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急速にデジタル化するタイにデータマーケティングを実装せよ! — トリペッチいすゞセールスの挑戦

Case Study|Tri Petch Isuzu Sales Co., Ltd.
Senior Manager 石川 春来氏
Full-Stack Engineer 吉田 健人氏

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日本国内における自動車販売台数の成長が鈍化するなか、アジアは自動車メーカーにとって重要なマーケットです。そこで自動車販売を手掛ける企業は、どのようなデジタルマーケティングを展開しているのでしょうか。タイにおいて、いすゞ自動車が製造した自動車・トラックを傘下のディーラー300拠点を通じて販売するディストリビューター「トリペッチ いすゞ セールス」の石川春来氏と吉田健人氏が、「ゼロからの挑戦!モビリティビジネスにおけるデータ・ドリブンマーケティング@タイ」と題した講演の中で紹介しました。

ネット利用時間世界一のタイに、データドリブンマーケティングで対応

まずは、同社にてデジタルマーケティング部門をゼロから立ち上げた石川氏が、タイの市場環境の特徴について解説した。

石川氏によると、タイでは日本にとって馴染みの薄いピックアップトラックが人気で、市場における販売比率が52%(乗用車は36%)。中でも、いすゞのピックアップトラック「D-MAX」は最も売れているモデルだという。

一方、生活者の中にはインターネットが急速に浸透し、インターネット利用時間は世界1位となる9時間38分(日本は4時間12分)。タイの人はスマートフォンを手放さないのだという。LINE、YouTube、Facebookなどソーシャルメディアの使用が大きな割合を占め、FacebookのDAUは3200万とテレビの視聴者数を超えているのだそうだ。同社がデジタルマーケティングの推進を急いだ背景には、この急速なデジタル化があるのだという。

同社が自動車購入におけるカスタマージャーニーの変化を調査したところ、ブランドや製品との接触はオンライン化が進み、「ネット広告を見て知った」「友人がいいね!している記事で新モデルを知った」といった声も。購入検討の動きは日本と変わらずネットにおける情報収集が中心で、タイでは店舗に来店する前にLINEを使ってディーラーと直接交渉を行っている点がユニークなのだという。また、タイでは定期的な車検の必要がなく、購入後にディーラーとどのように接点を作るかが課題だ。

こうしたユーザー環境のデジタル化に対応すべく、同社では2017年4月にデジタルマーケティング部を立ち上げて、最初はアクセス解析やネット広告の運用からスタート。翌2018年1月にはTreasure Data CDP導入してデータドリブンマーケティングを開始している。

「トラッキングログの収集だけでは、アクセスしたユーザーが最終的にどうなったかわからない。Webと基幹システムのデータを統合管理できるデータ基盤の構築し、オンライン体験とオフライン体験を紐づける必要があった。継続的なタッチポイントの構築も重要だ」と石川氏。具体的には、顧客のWebアクセスログ、顧客情報、修理履歴、ローンや保険の契約情報をTreasure Data CDPに統合管理してデータ基盤を構築し、一方でLINEビジネスコネクトを導入して顧客とO2Oでつながるコミュニケーション基盤を構築したという。

Webデータと基幹データを活用し、マーケティング効果がアップ

では、同社はこのデータ基盤、コミュニケーション基盤を活用してどのようなデジタルマーケティングを展開したのだろうか。データ基盤の構築を担当した吉田氏が解説した。

吉田氏は、Treasure Data CDPを入れた背景についてデータ基盤構築の利便性を指摘。「データ分析やマーケティング戦略など本質的な業務に時間を割くため、SaaSであるTreasure Data CDPを活用することにした。たくさんのデータコネクタを用意しているため導入のための時間を短縮できた」と吉田氏は振り返る。またLINEビジネスコネクトについては、タイでは機種変更などでユーザーの電話番号がよく変わるため、LINEのIDをコミュニケーションのベースにすることで継続的なマーケティングを可能にしたとしている。

