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DX推進担当者必見!データ経営を実現するための社内企画&交渉術

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DXプロジェクトを進めるには、社内交渉が鍵となります。上層部にプロジェクトの意義を理解してもらい、いかにプロジェクトをスムーズに進められるかにかかっている、と言ってもいいでしょう。しかし、こうした事前企画・交渉ノウハウはブラックボックス化されており、なかなか形式知となっていません。

そうしたお悩みを抱えた方に向けて、DXプロジェクトの要になる「CDP」のベンダーであるトレジャーデータの堀内と、マーケターとしてこれまで数々の大規模プロジェクトを導入・運用してきたReproの中澤伸也氏が、「社内企画&交渉術」のノウハウを披露しました。

※本記事は、Repro株式会社とトレジャーデータ株式会社が主催した「【DX推進担当者必見】データ経営を実現するための社内企画&交渉術」(2021年5月開催)をもとに編集しました。
記事では、中澤氏の「経営陣の承認を得るための企画・交渉術」講演パートを中心にご紹介しています。講演のすべての内容は動画でご覧いただけます。

中澤 伸也

中澤 伸也 氏

Repro株式会社

取締役CMO

ソフマップにて店頭接客、バイヤー業務、ECサイト立ち上げ、データマイニング、店舗開発、経営管理と、様々な職種に従事。 ゴルフダイジェストオンラインのマーケティング責任者、エクスペリアンジャパンの執行役員CMO、IDOMのデジタルマーケティング責任者を経て2020年4月に取締役CMOとしてReproに参画。

堀内 健后

堀内 健后

トレジャーデータ株式会社

マーケティングシニアディレクター

トレジャーデータの日本法人設立当初の2013年2月より日本の事業展開に従事しており、PRからマーケティング、事業開発まで担当している。 トレジャーデータ以前は、プライスウォーターハウスクーパースコンサルタント株式会社(現日本アイ・ビー・エム株式会社)にて、業務改革、システム改革のプロジェクトに参画。 その後、マネックスグループにて、顧客向けWebサービスの企画・開発のプロジェクトマネージャーを担当していた。 外資企業から日本企業、大企業からスタートアップ、など幅広い環境で幅広くキャリアを経験している。

<目次>

決裁の本当の目的は「正しく判断してもらうこと」

中澤:DXにまつわる社長・経営陣決裁を、どう立ち回ればうまく通すことができるのかをお伝えします。

よく誤解されがちですが、決裁は通すためにやるものではありません。決裁とは、提出された案の採否を上長が決めることです。つまり、責任の所在は決裁を出す側ではなく、採決した方に最終的に移ります。

そのため、決裁で一番重要なのは「案を通すこと」ではなく、「いかに正しく判断してもらうか」に尽きます。この大前提を理解していないと、ここからの話が全て理解できなくなります。社長決裁の目的は、社長に正しく判断をしてもらえる状態を作ることだ、とご理解いただけるといいと思います。

社長決裁(経営陣決裁)は、部長などに決裁を通すのとは違い、とても難しいです。なぜなら、経営陣・社長との日常的なコミュニケーションの量が少ないからです。また、経営陣の方が見ている風景と、我々が見ている風景とは基本的に違います。

社長決済が難しい理由

そこには情報の量と質の格差が生まれます。また、これまで検討に費やしてきた時間の差、つまり情報量の差があります。そして、視野や視座の違いです。我々が感じている課題感と経営陣が感じている課題感は、そもそもギャップがあります。このギャップが経営陣になればなるほど大きくなるので、社長から決裁を得るというのがとても難しいわけです。

情報の量と質の格差をどう埋めるか

ではどうすればいいのか。これは、いかに情報格差を埋めるかにかかっています。情報格差を社長決裁会の会議の場だけで埋めようとすると、かなり難しいです。日常からの刷り込みが大事で、会議の決裁の前の1ヶ月間ぐらいが勝負です。

例えばエレベーターピッチや、タバコを吸われる方であれば喫煙所で、事前刷り込みを少しずつやっていきます。その際、他社の事例から入るととても効果的です。「あの会社はこういうことをやっています」もしくは「世の中はこういうふうになっています」といった話を少しずつ刷り込んでいきます。

CDPの決裁の場合では、「CDPがないとこんな弊害がありますよね」「他の会社はどこも入れていて、うちの会社は遅れていますよね」といったことを、世間話としてインストールして、情報格差を徐々に手前で埋めておくことが大事です。

