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「店舗=ブランド」からの脱却・アプリ化で実現したコスト削減と1to1コミュニケーション | 株式会社物語コーポレーション

CASE STUDY|株式会社物語コーポレーション
業態開発本部 開発企画・デジタルマーケティング部統括マネージャー
清水 圭介氏, 石田 孝太氏

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物語コーポレーションは、郊外のロードサイド型のレストランを中心に全国529店舗の外食チェーンを展開しています(2020年6月30日時点)。主なブランドは、業界2位の「焼肉きんぐ」をはじめとする焼肉店舗、業界4位のラーメンブランド「丸源ラーメン」、「お好み焼本舗(おこほん)」「寿司・しゃぶしゃぶ ゆず庵」など4ブランドで、その他に都心では牛たん専門店、海外では上海を中心に展開中です。

新型コロナウイルス感染拡大の影響がある中でも売り上げ・店舗数を伸ばしている同社は、DXの取り組みをいち早く始めていました。その取り組みは、「マーケティングの効率化」「店舗業務の効率化」「食材・キッチン・採用の最適化」など多岐に渡ります。中でも今回はデータを活用した「マーケティングの効率化」に注目した事例を紹介します。

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  • 清水圭介
    清水 圭介(Keisuke Shimizu)

    株式会社物語コーポレーション/ 業態開発本部 開発企画・デジタルマーケティング部 統括マネージャー

    グラフィックデザインからブランディング、IT企画を経て、2018年に株式会社物語コーポレーション入社。デジタルマーケティング、アプリ開発、デジタル変革(DX)に従事。

  • 石田孝太
    石田 孝太 (Kota Ishida)

    株式会社物語コーポレーション/ 業態開発本部 開発企画・デジタルマーケティング部 統括マネージャー

    飲食事業、IT×デリバリー、販促・採用コンサルティング事業を経て2019年5月株式会社物語コーポレーションに。PR、SNSを中心にコンテンツマーケティングや販促施策の企画、設計、運用を担う。

1年で大きく変わったブランドとチャネルのあり方

1年で大きく変わったブランドとチャネルのあり方

同社ではリアルでの顧客接点が強く、「店舗=ブランド」という概念が強く根付いていた。しかしここ1年で「店舗=ブランド」ではなく、「ブランドを中心として各チャネルが紐づく」というシフトが起こっているという。ブランドを中心に店舗、EC、テイクアウト、デリバリーがある、という考え方だ。そのため、各チャネルを俯瞰して「顧客体験の最適化」を進めていく必要があった。

デジタルマーケティングに本格的に取り組む前から、社内にはチラシ、タッチパネルログ、POSデータ、Webログ、アプリログ、アンケートデータなど、多種多様のデータが存在していた。それらの社内にサイロ化して散在するデータを活用するために、2019年7月からトレジャーデータの「Treasure Data CDP」を導入し、データを収集・統合して分析をしていくための顧客データ基盤を構築している。

アプリとCDPの連携による「1ユーザー=1ID化」

アプリとCDPの連携による「1ユーザー=1ID化」

同社は1年半ほど前から、4つの主力ブランドである「焼肉きんぐ」「丸源ラーメン」「寿司・しゃぶしゃぶ ゆず庵」「お好み焼本舗(おこほん)」のアプリ化を進めている。ブランド別にアプリ経由で取得した顧客データを全て「Treasure Data CDP」に取り込み、ブランドをまたいで「1ユーザー=1ID化」を実現。それらを一元管理することで一人ひとりのユーザーの分析が可能になった。

アプリで取得したデモグラフィック、来店頻度や時期といったビヘイビアー、クーポン利用などのサイコグラフィックデータをもとにセグメントごとに情報発信を行い、優良顧客の可視化や、離脱防止、値引きの削減などに取り組んでいる

アプリ分析・セグメント配信

ユーザーへのセグメント配信で集客につなげる

特に注力しているのは、いかに値引き以外の魅力でユーザーに来てもらえるかという「値引き誘引売り上げの削減」だ。

これまでは、チラシ・DM・Web広告によるクーポンなど、販売促進のための「PUSH型・値引きあり」の短期施策が中心だった。現在は、クーポン配布を最適化し、そのぶん情報発信やコミュニティ作りにつながる取り組みを増やす「PULL型・値引きなし」の施策にシフトしている。

