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テック企業との連携で進める静岡銀行のデータ活用とは?|静岡銀行

CASE STUDY|静岡銀行
イノベーション推進室 渥美 直人氏

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デジタル化が加速し、時代も大きく変わろうとする中、いま金融業界も変革を求められています。その中で、静岡銀行は、トレジャーデータをはじめとするさまざまな企業との連携により競争力を高め、サービスの向上はもとより、地域経済の活性化をも狙った挑戦的な取り組みを進めます。「PLAZMA 2019 KANDA」にて講演を行った同行のイノベーション推進室の渥美直人氏がその概要を解説します。

テクノロジーで銀行の体制強化を図る静岡銀行

昭和から平成にかけ、金融業界は再編や吸収合併などにより業界地図が大きく塗り替わった。特に地方銀行は、人口減少などが要因で厳しい状況に直面している銀行も多い。その中で静岡銀行は、地元企業に支えられ単独で競争力を保っている。

静岡銀行では、銀行同士の合併によって競争力を高めるのではなく、さまざまな企業と連携することで競争の基盤となるテクノロジーを活用したサービスを拡充するという戦略を進めている。これは、同行が第13次中期経営計画において、地方銀行の新たなビジネスモデルの構築を目指すべく掲げた「TSUNAGU~つなぐ」というスローガンに集約されている。同行とトレジャーデータの協業も、こうした同行の戦略が背景にある。

2019年4月には、異業種企業との連携を加速させるべく、イノベーション推進室を新設した。スタートアップ企業を含めさまざまな企業と新たなビジネスを展開し、事業領域を拡大することが目的だ。「仮想通貨やブロックチェーン、AIなど、銀行経営を変革させる可能性のある事業革新に、スピード感を持って対応していきたいと考えています」と渥美氏は話す。

こうした戦略の中、同行ではトレジャーデータとの協業のほか、リーウェイズ株式会社が提供するAI不動産解析ツール「Gate.」と静岡銀行の審査・評価ロジックを組み合わせ、審査の精度を向上させるプロジェクトを進めている。また、ECサイトの運営ノウハウが豊富なBASE株式会社のサービスを静岡銀行の取引先に紹介し、販路拡大やリブランディングを支援するサービスも予定している。さらには、株式会社PKSHA Technologyと共同でAIを活用したビジネスも検討中だ。

「スタートアップ企業はさまざまなアイデアや最先端技術を持っています。そのような企業と組むことで、地元企業や地域住民により良いサービスが提供できると思います」と渥美氏は述べている。

ステージ上で対談する、渥美 直人氏(静岡銀行)と小林 広紀氏(トレジャーデータ)と満員の開場

店頭利用者減少の課題を解決すべくWebサイトの行動に注目

一方、トレジャーデータとの協業では、2019年3月よりマーケティングデータの管理基盤を採用し、サイトのアクセスログをはじめとするデータの収集を開始した。静岡銀行が保有するデータと外部データ(興味関心やアクセスエリアなど)を連携することで、サイト訪問者の見える化や顧客プロファイルの整備・高度化に繋がったという。

「地方銀行では、店頭に足を運ぶお客様が5年前の約半数にまで減少しています。スマートフォンに移行する時代の中で、お客様の行動が読めないことが課題でした。そこで、お客様のインターネット上での動きをデータで把握してお客様への理解を深め、最適な情報をタイミングよく提供するために、トレジャーデータとの協業を開始しました」(渥美氏)

トレジャーデータを採用するにあたって、課題がなかったわけではない。クラウドとの連携や、そもそもクラウドにデータを投入すること自体、金融機関にとっては非常にハードルの高いことだ。「リスクにどう対処するかを含め、PoCから実現までには約1年かけて検討しました」と渥美氏はいう。

それでも「トレジャーデータの強みは、さまざまなデータが連携できることです。個人情報をしっかり匿名化し、行内データと外部データを組み合わせることで、お客様に対するインサイトを高めようとしています」と、渥美氏は静岡銀行の挑戦について話す。

データを連携することで、個人が特定できるケースと特定できないケースがあるが、そのケースごとに具体的な施策を検討し、実行に移すことが今後の目標だと渥美氏は語る。例えば、個人が特定できなかった顧客に対しては、効果的な広告セグメントを作成し、既存広告とのABテストを実施。ホームページ内のコンテンツ貢献度を可視化して、UIの改善やホームページ内の導線最適化を検討する。

一方、個人が特定できた顧客に対しては、外部データを加味した顧客セグメントを作成し、最適なチャネルやタイミングでアプローチするほか、デジタル行動履歴や反応履歴を捉えた上でアプローチすることを考えている。「今後半年から1年かけて研究を進め、この構想を実現したいですね」と渥美氏は述べている。

企業のライフステージを循環させる仕組み

地方銀行には、金融業だけでなく、地方創生という壮大な命題も課されている。金融庁も地方銀行に対し、事業性評価に基づく融資を行い、企業のライフステージに応じた金融サービスや経営支援を行うことを求めている。

企業のライフステージは、創業期、成長期、成熟期、衰退期、再生期となるが、企業経営者の高齢化が進むなか、銀行が特に力を注ぐのは成熟期以降のM&Aや事業継承などだ。しかし、「新しいものが生まれて来なければ地域の成長につながる企業のサイクルも生まれません」と渥美氏はいう。そこで静岡銀行では、単に事業承継やM&Aに関わるだけでなく、良い技術を持つ地元企業とスタートアップ企業を結びつけることでさらに新しいものを生み出すといったように、成熟期以降の企業において新たなサイクルを作り出すための仕組みづくりを検討しているという。

その取り組みの一環として、静岡銀行では静岡県と共同で「TechBeat Shizuoka」(https://techbeat.jp/)というプロジェクトを進めている。これは、東京など静岡以外の地域に拠点を置くスタートアップ企業と、静岡の大手企業を結びつけるもの。両者主催でビジネスマッチングのイベントも開催している。

また、同プロジェクトではオンラインサイトも運営し、データ活用によるマッチングも促進する。「オンラインでしか得られない情報もあれば、オフラインのイベントなど対面でなければ得られない情報もあります。双方をうまく活用し、今までにないようなビジネスマッチングの実現を目指します」と渥美氏は抱負を語る。

地域活性化を加速させるCDP活用を目指して

将来的には地域経済の活性化に向け、地元企業と静岡銀行がデータ連携する「共創CDP」を構築することも検討しているという。

「実は銀行には、お客さまの属性や金融取引情報などはありますが、日々の生活に関わるお客さまの行動・購買データは限定されています。一方、地元企業にはインターネットを利用した受発注などにより、さまざまなデータが存在します。そういったデータや、TechBeat Shizuokaのマッチングデータなどを収集して管理することで、新しいビジネスや付加価値が生まれ、トレジャーデータと共にお客さまに提供できるプラットフォームが構築できると考えています」(渥美氏)

地元で力を持つさまざまな業界の企業がデータ連携し、データを軸としたバリューチェーンを構築することで地域経済が活性化する。この仕組みの中で、静岡銀行の果たす役割は大きい。

トレジャーデータ株式会社

2011年に日本人がシリコンバレーにて設立。組織内に散在しているあらゆるデータを収集・統合・分析できるデータ基盤「Treasure Data CDP」を提供しています。デジタルマーケティングやDX(デジタルトランスフォーメション)の根幹をなすデータプラットフォームとして、すでに国内外400社以上の各業界のリーディングカンパニーに導入いただいています。
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