事例記事

モノづくりのヤマハ発動機の理念はデータで実現できる|ヤマハ発動機株式会社

CASE STUDY|ヤマハ発動機株式会社
IT本部デジタル戦略部 主査 大西 圭一氏

日本楽器製造(現ヤマハ株式会社)からオートバイ部門が独立する形で1955年に創業したヤマハ発動機株式会社は、設立以来、国内外の二輪車市場を牽引し続けている。世界最大の二輪車市場であるインドでは累計生産台数が1,000万台を突破、急速に市場が拡大するフィリピンにおいては約3分の1のシェアを獲得するなど、現在は海外での存在感も際立つ。ヤマハ発動機全社の海外売上比率は約9割を占めている状態だ。

主力の二輪車以外にもレジャーボート、水上オートバイ、電動アシスト自転車、電動車いす、発電機、四輪バギー、スノーモービルなど多様な製品を生産するヤマハ発動機は、販売店にそれらの商材を卸す、BtoBtoCのビジネスを展開している。

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日本楽器製造(現ヤマハ株式会社)からオートバイ部門が独立する形で1955年に創業したヤマハ発動機株式会社は、設立以来、国内外の二輪車市場を牽引し続けている。世界最大の二輪車市場であるインドでは累計生産台数が1,000万台を突破、急速に市場が拡大するフィリピンにおいては約3分の1のシェアを獲得するなど、現在は海外での存在感も際立つ。ヤマハ発動機全社の海外売上比率は約9割を占めている状態だ。

主力の二輪車以外にもレジャーボート、水上オートバイ、電動アシスト自転車、電動車いす、発電機、四輪バギー、スノーモービルなど多様な製品を生産するヤマハ発動機は、販売店にそれらの商材を卸す、BtoBtoCのビジネスを展開している。

同社がこれまで長年にわたってフォーカスしてきたのは、マスコミュニケーションと販売店支援である。製品の販売後もメンテナンスを含めたアフターケアを提供する必要があるため、顧客とリアルな場で接点を持つ販売店の支援には特に注力していた。

来店した顧客に営業ができない

しかし、近年ではこのマスチャネルと店頭チャネルだけではなく、ウェブの重要性が高まっていることに、ヤマハ発動機は課題を感じていた。2018年1月に立ち上がったIT本部デジタル戦略部で主査を務める大西圭一氏は、販売店の役割の変化をこう語る。

「販売店で接客している方に話を聞くと、特に若いお客様で、購買プロセスが変わっています。来店してすぐに『このモデルのこのカラーが欲しいから見積もりをください』とオーダーされると、次にそのお客様にお会いするのは納車のタイミングなのです。
お客様が来店された際には既に意思決定が終わっている。つまり、営業できるチャンスがないのです。そこで、私たちは今まで捉えることができていなかったオンラインの世界に着目しました。来店前に意思決定されるのであれば、オンラインの世界で認知を高め、さらに購買意欲を高めて、私たちを選んでいただけるようにしたいと考えたわけですね」

まず、大西氏が取り組むことに決めたのは顧客データの統合だ。当時、ヤマハ発動機の社内でもデータ利活用の機運が高まっていた。しかしながら、顧客データの管理は製品ごとにバラバラで、さらに海外グループ会社が持っているデータも多く存在するなど、サイロ化してしまっている状態であった。そこで大西氏は、起点をウェブにすることで、組織を横断した顧客データの統合がより容易に実現できると考えたのだ。

「例えば、日本市場でバイクに乗っている方の多くは、結婚を機にバイクに乗らなくなります。でも、お子様が生まれたら電動アシスト自転車が欲しくなるかもしれません。製品軸だけではなく、お客様の『ライフタイムジャーニー』を追いかけることができれば、様々な接点で価値提供ができるはずです。お客様のデータがオンラインからスタートしていれば、組織の壁を越えてクロスセルの機会が発見できたり、お客様の趣味嗜好を把握したりすることがきっとできますよね。それは『ライフタイムを通じて、お客様の生活を豊かにしていく』というヤマハ発動機が掲げる理念にもつながります」