同社のデータ基盤には、オウンドメディアやSNSのWebアクセスログと業務システムに蓄積されている基幹系データを集約しているが、WebアクセスログについてはGoogle Tag Managerを使用してトラッキングを行い、試乗予約、カタログダウンロード、購入シミュレーションといった購入との関連性が高いアクションはイベントログとしてTreasure Data CDPに送信。また基幹系データに関しては、トレジャーデータが提供する「digdag」や「embulk」といったツールで基幹システムのデータをデイリーで読みに行き、Treasure Data CDPのマスターデータを更新。集まったデータは機械学習ツール「Hivemall」によって分析し、BIツールを活用して可視化しているという。

吉田氏によると、こうして蓄積されたデータは、試乗予約などができるLINEチャットボットの開発といったディーラーの支援、データの推移や比較が容易にできるROIの見える化などに活用。吉田氏は、マーケティングの最適化を実現した事例をふたつ紹介した。

One To Oneマーケティングの事例として紹介されたのは、長期間来店のないユーザーのリテンション。車検のないタイでは、メンテナンス入庫などのために来店しない限りディーラーとの接点を維持するのは難しく、この入庫促進のためにデータ基盤を活用した。具体的には、修理履歴のデータを分析して、前回のサービス入庫から数年間入庫していないユーザーをセグメント。ショートメールでキャンペーンの告知を送信したところ、対象者の10%がサービスセンターに戻ってきたという。

「これまでは、修理履歴データが膨大で他のデータとの掛け合わせで分析して活用することはできなかった。しかし、Treasure Data CDP導入後はそれぞれ同じデータベースに格納しているので、データを組み合わせて簡単に対象者を抽出できた。社内でTreasure Data CDPの活用が理解された事例だ」(吉田氏)。

一方、LINEビジネスコネクトを活用した事例では、LINE上で定期的にキャンペーンを開催して、顧客情報を収集。Treasure Data CDPが発行するCookieID、LINEのユーザーID、アンケートで収集した顧客情報を同じテーブルで紐づけることで、顧客の行動データを解析しやすくした。アンケートの結果をもとに、半年以内の購入意向がある人を対象に試乗予約のターゲティング広告を実施したところ、全体に広告を打った場合と比較して20倍のコンバージョン率を実現したという。関心のある顧客セグメントを絞り込めたことで、施策の効率が大きく高まったのだ。

「今後は、Treasure Data CDPに蓄積された情報をもとにオウンドメディアに来た顧客の見込み度をスコアリングし、顧客のスコアに応じてマーケティング施策を最適化したい。また、データをもとにオウンドメディアのパフォーマンスを改善して、来訪者の離脱率を下げていきたい」(吉田氏)。

データドリブンマーケティングを推進する“両輪”

こうした事例を踏まえて、石川氏は最後にデータドリブンマーケティングを推進するためにはどのような社内体制が望ましいのかを語った。

石川氏は、同社がゼロからデータドリブンマーケティングの環境をスピード感をもって構築できた理由として、ITとビジネス両方に理解のある人間がリードできた点、タイのライフスタイル変化に対して強い危機感を持った点、基幹システムへの膨大な投資から価値を生み出したいという課題意識を持っていた点などを指摘。中でも、テクノロジーに理解のあるマーケティング担当者とビジネス戦略を共有できるエンジニアが協働することが、データドリブンマーケティングのスピード感にとって重要であると提言した。

「マーケティングとテクノロジーに理解があり、周囲を巻き込む力を持つビジネスアーキテクトと、幅広いテクノロジーの知識と実装能力を持つエンジニアが連携してデータドリブンマーケティングの“両輪”になることが重要だ。今後はより具体的な戦略立案とPDCA運用、サードパーティデータや機械学習を活用したデータマーケティングの高度化を進めていきたい」(石川氏)。

