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CDPで実現するインターネット広告運用の品質管理|Septeni Japan株式会社

CASE STUDY|Septeni Japan株式会社 アドマネジメント本部 パフォーマンスデザイン部 プロデューサー 柿谷 隆太氏

デジタルマーケティング事業やメディアプラットフォーム事業を展開するセプテーニグループにおいて、主にインターネット広告事業を担っているSepteni Japan。属人化が生じやすい広告運用について、同社ではどのように品質管理を行っているのか。「PLAZMA 2019 KANDA」に登壇した同社のアドマネジメント本部 パフォーマンスデザイン部 プロデューサー 柿谷隆太氏の講演内容から、その取り組みを見ていきます。

属人的になりがちなインターネット広告の運用

デジタルマーケティング事業やメディアプラットフォーム事業を展開するセプテーニグループ。その中でインターネット広告事業を担うのがSepteni Japanだ。

広告事業では、インターネット広告を中心としたデジタルマーケティングを活用し、広告主のビジネス拡大を支援します。インターネット広告には、リスティングやディスプレイなどの運用型広告と、バナーやメール、記事広告などの予約型広告があります。セプテーニでは、特に運用型広告に注力しています(柿谷氏)

運用型広告は、配信を開始した後も適切なアクションを取り続けることが重要になる。具体的には、ターゲティング分析やクリエイティブ分析を行って、アカウント構造やクリエイティブの見直しを行う必要がある。

ただ、広告運用は属人的になる傾向があります。入札や広告開始などの運用項目に対して、10年のキャリアがある担当者と経験3年の担当者では、両者の手法に違いが生じる可能性が否めません。弊社では、これを全員が一定水準を満たしている状態にする必要があると考えました。全員が一定水準を満たしている状態というのは、理想の運用の定義(標準化)とそれを守るための仕組み(品質管理体制)が機能している状態です(柿谷氏)

品質管理体制を構築する流れとは

こうした品質管理体制はどのようにして構築していくのか。柿谷氏はそれを「1.データ集約」「2.データ可視化」「3.広告運用の標準化/自動化」「4.品質管理体制の構築」という観点から解説していった。

柿谷氏は、広告運用のコンサルタントを経験した後、広告運用の標準化および自動化部門の初期メンバーとして運用の品質管理や各プロダクト開発ディレクション、フロー構築に従事している。現在は、これらに加え社内のワークフロー構築や業務改善社内ツールなどの開発ディレクション、顧客データを広告配信データに紐付けて効果改善を図る取り組みにも携わっている。

まず「1.データ集約」では、Arm Treasure Data CDPを用いて、広告配信データや顧客データなどを収集する。

広告運用の標準化に必要なデータは、『誰が』『どんな構造で』『どんな運用をして』『どういった結果になったか』を知るデータとなります。これらはそれぞれ『運用担当者データ』『構造データ』『運用ログ』『配信レポート』として定義して収集しています(柿谷氏)
品質管理体制構築まで|データ集約説明図: 運用担当者データ・構造データ・運用ログ・配信レポート→Treasure Data→可視化/分析=データ集約により可視化/分析が可能に

Arm Treasure Data CDPを採用した理由としては、連携できる外部ツールが多いこと、初期および運用コストが少なくて済むこと、UIが充実していることの3点を挙げた。

私が所属するパフォーマンスデザイン部をはじめ、社内にはエンジニアでない人が開発ディレクションや数値分析のためにデータを抽出して活用することが多くなってきました。エンジニアでない人もデータを扱いやすいUIは大きなポイントでした(柿谷氏)

社内ツール「AccSurvey」「PYXIS」で運用を自動化

「2.データ可視化」では、集約したデータを、Tableauを用いて可視化・分析している。例えば「運用担当者×配信レポート」では、誰がどの広告主を担当してどういった配信結果になっているかを可視化する。また「運用担当者×運用ログ」では誰が1週間でどのくらいの入札を行ったか、どのようなクリエイティブを何本入れたかを可視化する。これら以外にもさまざまな切り口で可視化を行い、分析を進めていった。

「3.広告運用の標準化/自動化」では、これらの可視化・分析データに加え、媒体推奨の構造や運用(GoogleのGORIN、Yahoo!のCorePJなど)を参考にする。ここから実施すべき運用項目を決定していった。それらの運用項目に対して、しきい値を決定し、達成/未達成を判別する。例えば、入札に関しては週に何回必要か、どれくらいの頻度が最適か、クリエイティブは何本必要かを決定し、各項目を判定する。

達成状況を可視化したものが社内ツールの「AccSurvey(アカウントサーベイ)」だ。個別アカウントごとに運用品質を100点満点でスコアリングしたり、運用担当者×アカウント×運用項目の実施/未実施を一覧で表示したりできる。また、スコア/達成状況はプロジェクトメンバーに通知される。

実施すべき運用項目の一部については、社内ツール「PYXIS」で自動化を行っている。例えば、入札、予算変更、広告開始/停止などについて、一定のルールに基づいて定期実行できる。また、メディアのアルゴリズムと社内実績からの運用ルール策定や、実行ログから数値の監視やアップデートも実施している。今後は、機械学習によるCTR予測機能の拡充を図っていく予定だ。

広告運用の品質が向上し、広告予算も向上

最後の「4.品質管理体制の構築」では、品質管理室を立ち上げ、利用促進と保守管理、アップデートを行っている。

いくつか標準化のためのツールはできましたが、使われないと意味が無いので品質管理室では利用の促進を行います。また、広告配信メディアは頻繁にアップデートが行われるため、アップデートに伴い必要になる保守管理も行います。例えば、AccSurveyに対しては、項目の見直し・修正、スコア監視などを、PYXISに対しては新規運用項目の自動化、ルールアップデート、エラー対応などを行っています(柿谷氏)

この結果、管理体制はどうなったのか。もともとの管理体制は、営業や上長が独自の基準で運用チェックを行って指示出しをしていたため、属人的なところがあった。しかし品質管理体制の構築後は、PYXISによる定期実行と、AccSurveyによるスコア通知を行っている。それらを見て、上長や営業が指示出しを行うことができるようになり、会社全体として、運用力の標準化が進むことになった。

品質管理室を立ち上げてから、AccSurveyの平均スコアは20%上昇しました。これは最低限実施すべき項目が実施されるようなったという意味です。また、これにより広告効果が改善し、お任せいただく広告のご予算も28%ほど向上する結果となりました」と柿谷氏は手応えを示す。
品質管理体制構築まで|品質管理体制構築後の実績グラフ

今後の展開としては、AIによる新たなソリューション開発に注力する。現在、データ・機械学習を活用した広告効果の改善を目的とし、自社内での研究開発や外部の研究機関との連携を強化している。具体的には、機械学習を活用した独自ツール「Precog」の開発や、広告クリエイティブに関する東京大学との共同研究を行い、さらなる取り組みを進めていくという。

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トレジャーデータ株式会社

2011年に日本人がシリコンバレーにて設立。クラウド型データマネジメントソリューションを提供しています。日本では2013年から本格的に事業を展開し、デジタルマーケティングやデジタルトランスフォーメションの根幹をなすデータプラットフォームとして、すでに国内外400社以上の各業界のリーディングに導入いただいています。
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