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テレビ東京は、デジタル戦略のなかでデータをどのように活用しているのか ~ Legolissとの共同プロジェクトを紹介

Case Study|株式会社テレビ東京コミュニケーションズ
デジタルマーケティングプロデューサー 今田 智仁氏
株式会社テレビ東京コミュニケーションズ
テクニカルプロデューサー 岸 義治氏
株式会社Legoliss 取締役 加藤 英也氏
株式会社Legoliss データアナリスト 音嶋 健斗氏

テレビ局にとってインターネットは視聴者と繋がる重要な接点となっています。例えば、インターネット上でのテレビ番組の見逃し配信サービスの展開や、番組ホームページや公式コンテンツ、SNSなどを利用した番組宣伝などを展開し、視聴者と繋がりを深めようとしています。では、そこで生まれる様々なデータを、どのように活用しているのでしょうか。

「データプロジェクトで実現!データでわかる番組視聴者のその先の動きとは?」と題した講演では、株式会社テレビ東京コミュニケーションズ テクニカルプロデューサーの岸 義治氏と、同社デジタルマーケティング プロデューサーの今田智仁氏、そして企業向けにArm Treasure Data eCDPの導入支援を行う株式会社Legoliss データアナリストの音嶋健斗氏が、テレビ東京におけるデータ活用の事例を紹介しました。モデレータはLegoliss取締役の加藤英也氏が務めました。

無料見逃し配信サービス「ネットもテレ東」の視聴者を見える化

岸氏と今田氏が在籍するテレビ東京コミュニケーションズは、テレビ東京グループに関連するコンテンツ制作、公式サイトや公式SNSアカウントの制作、番組データ放送、IP(キャラクターライセンス)ビジネス、見逃し配信サービスなどテレビ東京のデジタル施策全般を担当する企業だ。Legolissとの協業では、無料見逃し配信サービス「ネットもテレ東」でArm Treasure Data eCDPを活用したデータ整理、分析の事例を紹介する。

「ネットもテレ東」は、自社ドメイン内での展開、民放テレビ局が連携した公式テレビポータルサイト「TVer」、「GYAO!」、「ニコニコ動画」など複数のプラットフォーム上に動画を配信している。 そのため、まず様々なプラットフォームに分散した利用者のデータ統合が課題であった。 そこで分散したサービス利用者のデータをArm Treasure Data eCDPに統合し、無料動画配信事業のプライベートDMPを構築。加えてPDCAをまわすためにTableauを活用してマーケティングダッシュボードを構築した。その後、テレビ東京の有料サービスである「ビジネスオンデマンド」や他のサービスとデータ連携してユーザーの行動を可視化したり、サードパーティデータをも連携して事業のスケーラビリティを高める試みに取り組んだりしている。

「2017年11月にプライベートDMPを構築を開始し、視聴データの分析、ユーザーの行動分析、外部データの活用と段階を経てデータ活用の規模を拡大してきた。プロジェクト開始当初は、社内のリソース不足や知見不足などを理由にただArm Treasure Data eCDPにデータを貯めておくだけで活用できていないという課題もあったが、Legolissとの協業によってプロジェクトを進めることができた」と岸氏はこれまでの歩みを振り返った。

プロジェクトでは、Legolissがデータの整備、分析、可視化のプロセスを担当したことで、テレビ東京は可視化されたデータの検証と施策の検証に注力することができるようになったのだという。

「Legolissは、Arm Treasure Data eCDPの構築ノウハウがあるので任せることができた。またサードパーティデータの活用でも会社間の交渉等に加わっていただくなど、当事者間ではできないことをサポートしていただき、ビジネスがスムーズに進んだ」(今田氏)。

視聴者のインサイト分析によってマーケティングの方向性がわかる

では、テレビ東京とLegolissはArm Treasure Data eCDPを活用してどのようなデータマーケティングを展開したのだろうか。まず紹介したのは、ダッシュボードによる視聴者のインサイト分析だ。