検討に費やした時間の差をどう埋めるか

案を提出する側は、これまで何度も検討を重ねてきているので、社長決裁で社長から質問される内容は、事前に検討され尽くしているケースが多いものです。ですので、検討結果を経営陣がどのような観点で意識するかという視点で、あらかじめ整理しておくと効果的です。

また、社長決裁の前に、「方針を相談させてほしい」「今こんなことを考えているんですが、社長のご意見がいただきたい」というように、「判断」ではなく「意見」をもらう場を事前に設定するのもとても有効です。相談会を事前に1回2回仕込んでおくと、社長決裁の確率がぐっと上がります

CDPは、マーケティングで使われる場合が多いので、「こんな顧客体験をいつか提供したい」というマーケティングの構想だったり、「顧客体験を改善するためのデータプラットフォームは通常の社内のインフラのデータとは違うんです」ということを強調しておく。そうした事前準備をすると、社長決裁を通る確率がかなり上がります。

視野や視座の違いをどう埋めるか

視野や視座の違いを埋めることが一番難しいです。社長や経営陣は、私たちのうかがい知れないような課題を持っています。社長や経営陣が考えている課題や、今関心がある事項とピントがずれていると、いい案か悪い案かにかかわらず、今やるべきではないと判断されてしまいます。そのため、経営陣と自分のピントの調整を事前にするのが重要です。

私は、そうした情報を持っている、役員秘書や経営企画室の方と仲良くなる努力をしていました。ランチに行ったり、お土産を持って行ったりして仲良くなり、社長が最近どんなことを話しているか、どんなことに関心持っているのかを聞き出していました。

そういうルートがない場合には、社長に近い部長陣などから、今会社が考えている課題や、経営陣でホットな話題をキャッチアップしておくと、ピントを調整した形で提案ができようになります。

CDP導入を検討しているような、DXを進めたいと思ってる会社の場合には、必ず経営課題との接点になる部分があるはずです。そうした経営側で考えている課題と、その提案の内容のポイントをすり合わせておくことが重要です。

今、会社全体がコスト削減の方向なのか、成長の方向なのか、どちらに大きく舵を取りたいと思ってるのかという情報はかなり重要です。これによって、CDPを通すときにも「コスト削減」という「守り」のアプローチでいくのか、「成長」という「攻め」を強調していくのかが変わってくるので、会社が考えている方向性を理解しておくことをおすすめします。

決裁会議の日程は慎重に選ぶ

細かい点ですが、実は、決裁会議の日程はかなり重要です。社長の精神状態や体調が意思決定に大きく影響を与えるからです。

私は、人事評価会議などの”紛糾しそうな会議”が前後にあるコマを避けるようにしていました。その予測のために、役員秘書などからも情報をもらっていました。これだけで、かなり当日の雰囲気が変わってきます。細かいテクニックですが、こうした点をケアするかどうかで、決裁の承認率が大きく変わってきます。

ただどうしても、日程変更ができなかったり、空気が悪くなるような会議を前に入れられてしまったりするケースもあります。この場合、あえてその日に決裁を取りに行かないというテクニックもあります。今日は分が悪いと思ったら、「今日は、我々の考えだけをお伝えさせていただいて、決裁については後日取らせていただきたいです」と言って逃げるということも、一つの選択肢としてあります。

CDPの決裁承認が難しい3つの理由

これまでの私の経験上、マーケティングの予算を通すのはそれほど大変ではありません。しかし、DX系の予算は非常に通すのが大変です。私の場合、特にトレジャーデータのCDP(Treasure Data CDP)を入れるときには、おそらく一番苦労したのではないかと思います。

なぜ、DXを実行するために絶対に必要な基盤であるはずの「顧客データプラットフォーム(CDP)」の承認を得るのが難しいのか。それには三つの理由があります。

CDPの決裁承認が難しい3つの理由

まず、導入目的と効果が理解されにくいこと。そして、CDPの影響範囲、つまりステークホルダーが多いこと。最後に、会社にもよりますが「情報システム部」と対立しやすいことです。CDPの決裁は通常の案件以上に承認を通すのが難しく、DX系の中でも最も難しい部類になります。

CDP決裁ならではのポイント

導入効果は「コスト削減」をまず訴える

CDP決裁を通すための一番のおすすめは、「CDPでコストが削減できます」とまず訴えることです。「成長可能性」は、プラスアルファの要素として伝えるのがおすすめです。まずは「CDPを導入すると、こういうロジックでコストが削減できます」というシミュレーションを提示し、損はしないという理解を作ることです。

