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システムインテグレーターからみる、マーケティングプラットフォームの作り方|日本情報通信株式会社

Lightning Talk|日本情報通信株式会社
マーケティングソリューション システムエンジニア 安藤 舞氏

マーケティングプラットフォームを最大限に活用するには、どういった課題を解決すればよいのでしょうか。長年にわたってシステムインテグレーションを手がけてきた日本情報通信では、顧客企業のマーケティング施策に向けたデータ活用の課題を、適材適所のインテグレーションで解決しています。2019年5月に開催された「PLAZMA 2019 Japan IT Week 春」で登壇した同社のマーケティングソリューション システムエンジニア 安藤舞氏がその取り組みについて語ります。

NTTと日本IBMの合弁会社がマーケティングソリューション分野に

日本情報通信は、NTTと日本IBMの共同出資によって誕生したシステムインテグレーターだ。設立は1985年で、ハードウェアやソフトウェア、ネットワークはもちろん、AI、ディープラーニング、IoTといった最新分野まで、IT全般を網羅したシステムインテグレーションを手がけている。

親会社がNTTと日本IBMのため、これら2社の関連製品を取り扱うことが多かった同社だが、これまでとは一線を画す分野へも範囲を広げている。安藤氏は、「最近ではトレジャーデータをはじめとする他社製品のインテグレーションにも積極的に取り組んでいます」と話す。

安藤氏が担当するのは、主にメディアや小売業、飲食店などに向けたマーケティング関連のプラットフォームの提案だ。提案のみならず、エンジニアとしてプロジェクトに入り、システムの実装にも携わっている。

マーケティングプラットフォームにおけるデータ収集の課題

安藤氏が提案するマーケティングプラットフォームでは、まず企業が持つさまざまなデータを収集し、カスタマーデータプラットフォーム(CDP)として統合する。そこでデータを分析、可視化して、メールやバナー広告、アプリのプッシュといったマーケティング施策の実行につなげている。

こうしたプラットフォームに向け、マーケティング用のデータを準備する際の課題として安藤氏は、接続先のツールが変更されるごとに開発が必要となり、欲しいデータがすぐに入手できないといった点や、顧客のタッチポイントであるアプリやWebサイト、店舗などのデータがばらばらに存在していて同じ顧客として認識されず、データを横串で確認できない点を挙げる。

その課題を解決するために利用するのが、「Arm Treasure Data eCDP」だ。まず接続先のツールに関する課題に対しては、Arm Treasure Data eCDPでさまざまな接続先のコネクターを準備。コネクターは随時アップデートされており、ユーザーが作り込む必要はなくメンテナンスいらずだという。また、Arm Treasure Data eCDPにはWebサイトのログデータを収集するためのタグや、アプリの行動ログを収集するためのSDKが用意されている。これをサイトに実装することで、サイトやアプリのデータが容易に収集できるという。

Arm Treasure Data eCDPによるデータ収集は、一般のWeb分析ツールと違い、「集計されたデータではなく生ログデータが入手できるため、柔軟に加工できるのが大きなポイントです」と安藤氏は述べている。

顧客データを統合する際も、Arm Treasure Data eCDPが鍵となる。会員IDなどで顧客が把握できる場合はそのIDをベースに、会員IDがない場合はWebサイトのCookie IDをベースにして顧客データを統合。こうしてオーディエンスを作成することで、「データを横串で見ることができ、各顧客のプロフィールが明確になります」と安藤氏は説明する。

さらに、データをセグメンテーションすることで、新たなユーザー属性も定義できる。例えば、1カ月以内にアプリをインストールした顧客、3カ月以内の購買額が特定の金額以上の顧客といったように、セグメント別のリストを作成し、その属性に応じて手厚いフォローをすることも可能だ。

データ可視化の課題を解決する方法は

続いて安藤氏は、データを可視化する段階における課題を指摘する。この段階では、データを作成する人によってデータの定義がバラバラで、数値の正確性に不安が残る点や、データベースとBIツールの連携に時間がかかり、ダッシュボードに最新データが反映されないことがある点が課題だという。また、特に業務部門からは、集計値ではなく各個人の状況が把握できるダッシュボードが欲しいといった要望や、レポートを簡単に作成したいといった声が上がっているという。

こうした課題は、「ダッシュボードツールをインテグレーションすることで解決できます」と安藤氏は説明する。まずデータの定義が人によって異なるという課題に対し、安藤氏はBIツールの「Looker」を提案する。同ツールでは、すでに定義づけられた項目を選び、マウスを操作するだけでレポートが作成できるものだ。