日本国内における自動車販売台数の成長が鈍化するなか、アジアは自動車メーカーにとって重要なマーケットです。そこで自動車販売を手掛ける企業は、どのようなデジタルマーケティングを展開しているのでしょうか。タイにおいて、いすゞ自動車が製造した自動車・トラックを傘下のディーラー300拠点を通じて販売するディストリビューター「トリペッチ いすゞ セールス」の石川春来氏と吉田健人氏が、「ゼロからの挑戦!モビリティビジネスにおけるデータ・ドリブンマーケティング@タイ」と題した講演の中で紹介しました。

ネット利用時間世界一のタイに、データドリブンマーケティングで対応

まずは、同社にてデジタルマーケティング部門をゼロから立ち上げた石川氏が、タイの市場環境の特徴について解説した。

石川氏によると、タイでは日本にとって馴染みの薄いピックアップトラックが人気で、市場における販売比率が52%(乗用車は36%)。中でも、いすゞのピックアップトラック「D-MAX」は最も売れているモデルだという。

一方、生活者の中にはインターネットが急速に浸透し、インターネット利用時間は世界1位となる9時間38分(日本は4時間12分)。タイの人はスマートフォンを手放さないのだという。LINE、YouTube、Facebookなどソーシャルメディアの使用が大きな割合を占め、FacebookのDAUは3200万とテレビの視聴者数を超えているのだそうだ。同社がデジタルマーケティングの推進を急いだ背景には、この急速なデジタル化があるのだという。

同社が自動車購入におけるカスタマージャーニーの変化を調査したところ、ブランドや製品との接触はオンライン化が進み、「ネット広告を見て知った」「友人がいいね!している記事で新モデルを知った」といった声も。購入検討の動きは日本と変わらずネットにおける情報収集が中心で、タイでは店舗に来店する前にLINEを使ってディーラーと直接交渉を行っている点がユニークなのだという。また、タイでは定期的な車検の必要がなく、購入後にディーラーとどのように接点を作るかが課題だ。

こうしたユーザー環境のデジタル化に対応すべく、同社では2017年4月にデジタルマーケティング部を立ち上げて、最初はアクセス解析やネット広告の運用からスタート。翌2018年1月にはTreasure Data CDP導入してデータドリブンマーケティングを開始している。

「トラッキングログの収集だけでは、アクセスしたユーザーが最終的にどうなったかわからない。Webと基幹システムのデータを統合管理できるデータ基盤の構築し、オンライン体験とオフライン体験を紐づける必要があった。継続的なタッチポイントの構築も重要だ」と石川氏。具体的には、顧客のWebアクセスログ、顧客情報、修理履歴、ローンや保険の契約情報をTreasure Data CDPに統合管理してデータ基盤を構築し、一方でLINEビジネスコネクトを導入して顧客とO2Oでつながるコミュニケーション基盤を構築したという。

Webデータと基幹データを活用し、マーケティング効果がアップ

では、同社はこのデータ基盤、コミュニケーション基盤を活用してどのようなデジタルマーケティングを展開したのだろうか。データ基盤の構築を担当した吉田氏が解説した。

吉田氏は、Treasure Data CDPを入れた背景についてデータ基盤構築の利便性を指摘。「データ分析やマーケティング戦略など本質的な業務に時間を割くため、SaaSであるTreasure Data CDPを活用することにした。たくさんのデータコネクタを用意しているため導入のための時間を短縮できた」と吉田氏は振り返る。またLINEビジネスコネクトについては、タイでは機種変更などでユーザーの電話番号がよく変わるため、LINEのIDをコミュニケーションのベースにすることで継続的なマーケティングを可能にしたとしている。

