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ダッシュボード構築のプロセス – データ可視化のための7ステップ

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ダッシュボードは、複数のデータから必要な情報を抽出し、可視化したものです。BIツールで簡単に作成できる小規模なものから、会社全体の意思決定に使われる大規模なものまで、形はさまざまです。一方で、どんなダッシュボードでも求められるのは「ビジネス活動にインパクトのあるかたちで、短期間でアウトプットが得られる」ことです。そのためには、構築プロセスを意識することが欠かせません。

Treasure Data CDPを契約されている企業の方にダッシュボード構築支援を行っている、カスタマーコンサルティングのメンバー・池田が「ダッシュボード構築プロセス」について語ります。

  • 池田 俊介
    池田 俊介
    トレジャーデータ株式会社
    Analyst of Customer Consulting

    2019年にトレジャーデータに入社。データ分析、ダッシュボード構築を中心に、Treasure Data CDP導入企業のデータ利活用の支援に従事。

<目次>

ダッシュボードの規模と求める効果

ダッシュボード構築と一口に言っても、ダッシュボードの規模感と求める効果は様々です。まずは、これらを整理しておきたいと思います。

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ダッシュボード構築プロジェクトの規模は、ダッシュボードに何を求めるかによって大きく変わります。

「分析作業の効率削減」を求める場合

アナリスト自身の工数を削減し分析レポートの負荷を下げる」ためのダッシュボードは、最も規模の小さなダッシュボードの一例です。この場合は、既に用意された1種〜3種程度の整形済みデータソースを使う場合が多く、データの更新性の要求も週1〜月1回程度です。ダッシュボード活用者および構築者はアナリスト自身となるため、構築物の認識合わせの必要性がなく、ダッシュボードの構築が非常に容易です。構築するための期間は数日〜数週間ほどで短期と言えます。

「部門のKPI最適化」を求める場合

部門レベルのダッシュボード構築となると、求められる効果は「部門のKPIの最適化」です。すなわち、部門KPI状況のモニタリングおよびKPI変動に関わる施策などの変動要因の分析がよくあるケースです。CRM系部門やセールス系部門は、顧客カルテの作成も目的となる場合があります。

この場合は3種以上の複数のデータソースを扱うだけでなく、データベースへの集約やデータソースの成形が必要な場合も少なくありません。また、求められる更新性も1時間おき〜1日おきなど高頻度となり、データウェアハウス構築によるデータ生成プロセスの自動化も必須です。

構築に関わるステークホルダーも部門内の意思決定者・プランナー・運用者のほか、企業のIT担当者なども含まれ、ダッシュボード構築に関わるステークホルダーが一気に増加します。そのためダッシュボード構築者はあらかじめこれらのステークホルダーが必要としているダッシュボードの要件とは何か、構築するにあたっての技術的課題はどこにあるか、構築時に協力を仰がなければいけない人材は誰で何を依頼しなければいけないかなど、BIツールを触る時間以上にプロジェクト推進のためのスケジュール管理・タスク管理・課題管理が必要です。構築するための期間は数週間〜数ヶ月ほどで長期プロジェクトとなる場合も多いです。

「会社全体のKGI・KPI最適化」を求める場合

企業レベルのダッシュボード構築では、「会社全体のKGI・KPI(多くの場合は利益、売上の最大化とコストの最小化)のモニタリング」が求められます。部門レベルよりもさらに規模が大きなものとなり、作成するダッシュボードの数自体も非常に多いです。

データソースも数十種となり、そもそも取得できていないデータはどのように取得するかを設計する必要もあります。構築に関わるステークホルダーはさらに増え、経営層・各部門マネージャー・ITシステム管理者・現場の運用者など多岐にわたります。構築するための期間は数ヶ月以上となり、状況によってはかなりの期間と労力を必要です。

ダッシュボード構築プロセスの必要性

そもそもダッシュボード構築プロセスをそこまで意識する必要があるのか、疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

確かに、簡単な分析レポートをBIツールを使って自動化するような場合は、すぐにBIツールを使ってチャートを作成し始めることも間違いではありません。また、大きな規模のダッシュボードを構築する場合であっても、多くの時間と労力をかけて何度もプロトタイピングを繰り返すことで構築することも可能です。

しかし、ビジネスの世界におけるダッシュボード構築プロジェクトへの要求は「ビジネス活動に最もインパクトのあるかたちで、数週間〜数ヶ月の短期間にアウトプットが得られる」ことが求められることも少なくありません。