また、データ連携については、Arm Treasure Data eCDPを直接参照し、トレジャーデータの計算結果からレポートを作成、「定期的にレポートを更新するだけで、最新かつ大量のデータが利用できます」と安藤氏は説明する。

レポートは、担当者が表示したい項目を選ぶだけで簡単に作成できるという。生データを直接見ることができるため、「最近特に引き合いが多い」と安藤氏。このレポートを見ることで、顧客の来店時などにプロフィールを参照して対応に結びつけることも可能だという。

今回安藤氏が紹介したLookerには、Arm Treasure Data eCDPと接続するテンプレートが備わっているため、「特に作り込まなくても簡単にデータの可視化ができる」という。BIツールにはテンプレートが備わっているケースも多いため、レポート作成はこうしたテンプレートから始めることを安藤氏も勧めている。

データ分析を効果に結びつけるために

次に安藤氏は、データ分析に関するユーザーの要望を取り上げた。その要望とは、自社の顧客にどのような特徴があるのかグループ化したいといったことや、商品をレコメンドする際にさまざまな要素を分析し、その結果から効果のある商品をレコメンドしたいといったことだ。

こうした要望は、分析ツールをインテグレーションして対応しているという。まず顧客データやその購買行動から、似たような顧客をグループ分けする。グループ分けの結果から、各グループの特徴を導き出し、それぞれに有効な施策を立案していくという。

顧客データや購買行動からは、併売分析も可能だ。これにより、商品間の関連性が把握できる。おむつを買う人はビールも買う傾向があるという事例は有名だが、「頭で考えただけでは想像できないような組み合わせが、併売分析によって発見できます」と安藤氏は話す。

多彩なマーケティングチャネルに対応したMAツールも効果的

こうしてさまざまなデータを元にマーケティング施策を実行することになるが、マーケティング担当者は施策そのものをできるだけ自動化し、施策立案に注力したいと考えるものだ。また、コンテンツをできるだけパーソナライズし、凝った内容を用意したいものの、ソースコードはわからないというマーケティング担当者も多い。さらに、チャネルによってツールが異なり、操作を覚えきれないという課題を抱えるケースもある。

施策の自動化については、「多くのマーケティングオートメーション(MA)ツールに自動化機能が備わっているため、ツールを活用してください」と安藤氏はアドバイスする。例えば、キャンペーンメールを送信し、3日以内にメールを開封していない人にはアプリでプッシュするといったような施策を自動で行うことが可能になるという。また、コンテンツも、GUIで操作しながら簡単に作成できるMAツールが多いとしている。

一方、最初はメール配信だけだったのが、のちにアプリプッシュやSNSでキャンペーンを展開するといったケースもあるため、MAプラットフォームを選択する際は、さまざまなチャネルに対応したものを選ぶよう安藤氏はアドバイスしている。こうすることで、「チャネル間で統一したインターフェースが利用できます」と安藤氏。さまざまなチャネルに対応していないと、施策を自動化する際に対応できる範囲が狭まってしまうこともあると、安藤氏は警告している。

Arm Treasure Data eCDPとWatson Campaign Automationを活用したユースケース

ログインがないサイトを含め、いくつか事業部ごとにサイトを持っており、かつ店舗持っているカスタマーの紹介である。このカスタマーはArm Treasure Data eCDPとWatson Campaign Automation(MAツール)を導入し、連携している。 通常、各WEBサイトの顧客の動きは、同一セッションでないと、同一人物と特定するのは難しい。しかしArm Treasure Data eCDPを導入することでそれが特定できる。あるサイトに顧客がログインすることで、他事業部のログイン無しサイトでの顧客の動きが同一人物としてArm Treasure Data eCDPに格納される。それにより顧客のジャーニーマップを把握することが可能だ。また、そのカスタマーはMAツールを使った自動化も行っている。特定のメールキャンペーンを送って開封していない顧客に、数日後再度送信する、といった施策を自動化している。シンプルではあるが手動でするとなると大変手間がかかる作業だ。こういった自動化をこれから増やしていく意向だ。

「システムインテグレーターだからこその、お客様の生の声や、悩みをたくさん聞くことが多い。我々はどうやってその悩みを解決・実現するかをお客様とディスカッションし、そのまま、そのメンバーが実装まで対応する。日本情報通信ならではの立場だからこそ、悩みの回答を出せることがある。だからこそ、些細な悩みでも構わないので相談してほしい。」と安藤氏はセッションを締めくくった。

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