同社のデータ基盤には、オウンドメディアやSNSのWebアクセスログと業務システムに蓄積されている基幹系データを集約しているが、WebアクセスログについてはGoogle Tag Managerを使用してトラッキングを行い、試乗予約、カタログダウンロード、購入シミュレーションといった購入との関連性が高いアクションはイベントログとしてTreasure Data CDPに送信。また基幹系データに関しては、トレジャーデータが提供する「digdag」や「embulk」といったツールで基幹システムのデータをデイリーで読みに行き、Treasure Data CDPのマスターデータを更新。集まったデータは機械学習ツール「Hivemall」によって分析し、BIツールを活用して可視化しているという。

吉田氏によると、こうして蓄積されたデータは、試乗予約などができるLINEチャットボットの開発といったディーラーの支援、データの推移や比較が容易にできるROIの見える化などに活用。吉田氏は、マーケティングの最適化を実現した事例をふたつ紹介した。

One To Oneマーケティングの事例として紹介されたのは、長期間来店のないユーザーのリテンション。車検のないタイでは、メンテナンス入庫などのために来店しない限りディーラーとの接点を維持するのは難しく、この入庫促進のためにデータ基盤を活用した。具体的には、修理履歴のデータを分析して、前回のサービス入庫から数年間入庫していないユーザーをセグメント。ショートメールでキャンペーンの告知を送信したところ、対象者の10%がサービスセンターに戻ってきたという。

「これまでは、修理履歴データが膨大で他のデータとの掛け合わせで分析して活用することはできなかった。しかし、Treasure Data CDP導入後はそれぞれ同じデータベースに格納しているので、データを組み合わせて簡単に対象者を抽出できた。社内でTreasure Data CDPの活用が理解された事例だ」(吉田氏)。

一方、LINEビジネスコネクトを活用した事例では、LINE上で定期的にキャンペーンを開催して、顧客情報を収集。Treasure Data CDPが発行するCookieID、LINEのユーザーID、アンケートで収集した顧客情報を同じテーブルで紐づけることで、顧客の行動データを解析しやすくした。アンケートの結果をもとに、半年以内の購入意向がある人を対象に試乗予約のターゲティング広告を実施したところ、全体に広告を打った場合と比較して20倍のコンバージョン率を実現したという。関心のある顧客セグメントを絞り込めたことで、施策の効率が大きく高まったのだ。

「今後は、Treasure Data CDPに蓄積された情報をもとにオウンドメディアに来た顧客の見込み度をスコアリングし、顧客のスコアに応じてマーケティング施策を最適化したい。また、データをもとにオウンドメディアのパフォーマンスを改善して、来訪者の離脱率を下げていきたい」(吉田氏)。

データドリブンマーケティングを推進する“両輪”

こうした事例を踏まえて、石川氏は最後にデータドリブンマーケティングを推進するためにはどのような社内体制が望ましいのかを語った。

石川氏は、同社がゼロからデータドリブンマーケティングの環境をスピード感をもって構築できた理由として、ITとビジネス両方に理解のある人間がリードできた点、タイのライフスタイル変化に対して強い危機感を持った点、基幹システムへの膨大な投資から価値を生み出したいという課題意識を持っていた点などを指摘。中でも、テクノロジーに理解のあるマーケティング担当者とビジネス戦略を共有できるエンジニアが協働することが、データドリブンマーケティングのスピード感にとって重要であると提言した。

「マーケティングとテクノロジーに理解があり、周囲を巻き込む力を持つビジネスアーキテクトと、幅広いテクノロジーの知識と実装能力を持つエンジニアが連携してデータドリブンマーケティングの“両輪”になることが重要だ。今後はより具体的な戦略立案とPDCA運用、サードパーティデータや機械学習を活用したデータマーケティングの高度化を進めていきたい」(石川氏)。

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トレジャーデータ株式会社

2011年に日本人がシリコンバレーにて設立。組織内に散在しているあらゆるデータを収集・統合・分析できるデータ基盤「Treasure Data CDP」を提供しています。デジタルマーケティングやDX(デジタルトランスフォーメション)の根幹をなすデータプラットフォームとして、すでに国内外400社以上の各業界のリーディングカンパニーに導入いただいています。
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