具体的には、日ごと、番組ごとの視聴者数、流入経路別の視聴傾向などをグラフで閲覧できる20種類のほどのダッシュボードを構築。岸氏は、「そもそも、自社サイト、配信先プラットフォームを含めて視聴ユーザーのインサイトを十分に把握できていなかった。そこを可視化することが、マーケティングのKGI達成に向けてコミュニケーションのKPIを設けるために不可欠な作業だった」と説明し、ダッシュボードを構築したことによってマーケティングを推進するための視聴者の解像度が上がったことを評価した。

ダッシュボード導入の効果について、今田氏は「これまでは広告などを活用して新規視聴者の獲得を中心に行っていた。しかしデータをを分析してみたところ、動画視聴を目的とした場合、新規インストールのユーザー獲得効率より、既存ユーザーの活性化のほうが効率的なマーケティングになるのではという気付きを得た。一方、新規のユーザー獲得においても、経由広告ごとにインストール後のユーザー残存率を見える化したことで、LTVの高いユーザーの特徴を洗い出し、広告展開の予算やリソースを最適化することも可能になった」。マーケティングの目的別に様々な角度からデータが見られるようになったことで、具体的な施策に落とし込み、リソース配分や最適化ができるようになってきたとしている。

こうしたテレビ東京の取り組みが実現できた背景について、音嶋氏は「ひとりのユーザーの動きを様々なデータで分析できる点が、Arm Treasure Data eCDPを活用するメリットだ。ダウンロード数、視聴者数というボリュームで見るだけでなく、ユーザー個人を様々な角度から見ることができる。今でもユーザーの定点観測を続けているので、様々なテーマで分析していきたい」と語り、ユーザー個人のインサイトを深く分析することがマーケティング施策に好影響を与える点と強調した。

「無料番組配信をする意義」データ分析から見えたサービス間の連携

ダッシュボードによる視聴者のインサイト分析は、テレビ東京が運営する他のサービスとの相関性の見える化にも影響を与えているという。今田氏は、テレビ東京のビジネスパーソン向け有料番組配信サービス「テレビ東京ビジネスオンデマンド」を例に説明した。

Arm Treasure Data eCDPを導入する以前は、「ビジネスオンデマンド」の有料会員獲得に「ネットもテレ東」がどのように貢献しているのかを十分に分析することができないという課題を抱えていたという。しかし、「ビジネスオンデマンド」のユーザーデータをArm Treasure Data eCDPに投入してすでにあるデータと併せて分析することによって、「ネットもテレ東」が「ビジネスオンデマンド」のマーケティングにどのような影響を与えているのかをアトリビューション分析できるようになったのだ。具体的には、流入数では「T Ver」を経由した視聴者が最も多かったが、有料会員の獲得割合では自社アプリ経由のユーザーが最も高く、自社アプリが効率的な有料会員の獲得に貢献していることが実証できたのだそうだ。

「無料見逃し配信をする意義について、広告収入や有料会員の獲得、ブランディングなど様々な効果を挙げるため、サービスを運営しているが、社内で説得力のある数字を見える化することが不十分であった。しかし今回のプロジェクトで有料会員への送客効果などを可視化でき、サービスの価値の1つを証明することができた」と今田氏は施策の効果を紹介。 また、自社サービスで放映する広告を無作為に行うのではなく、データに基づいた仮説を立てて検証することもできるようになったという。

岸氏は、これからの取り組みについて、「見逃し配信だけでなく今後はテレビ放送のデータも活用していきたい」と意気込む。すでにあるPC・スマホのデータ、サードパーティデータと掛け合わせて分析し、マーケティングに活用していきたい考えだ。「分析が進んでいけば、機械学習ライブラリ『Hivemall』を活用した予測モデルによる視聴者属性の推定や、番組宣伝の最適化などに活用の幅を拡げていけるのではないか」(今田氏)。

こうした発信に、音嶋氏も「テレビ放送のデータはこれまでArm Treasure Data eCDPで扱ったことのないものなので、非常にチャレンジングだと感じている。機械学習ライブラリ『Hivemall』を活用した取り組みにもぜひ一緒に挑戦したい」と今後に向けた抱負を語った。

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