その上で「CDPが入るとこういった可能性があります」という成長パターンを提示します。成長シナリオにリアリティを持たせるために、ミドルリスク・ハイリターンなシナリオを用意し、不確実性が高いことは認めつつ、成功すればリターンがあることを伝えます。

加えて、やらない場合の機会損失もできるだけ提示します。「我々がやらなくても世の中やっていくので、こういったリスクがあります」「機会損失があります」という点を加えると、CDP導入の決裁の確率はかなり上がるのではないかと思います。

情報システム部を味方につける

CDPを導入したいと思う人は、マーケティングやDXで新しい顧客体験を作りたいと思っている人がほとんどです。情報システム部としてはあまり興味がなかったりします。「なぜCDPがマーケティング上必要なのか」ということを、できるだけ情報システム部にも理解してもらわなければなりません。

情報システム部は、全社のシステムに責任を負っていますが、社内的に評価されにくいという状況にありがちです。ミスがあると怒られるけれども、あまり評価されない。そこで、マーケティング部の責任を明確にしてください。我々がここは責任を持ちます、情報システム部に対して全部責任負わせません、とを言うだけで、安心感が得られます。一番いいのは仲良くなって、共同提案に持ち込むことです。できるだけ腹を割って話して、連帯感を調整しておくのがベストです。

情報システム部との交渉が決裂した場合

ここまでやっても、協力いただけないケースはあります。その場合は、情報システム部を入れないという選択肢もあると思います。その場合、なぜ情報システム部を入れないのかを、事前の根回しで経営陣に理解させることが重要です。先ほどお伝えした喫煙所トークなどを使って、マーケティング部が主導で導入する意義をまとめ、情報システム部の協力範囲を事前に明確にしておくと、協力してもらえない状態は回避できるのではないかと思います。

また、CDP入れるときに、情報システム部の方はAWSで自社構築するシナリオを好みがちです。ただし、運用まで含めた金額では、AWSによる自社開発の方が100%高くなります。割に合わないということをあらかじめ試算しておき、対抗策として持っておいてください。

全社のシステムに影響を与えるかどうかも、とても気にされます。「疎結合」であり、全社システムとは切り離されている点を強調しましょう。また、経営陣にも同様に説明をすることで、マーケティング部主導で進めやすくなります。

CDP導入のリアル

パネルディスカッションという形で、導入経験者とベンダーが、お互いに質問しました。

CDP導入のリアル

提案後、社内ではどんな議論がされているのか?

(ベンダーから購入経験者への質問)

堀内:テクノロジーベンダーの提案後、導入側の社内ではどんな議論をされているのでしょうか。

中澤:2ケースあります。提案を受ける側の企業が、CDPを使ってどういう顧客体験(CX)を実現したいのかがリアルに描けているケースと、そうではなくまずは顧客データを統合したいというケースで大きくわかれます。

明確にCXが描けている場合は、行われる議論は具体的な内容になります。例えば、将来的な拡張性も考えたときに、果たしてこのCDPでいいのかという話が、情報システム部の方との間でなされます。そこで、先ほどお伝えしたAWSによる自社構築の話が出たりします。

実は、顧客データという観点で見た場合、取得すべきデータや、あるべきデータは会社によってほとんど違いはありません。けれども、情報システム部は、普段いろいろな部署から、オリジナルなものを作っていくことを求められてきているので、身構えてしまっています。そのため、CDPの導入を怖がることがあるので、そこをとき解すのは、苦労する点です。

一方、まだ顧客体験というのが明確に描けていない、もしくは本人たちは描けてると思っていても具体的ではない場合は、議論はその手前です。コンセプトや構想を実現するために「まず顧客データの統合が必要なんだ」となりがちですが、この時点で提案を受けた場合は、構想が本当に正しいのかどうか、構想を具現化するにあたって本当に必要なデータは何か、という議論がそこから始まってしまうことが多いです。

こうなってしまうと、テクノロジーベンダーが良いとか悪いかという問題ではなく、「そもそも私たちは何がしたかったんだっけ」という、結構手前に戻った議論から、社内で喧々諤々が始まってしまい、社長決裁まで行かないで終わってしまうケースが多いです。提案した後に連絡しても「まだ社内で進んでなくて……」と言われて1年経ってしまった、というケースは多いと思います。

堀内:「DXは何のためにするのか」という議論から、戦略の議論が始まって、それが終わってようやくデータを入れる話になると、おっしゃる通り1年・2年経ってしまうケースはあると思います。

