、機械学習、人工知能などの技術と深く統合されています。そのため、ソリューションをまとめようとしている他の地域の顧客と同様に、他のツールやツールセット用のワークフローをすでにいくつか使っていたとしても連携できるエコシステムです。このことは日本市場ととても相性が良いですね。 また、Lookerはローカルからグローバルまで多様な地域のシステムインテグレーターやコンサルタントと密接に協力して行きたいと考えています。そこには投資家も含まれます。その意向は日本市場に非常によく適合し、十分なトラクションを得るのに役立ちました。 Frankが申し上げたように、私たちはクラウドに集結する多くのデータワークロード、他のクラウド会社の成功、データ分析と機械学習を進める企業を後押しするため、日本に参入しました。喫緊の課題は日本企業がデジタルトランスフォーメーションを進めるにはもう少し時間が必要であることで、それに対しては辛抱が必要と考えています。

── Lookerはどのようにエコシステムとコラボレーションを促進しているのでしょうか?

Keenan:何よりもまず、お客様に多様な選択肢を提供したいということです。以前、分析を行う方法はひとつでした。今では無限の方法があります。IT分析なのかマーケティング分析なのか? セキュリティの最適化なのかパフォーマンス分析なのか? このようにあらゆる種類のデータ分析パターンが存在します。 Lookerをその他のざまざまなエコシステムの中にある一つのエコシステムの一部として考えることができます。 わたしたちは、必ずなんらかの価値との統合をエコシステムに盛り込み、その上で顧客がその製品にアクセスできる選択肢を提供します。

Lookerが描く日本企業のデジタルトランスフォーメーション

──日本のいわゆる大手企業は、Lookerを使ってどのようにデジタルトランスフォーメーションを達成できるのでしょうか。

Frank:方法論的には、世界の企業と同じだと考えます。 専門性の高いポイントソリューションデータツールや、視覚化ツール、データ作成ツール、これらすべてのツールが急増しています。昔から存在してきたいくつかの大きく画一的なツールから引き継がれたものです。それらのシステムは「情報に頼るべきだ」という見解を企業に与えていました。しかしこの業界が進んでいくにつれ、我々はある種ガバナンスを失いました。データを見ているときに、それが適切な指標、適切なタイミングであると確信がもてなくなったんですね。企業はデータサイエンスの優れた部分に焦点を当てていたと思いますが、ビジネスデータを見失ったわけです。 あらゆる企業がこうした混沌に直面しています。共通の測定基準を持って人が分析運用できなくなっている。データドリブンのカルチャーを会社に根付かせるには、データへの信頼性が必要です。この信頼性がなければ、誰も同じ言葉を話すことはできず、カルチャーの改革を始めることすらできません。 Lookerは「データの可視性」を重視しています。データがサイロ化されてしまうツールを使ってしまえば、データチームに質問をする人の列がますます長くなる。ツールのサイロ化はなくならなければいけません。 Lookerはこのような混乱や、アクセスとボトルネックの問題をデータガバナンスの構築やセルフサービスBIにより解決します。一旦我々が問題を解決しさえすれば、顧客は新しい方法でデータを活用していくのです。それは日本だけでなく、ヨーロッパやアメリカでも同様です。企業は分析に1番もしくは2番目に費用を充てます。なぜなら、分析はビジネスの観点から本当に重要だからです。

Kennan:ガバナンスについて考え、それを現代のインフラストラクチャの上に置くと、この新しいプラットフォーム、すなわちLookerを正しく展開することができます。データカオスの解決とデータの透明性を高め、特に日本国内の大企業がクラウドより大きなデータインフラストラクチャへの投資を確実に活用できるよう支援することもできます。それが完了すれば、Frankが申し上げたように、これらのデータエクスペリエンスを構築するという考えはデジタルトランスフォーメーションの最大の原動力になるでしょう。 どのように、マーケティングのデータ分析専用のエクスペリエンスを作れば良いか。サプライチェーンと在庫に対してどのように明示的にエクスペリエンスを作ることができるか。それらは、Lookerとエコシステムの組み合わせであり、これらの投資を活用することによって、企業は日本国内でのデジタルトランスフォーメーションの価値を実感できるようになると私は考えています。

Lookerが志向するのはBIツールではなく、次世代の「サービス」

──Lookerの今後の展望について教えてください。将来プラットフォームを採用する予定はありますか?

Frank:プラットフォームの構築は大きなことです。私たちがやろうとしているのはパズルの一片ではなく、全てです。プラットフォームを構築するためには、膨大な量のエンジニアリングと製品開発が必要ですね。 私たちはアプリケーションを構築し続けています。北米だけでなくアジア太平洋地域でも構築するということは我々が前に進んでいくために大きなことだと思います。Lookerは、人々がより迅速に価値を認識できるようにするためのパッケージングソリューションを構築しました。これらは、これまでお客様と行った何百もの実装に基づいています。私たちの夢は、次世代のディスカバリー系ツールになるのではなく、今すぐ次の「サービス」になることです。データや分析に関連して何十億ドルもの収益を上げている企業はこれまでにありません。これは実に大きなチャンスだと考えています。

──Lookerのカルチャーでユニークなのはどのような点ですか?

Frank:私たちのカルチャーは面白いですよ。頭に入れておく必要があるのは、カルチャーは本物でなければならないということ。創業初期のころから、私たちは「Lookerで働くことはどういうことか」を定義しようとしました。それらの定義は私たちの中心的な価値観となりました。それは「Love Looker Love」です。 私たちが顧客とのよい関係を持ち、顧客がそれを心地よいと感じている状態を表しています。「Looker Love」とは顧客が私たちにプレゼントしてくれるものだと考えています。契約を更新するだけのような関係はありません。まず価値を定義し、その周りに会社を築きます。だからカルチャーは私たちにとって非常に重要です。 それは社員同士の関係でもそうです。「Lookerは私が今まで働いた中で最高の会社です」と言えるような関係を作りたいのです。一緒に仕事をするのは、社員全員の選択。そのために機能する中核的な価値観を持つことが重要だと思います。

Keenan:このマーケットでLookerが最も差別化に成功したポイントは、Lookerで働く人々です。Lookerに新たなカルチャーが創り出されることが、顧客満足に直接結びつきます。「Love Looker Love」は私たちのプロダクトを通してだけでなく、顧客との間に強いエンゲージメントを持つことです。

──日本市場に深く入り込むために、これを読んでいる人へのメッセージをお願いします。

Frank:Lookerは、おそらくこれまでで最も急成長しているデータ分析会社のひとつです。私たちと同じくらい早く成長した、または現在のSaaS企業のペースで成長した、フロントエンドツール企業はほとんどありません。私たちは、顧客とのパートナーシップを心より信じ、各顧客を成功に導きます。SaaSサブスクリプションモデルの真の価値は、我々サービス提供者が顧客から立ち去ることができないということだと思います。サービス提供者は顧客を成功に導き、長期的に物事を見通す必要があります。それが私たちが企業として持っているカルチャーの一種であり、私たちが成功している理由だと信じています。

トレジャーデータ株式会社

2011年に日本人がシリコンバレーにて設立。組織内に散在しているあらゆるデータを収集・統合・分析できるデータ基盤「Treasure Data CDP」を提供しています。デジタルマーケティングやDX(デジタルトランスフォーメション)の根幹をなすデータプラットフォームとして、すでに国内外400社以上の各業界のリーディングカンパニーに導入いただいています。
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