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モノを中心にしたプラットフォームの構築を目指す — ソフマップが考えるリユース事業の未来

CASE STUDY|株式会社ソフマップ 代表取締役 渡辺 武志氏

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ソフマップと言えば、パソコン・インターネットの黎明期からパソコン・ソフトウェアの販売を手掛けてデジタル時代を作り上げてきたパイオニア企業です。現在ではパソコン関連機器だけでなく幅広い商品カテゴリーを取り扱い、創業地である東京・秋葉原を中心に全国22店舗を展開しています。2010年には家電小売最大手ビックカメラの完全小会社となり、ビックカメラ、コジマを含むグループ全店舗のパソコンサポート、大学内のパソコンサポートデスク運営なども手掛けています。

一方、ソフマップは古くから中古製品の販売に力を入れてきた企業でもあります。秋葉原には買取専門店や中古製品の販売専門店を展開しています。同社では、個人消費が飽和状態になるなか、このリユース事業の拡大=中古製品の流通強化を今後の成長戦略の中心に据えています。具体的にどのような戦略で、デジタルとデータを活用してリユース事業の拡大を見据えているのでしょうか。株式会社ソフマップ代表取締役社長 代表執行役員の渡辺 武志氏が講演しました。

ソフマップのリユース事業が目指したデジタルトランスフォーム

渡辺氏がソフマップの代表に就任したのは、2017年。その当時、ソフマップのリユース事業には様々な課題があったという。

ひとつは、当時は店頭での買取が大半だったという点。時代は個人間で商品の売買が簡単にできるフリマアプリが大きな盛り上がりを見せ始めたころだ。「店頭買取依存のリユースビジネスは負け組だと感じていた」と渡辺氏は振り返る。

加えて、様々な商品を誰でも自由に売買できるフリマアプリと比較して、リユース業界は「パソコンショップはパソコンだけ」という具合に縦割りの構造になっており、売り手にとって利便性が高い仕組みとは言えず、また中古製品の買取・販売をする事業者には遵守しなければならない古物営業法があり、買取時の本人確認など手続きの手間も課題だった。

「店頭に古いパソコンを持ち込んで買取してもらうのは面倒だし、パソコンに保存した個人情報やプライバシーも心配だ。このように感じている消費者にどうアプローチするか。“不要なものを売る”というハードルをフリマアプリのように簡単にするにはどうすればいいかという課題があった。ビックカメラグループでは月間数万台のパソコン、スマートフォンを販売しているのに、買い取っている台数は販売数と比べると非常に少ない」(渡辺氏)。

こうした課題を解決すべく、ソフマップでは買取アプリ「ラクウル」を開発する。店舗に売りに行くのが面倒、個人情報やプライバシーが心配といったデジタル機器のリユースになかなか踏み込めないユーザーに、不要なものを売るというアクションのきっかけを提供するのが狙いだ。

「ラクウル」では、利用頻度を高めるためにパソコンなどのデジタル機器に加えてアパレル、ブランド品、ゴルフ用品やアウトドアグッズなど取扱いできる商品ジャンルを拡大。同じように店頭買取メインのリユース事業者などとパートナーシップを結び、ソフマップで取り扱わない商品ジャンルについてはパートナー企業に卸しているのだという。

「ジャンルは今後も増やし続け、総合買取アプリを目指したい」(渡辺氏)。

また同社は、中古製品を販売するECサイト「リコレ!」や中古専門店「Recollection」を展開。「リコレ!」では9万点以上の中古製品を掲載し、360度画像で商品をチェックできるような工夫もしているという。加えて、これまでのソフマップでは店舗とECサイトで別々の中古製品を取扱っていたが、新たな取り組みではECサイトと店舗で同じ商品を販売。ECサイトで買うと店舗から出荷する仕組みを構築しているという。そして、買取時に消費者が懸念する個人情報やプライバシーに関しては、「商品化センター」という中古製品のメンテナンスを行う専門施設で、データ消去やクリーニングをトレーニングを受けた専任のスタッフが行っているという。