中澤:「なんとなく、こういうことがやりたい」という構想から、現実的なシステム化構想の間の距離は非常に遠いです。システムのこともイメージしながら考えたいので、結構早いタイミングでCDPベンダーに声をかけますが、ご提案いただくタイミングでも、提案を受ける企業側はまだ構想の段階なのです。

具体的なシステムの姿や情報が得られて初めて、構想にリアルさが見えてくると、ようやく社内的には「どういうCXが描きたいのか」という会話が社内でできるステージになります。

この期間が長いので、力尽きてしまうことも多いです。いろいろな人から、いろいろなことを言われて、なかなかコンセプトがまとまらずに、疲れてしまった、というケースです。

社内のDX推進者の方は本当に大変です。社内の理解を得ていかなければならないし、正直に言うと、本人もそこまで明確に絵を描けなかったりもします。そこは支援企業にも助けてもらいたいところですね。

導入後、成果を出すための支援は?

(購入経験者からベンダーへの質問)

中澤:DXは、やり始めてから軌道に乗せるまでの期間こそ、支援企業に一番力を借りたいところです。トレジャーデータは、どのような支援をされているのでしょうか。

堀内:会社が小さい頃は、まだ社内に導入をサポートする担当者もいなかったので、いかにデータを扱える人たちのエコシステムを作るかに力を注いでいました。会社が大きくなるにつれて、社内で導入をサポートするメンバーも配置できるようになり、トレーニングプログラムを作って、成果を出すためのノウハウを提供させていただいたりします

中澤:どの企業も、一番力を入れてるのはカスタマーサクセスですよね。どう使いこなすか、どう活用するかの支援は求められているので、Reproもここに力を入れてきました。トレジャーデータも、カスタマーサクセスに力を入れていますよね。

実は、これまでCDPをはじめいろいろなツールを導入してきた経験から、ベストだと思っている導入方法があります。まずは手作業で、CDPを入れたつもりになって一旦PoCを回すことです。

作りたい顧客体験(CX)を、CDPが手元にあるつもりになって、手作業で3ヶ月から半年くらい回してみます。例えば、スプレッドシートに顧客データを抽出してくるといったアナログ作業です。顧客体験の方のPDCAを先に回して、効果をある程度出していきます。

当然、当初想定していた通りにはいかないので、チューニングをして、ある程度成果が出るCXを小さく作り上げます。この実績データを基にして、「こういうトライアルをやってきたから、このデータ構造が必要だ」という説明をセットにしてから、社長決裁に出すのが、CDPに限らず、あらゆるDXにおいては基本ではないかと思っています。

他の部署に影響を与えない範囲で、できるだけ自分の手元で回せる範囲で小さく回して、形をまず作ってしまう。そこで小さな成果を生み出してからはじめて、アプリを作ったり、DXのための大きな取り組みの構想を提案したりする。このプロセスを踏むか踏まないかで、承認からのプロジェクトの成功率が全然違います。ぜひ、この方法でやってみることをおすすめしたいです。

トレジャーデータ とReproの取り組み紹介

トレジャーデータとReproの取り組み紹介

Reproは、主にマーケティングオートメーション(MA)のSaaSプラットフォームを提供しています。最近は、MAとトレジャーデータのCDPを使って「コミュニケーションを高度化させたい」というお問い合わせが非常に多くなっているのが、このセミナーを共同で開催するきっかけでした。

特にOMOの分野において、ReproとTreasure Data CDPの組み合わせが非常に強力に効きます。CDPでは、ウェブやアプリのログデータなどのオンラインデータや、実店舗での購買データなどのオフラインデータ、さらにはIoTデータ、位置情報データなど、OMOで収集される様々なデータを蓄積できます。それらのデータを活用し、マーケティングオートメーションに連携することで「最適な顧客に最適なメッセージを最適なチャネルで届ける」ことに長けた仕組みです。

トレジャーデータとReproは、パートナーとして様々なOMOの取り組みを支援しています。
ご興味ある方は、ぜひご相談ください。

Repro 問い合わせ先: marketing-account@repro.io

トレジャーデータ 問い合わせ先:sdr-jp@treasure-data.com

 

トレジャーデータ株式会社

2011年に日本人がシリコンバレーにて設立。組織内に散在しているあらゆるデータを収集・統合・分析できるデータ基盤「Treasure Data CDP」を提供しています。デジタルマーケティングやDX(デジタルトランスフォーメション)の根幹をなすデータプラットフォームとして、すでに国内外400社以上の各業界のリーディングカンパニーに導入いただいています。
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