短期間に効果的なダッシュボードを構築するためには、出来るだけ手戻りなく・停滞せずにプロジェクトを推進する必要があります。また、データアナリストなどのBIツールを使いこなせる人材がひとりでダッシュボードを構築をするのではなく、ビジネス部門あるいはマーケティング部門やITシステム部門など、多くのプレイヤーと連携しながらダッシュボード構築プロジェクトを推進する必要が出てきます。

ITシステム開発の世界ではプロジェクトマネジメントと、そのための人材を確保することはもはや当たり前と言って良いほどのものとなっています。ダッシュボード構築プロジェクトも同様です。ITシステム開発と比べると規模は小さくプロジェクトの期間も短いものになるとはいえ、前述の要求”ビジネス活動に最もインパクトのあるかたちで、数週間〜数ヶ月の短期間にアウトプットが得られる”プロジェクトにするために、ダッシュボード構築においてもプロジェクトマネジメントは必要不可欠となります。

ダッシュボードは構築するにあたり通過すべきステップがあらかじめ決まっており、このステップを整理したものがダッシュボード構築プロセスです。ダッシュボード構築プロセスを意識することで、次にやるべきこととそのステップで達成しておくべき状態が整理され、手戻りなく複数のプレイヤーと円滑に協力しながらプロジェクトを推進することができます。

ダッシュボード構築プロセスの7つのステップ

ダッシュボード構築プロセスは具体的に7つのステップに分けることができます。

  1. ダッシュボードゴールイメージ策定
  2. ダッシュボード要件設計
  3. ダッシュボードデザイン
  4. データソース生成プロセス構築
  5. BIツール設定作業
  6. ダッシュボードのレビュー
  7. ダッシュボードの運用

ダッシュボード構築プロセスの各ステップごとに複数のタスクが存在しており、それぞれのタスクはプロジェクトリーダー・BIツール設定者・ITシステム担当者などのスキルセットに合わせて分かれています。(下図参照)

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1.ダッシュボードゴールイメージ策定

構築するダッシュボードが果たすべき役割・効果をダッシュボードを必要としているステークホルダーにヒアリングを行い、ヒアリング内容を整理します。場合によっては、ダッシュボード構築プロジェクト発足時にプロジェクトの与件としてあらかじめ整理されている場合もあります。

2.ダッシュボード要件設計

ダッシュボードゴールイメージを参考に、どのようなチャートがあると嬉しいかをラフスケッチするなどして、より具体的なダッシュボード活用イメージを整理します。実際にダッシュボードを構築する際に使用が想定されるデータソースの所在(データベースに格納されているのか、csvなど静的ファイルとして存在しているのか、など)とデータソースのデータ項目の中身の確認を行い、BIツール設定者とITシステム担当者で発生するタスクの検討ができるように状況を確認・整理を行います。また、ダッシュボード構築プロジェクトの全体的なおおまかなスケジュールをマイルストーンとして定義します。

3.ダッシュボードデザイン

ダッシュボードに含まれるチャートの整理やその画面構成の設計のほかフィルター機能や計算関数による指標の計算など、ダッシュボード構築の具体的な成果物のアウトプットイメージをすり合わせします。スケッチなど簡単でも良いのでダッシュボードのモックアップの作成がおすすめです。
アウトプットイメージが固まった後は、データソースの各テーブルのカラム構造の設計やデータ更新頻度などの、データソース要件の整理を行います。そして、BI設定作業工数とデータ生成プロセス構築の作業工数を見積もった上で、マイルストーンよりもさらに詳細なスケジュールを作成します。

4.データソース生成プロセス構築

ここから実際の開発作業およびBIツール設定作業に入ります。データウェアハウスやデータマートなどを生成するためのデータ処理プロセスのワークフロー構築を行います。データベースに使用したいデータが存在しない場合は、データをデータベースに格納するための実装もここで行います。本格的な構築作業に入る前にサンプルデータを作成しておき、次項のBIツール設定作業と並行して作業を進めることも出来るので、スケジュールの期限やワークフロー構築にかかる工数と相談してステップの順番は前後させることもあります。

5.BIツール設定作業

いよいよダッシュボード構築のためにBIツールにデータソースを接続する設定や、チャートやダッシュボードを作成する作業を行います。

6.ダッシュボードのレビュー

完成したダッシュボードを依頼元のステークホルダーやダッシュボード利用者などに共有しダッシュボードへの修正要望や追加したい機能要望のヒアリングを行います。ダッシュボードのレビューは多くの意見を集めるために可能であれば打ち合わせを行い、BIツール設定者が実際にダッシュボードを触りながらライブでデモンストレーションを行うことが望ましいです。
ダッシュボードの修正要望や追加機能要望があれば、BIツールの設定やデータソースの見直しを行います。修正後は、ダッシュボード利用者への使い方のレクチャーや、構築物のドキュメント作成などを行い、運用ステップに円滑に移れるようにサポートします。