モノを循環させ、蓄積されるデータを新しいビジネスに活かす

では、ソフマップはこの「ラクウル」をきっかけにして、リユース事業の未来をどのように見据えているのだろうか。渡辺氏は、モノを循環させる新しいサービス「リユース・エコノミーサイクルプラットフォーム」という構想を紹介した。

リユース・エコノミーサイクルプラットフォーム|『モノ』を中心に『モノ』を循環させる新しいサービス

このリユース・エコノミーサイクルプラットフォームは、「ラクウル」アプリに搭載された「持ち物帳」という機能が中核に位置付けられる。この持ち物帳は、いわばユーザーにとっては資産台帳の役割を果たすもので、ユーザーがこの持ち物帳に自分が使用している製品を登録すると、その製品の今の買取価格、つまり製品の今の価値がわかり、その場で買取の申込もできるというものだ。ユーザーにとっては、買い替えなどを検討する際に今自分が使っている製品がどれくらいの価値で売れるのかを把握することができるという。

渡辺氏は、今後この持ち物帳に様々なデータを繋ぎ、利便性を拡大したい考えだ。例えば、ビックカメラ、コジマ、ソフマップで買い物をすると「ビックポイントカード」に紐づいて購買データが蓄積される。これを「持ち物帳」と同期させることで、グループ店舗で購入すると自動的に持ち物帳に登録される仕組みを作ることができる。

また、商品カテゴリーごとにパートナー企業との提携を推進して、パソコンやデジタル機器だけでなく様々なジャンルの商品を登録できる仕組みを作りたい考えだ。

「自動車や不動産なども含めて、あらゆる自分の持ち物を持ち物帳で管理できる仕組みを作りたい。パートナー企業の商品マスターデータを取り入れることで、あらゆる持ち物の商品価値をユーザーに的確に提供することができる。加えて、商品のレンタル、シェアリング、保険・保証のオンデマンド提供、廃棄する際のリサイクルの支援など、持ち物帳からビジネスの幅を広げていきたい」(渡辺氏)。

そして、このリユース・エコノミーサイクルプラットフォームにはもうひとつの側面がある。それが、このプラットフォームで生まれるデータの活用だ。持ち物帳の利用が拡大すると、ユーザーの属性データ、購買データ、持ち物データ、パートナー企業から提供される商品マスターデータなどは、Treasure Data CDPによって構築されたデータ基盤に蓄積されていく。加えて、ソフマップでは買取時に古物営業法によるユーザーの本人確認を行っているため、データの正確性が担保された状態でユーザー情報を保有することが可能だ。

今後は、こうして蓄積された持ち物データ、属性データ、購買データなどを複合的に組み合わせて分析することによって、ユーザーのインサイトに迫ることができるようになるという。こうしたデータを今後のマーケティングや新サービスの創出に活かしたい考えだ。

渡辺氏は「持ち物帳の機能強化、買取品目の拡大、持ち物帳が生み出すビッグデータの活用によって、すべての領域で外部企業とのパートナーシップを推進しながら新しいサービスを創出していきたい。モノを循環させる新しいプラットフォームの中で色々な企業とエコシステムを構築していければ」と語る。

リユース事業の未来に向けたソフマップの挑戦は、まだ始まったばかりだ。

ソフマップが今やろうとしていること|・持ち物帳サービスの機能強化・買取品目の増強 業務提携の拡大・持ち物帳を使ったビッグデータの活用→一緒に何かできることやりませんか?

トレジャーデータ株式会社

2011年に日本人がシリコンバレーにて設立。組織内に散在しているあらゆるデータを収集・統合・分析できるデータ基盤「Treasure Data CDP」を提供しています。デジタルマーケティングやDX(デジタルトランスフォーメション)の根幹をなすデータプラットフォームとして、すでに国内外400社以上の各業界のリーディングカンパニーに導入いただいています。
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