必要なのは現場の「腹落ち感」

2018年7月、ヤマハ発動機は「Treasure Data CDP」を導入した。採用した理由を、大西氏は次のように説明する。
 
「『Treasure Data CDP』はベンダーロックインがなく、オープンで様々なソリューションと連携できる点が魅力でした。私たちは『PostgreSQL』や『Salesforce』など様々なデータソースを持っています。それらのデータを統合し、マーケティングツールや分析ツール、BIツールなど、様々な出口に連携したい。この構想が実現できるオープンな環境がすばらしいと感じ、営業の方にお会いして2ヶ月で運用をスタートしました」

データドリブンマーケティングを全社に展開することをミッションとするIT本部デジタル戦略部には、大きな権限が委譲されていた。そのため、「導入にあたっての障害はそれほどなかった」と大西氏は振り返る。しかし、それでも導入後、現場への浸透には苦労があったという。

「やはり、現場の営業の方には『そもそもCRMって、DMPって、Cookieって』という点から伝えていかなければいけませんでした。『データを使ってマーケティングをする』と言っても、現場の方に腹落ちしてもらって、新しい仕事の仕方で自走してもらわなければスタートはできません。この説得にはかなり時間を使いましたね。私たちはデータネイティブな会社ではなく、モノづくりの会社です。わかりやすく目に見えるものでなければ、なかなか理解してもらうことがむずかしい。そこで、まずはウェブの閲覧履歴を『Treasure Data CDP』に入れました。そして、例えば購買後にウェブ上で保証登録をしていただいたお客様が、購買前にどのような商品をどのくらいの期間にわたって検討されていたのかがわかるケースをピックアップしたのです。そのケースを使って、様々な事業部の様々なレイヤーの方々にプレゼンしていきました。社内でデジタルマーケティングツールの営業をしているような気分でしたね(笑)」

ウェブサイトはカタログではない

「Treasure Data CDP」を基盤とし、大西氏が描くのはふたつのステップだ。

ひとつめのステップは「顧客を知ること」。そのため、まずはウェブの閲覧履歴、購買履歴、ECの購買行動履歴などオンラインでの情報の他、リアルな場でのイベント参加などオフラインでの行動情報も「Treasure Data CDP」上に統合。さらに、ヤマハ発動機が持つそれらファーストパーティデータに加えて、外部のデータも統合する。自社の製品に興味を持った顧客が、どのような興味を持っているのかを知ることが目的だ。そして、理解した顧客一人ひとりに向けて、適切なチャネルと適切なタイミングで、適切なメッセージを届けることが次のステップだ。

「現在は、初めのステップがようやく形になりつつあり、少しずつ次のステップに向けての準備をしている段階です。例えば、数百万円のバイクを購入していただいた方は、当然のことながら購入後は製品ページを見なくなります。その代わり、イベント情報のチェックや、メンテナンス方法をお調べになったりします。若いお客様の中には購入後にメンテナンスが必要なことをご存じない方もおり、私たちがコミュニケーションできる領域がまだまだあるとわかったのです。ウェブサイトは単なるカタログではなく、もっと重要なチャネルだということですね。その他にもデジタルで打ったリード獲得キャンペーンから実際にどのくらい来店したのかも見えるようになっています。今後はまず、イベントやキャンペーンなど既存施策の効果測定が、業務フローの一貫としてきちんと回る組織を目指したいと考えています」

大西 圭一
おおにし・けいいち ヤマハ発動機株式会社 IT本部デジタル戦略部 主査。名古屋大学工学修士 マサチューセッツ工科大学経営学修士(MBA)。2008年ヤマハ発動機に入社。海外工場の生産企画を担当した後、東南アジア各国とインドを中心に製造技術業務に携わる。その後、新規事業企画および米国でのCVC業務に従事。カーブアウトしたベンチャー企業でのIoT事業開発を経て、現在は全社のデジタルトランスフォーメーションを推進(マーケティング、データ分析担当)している。

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トレジャーデータ株式会社

2011年に日本人がシリコンバレーにて設立。組織内に散在しているあらゆるデータを収集・統合・分析できるデータ基盤「Treasure Data CDP」を提供しています。デジタルマーケティングやDX(デジタルトランスフォーメション)の根幹をなすデータプラットフォームとして、すでに国内外400社以上の各業界のリーディングカンパニーに導入いただいています。
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