7.ダッシュボード運用

ダッシュボード完成後のステップです。ダッシュボードの機能要求は、企業のビジネス領域の拡大・ダッシュボード利用者の増加・競合を含めた市況の変化など、様々な要因により日々変化していきます。そのため、ダッシュボードが完成した後も定期的にステークホルダーやダッシュボード利用者への活用状況や追加機能要望などのヒアリングを実施し、必要であればダッシュボードを修正・機能追加していくことが望ましいです。

ダッシュボード構築に求められる人材

ダッシュボード構築プロセスの各ステップ説明の際に触れたように、大きな規模のダッシュボード構築の場合はBIツール設定者のほかビジネスサイドとエンジニアサイドの両方への橋渡しを行う人材がいるとプロジェクト進行がスムーズにいきます

構築するダッシュボードの規模にもよりますが、可能であればBIツールの専門家だけでなくコンサルタントの素養がある人材と、データエンジニアの素養がある人材をプロジェクト開始時に確保するようにします。そのような人材が自社にいない場合は、新たに人材を採用するか、ダッシュボード構築を得意とするパートナー企業などに作業の委託を検討してください。

また各ステップで、ダッシュボードに関係するステークホルダーと何度もコミュニケーションをとる必要が出てくるため、ステークホルダーへの連絡先の確認や顔合わせなどもプロジェクトの初期段階で行えると良いです。

ダッシュボード構築プロセスは「完全ウォーターフォール」ではない

ダッシュボード構築プロセスは、ダッシュボード構築作業が手戻りしないために意識したほうが良いものであると説明しましたが、後戻りしてはいけない完全ウォーターフォールではありません。必要があればアジャイル的に前のステップで行った作業に振り返って、資料の加筆修正やダッシュボードやデータソース などの機能追加を行うこともあり得るということは心に留めておいてください。

構築するダッシュボードに関係深いステークホルダーであっても、プロジェクト開始時点の段階ではダッシュボードの要件が不明確であったり、BIツールで可能な表現に対する理解が浅かったりすることはあります。、そのため、ある程度ダッシュボードの完成が見えた段階になってから追加要望や作成するダッシュボードの方針転換などが発生することもあります。

ダッシュボード要件設計にステークホルダーと議論を進める際に、そうしたリスクの可能性を感じた場合は、各ステップで作業状況の共有会やレビューを行うなどして大きな手戻りが発生しないように予防策をとりつつ、手戻りが起きても全体マイルストーンに大きな影響を与えないようにある程度余裕を持って作業スケジュールを見積もることも検討してください。

認識合わせのために必要なモックアップ

構築するダッシュボードの要件の認識合わせのために、機能要件が明文化された文書を作成とともに、ダッシュボードのモックアップを作成することを強くおすすめします。具体的なビジュアルに落とすことで、初めてステークホルダーから意見が出てくることも思いのほか多いです。

モックアップは、余裕があれば、サンプルデータを用意してBIツール上でフィルターなどのインタラクティブ要素まで設定したものを共有することが理想です、時間的に余裕がなければ、ラフスケッチやエクセルのチャートをパワーポイントに配置したものでも構いません。大事なのは目に見えるビジュアルに落としてみて、完成時のダッシュボードのイメージをすり合わせることです。

モックアップの作成作業は、当初想定していたデータソースの形式とは異なる形の実装になるなどの理由で、本格的なダッシュボード構築作業時には役に立たないことも多く、一見無駄な作業に見えがちです。しかし、ステップの手戻りが起こらないためのコミュニケーションツールとしては非常に重要な位置づけにあるのでぜひ行うことをおすすめします。

ダッシュボード構築時のポイントとプロセスについてお伝えしました。皆さまの参考になれば幸いです。

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トレジャーデータ株式会社

2011年に日本人がシリコンバレーにて設立。組織内に散在しているあらゆるデータを収集・統合・分析できるデータ基盤「Treasure Data CDP」を提供しています。デジタルマーケティングやDX(デジタルトランスフォーメション)の根幹をなすデータプラットフォームとして、すでに国内外400社以上の各業界のリーディングカンパニーに導入いただいています。
https://www.treasuredata.co.jp/
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