ユーザーへのセグメント配信で集客につなげる

アプリやブランドサイト、YouTube、テレビCM、ソーシャルメディアなどの多チャネルを活用してコンテンツマーケティングに取り組み、値引き訴求以外でユーザー接点をより多く持ち、集客につなげていく取り組みだ

ホールスタッフが「焼肉ポリス」となって美味しい肉の楽しみ方を提案するサービスや、来店回数に応じて階級が上がる「ポリス手帳」機能をアプリに導入し、階級に応じてオリジナルグッズをプレゼントするなど、相互コミュニケーションのユニークな試みも行っている。

「焼肉きんぐ」アプリ

キャンペーン、期間限定メニュー、イベントなど魅力あるコンテンツを提供することで、クーポンではなく「面白そう、楽しそう」という誘引で興味を喚起し、集客につなげていくことを狙っている。

チラシを減らしデジタルシフトでコスト削減

チラシを減らしデジタルシフトでコスト削減

同社はロードサイドに店舗が多いため、リアルでのチラシ配布は有力な販促のひとつだった。以前はチラシを「ただ配布するだけだった」というが、現在はチラシを削減しデジタルでの配信を加速させている。専用のデジタルマップを作り、アプリで取得したデータと掛け合わせて、どの商圏からクーポンを回収できたかという商圏あたりの回収率と、外部データとして世帯数や人口といった統計データも掛け合わせて分析するようにした。

その結果、チラシの回収率が低い地域と高い地域が可視化され、来店につながる地域に集中して販促ができるようになった。この1年で効果測定のできない販促をやめ、デジタル化に注力した結果、販促費自体の圧縮とROI向上も実現した。また、チラシ発注のシステムもデジタルマップをもとにセグメント化し、ワンストップでチラシ発注できるような仕組みづくりに取り組んでいる。

商品分析の効率化・自動化によるオペレーションコスト削減

商品分析の効率化・自動化によるオペレーションコスト削減

販促のROI向上だけでなく、マーケティング業務自体の効率化、自動化によるオペレーションコストも削減した。当社はこれまで、担当者が一つ一つ各商品データを抽出して毎回分析を行っていたが、現在は「Treasure Data CDP」に取り込んだデータをTableauのダッシュボードで見える化し、数値をスピーディに把握できるようになった。アプリ会員数が増えてきたことで、より深い顧客分析ができるデータになってきたこともあり、商品データとアプリのデータを紐づけた分析をしていく予定だ。 

ブランドを中心に据えたDXの取り組み

ブランドを中心に据えたDXの取り組み

課題の一つである「値引き以外売り上げを増やす」ために、魅力的なコンテンツの拡充と、ユーザーへの個別アプローチ・接点の創出に取り組んできた同社。 その手段としてデジタルマーケティング、そしてDXに取り組んできた。そのコアとなるのは「ブランド」であり、ブランドの顧客接点として店舗、テイクアウト、EC、デリバリーがある。各接点で生まれる顧客データを「Treasure Data CDP」で収集・統合し、分析していくことが、さらなるDXによる顧客体験の進化につながっていく。

今後も「マーケティングの効率化」の強化を推し進めるとともに、データを活用した店舗業務の効率化や食材・キッチン・採用の最適化にも取り組みながら、「外食企業」としてだけではなく「デジタルで顧客体験を進化させる企業」としての認知も目指していく。

物語コーポレーションは、郊外のロードサイド型のレストランを中心に全国529店舗の外食チェーンを展開しています(2020年6月30日時点)。主なブランドは、業界2位の「焼肉きんぐ」をはじめとする焼肉店舗、業界4位のラーメンブランド「丸源ラーメン」、「お好み焼本舗(おこほん)」「寿司・しゃぶしゃぶ ゆず庵」など4ブランドで、その他に都心では牛たん専門店、海外では上海を中心に展開中です。

新型コロナウイルス感染拡大の影響がある中でも売り上げ・店舗数を伸ばしている同社は、DXの取り組みをいち早く始めていました。その取り組みは、「マーケティングの効率化」「店舗業務の効率化」「食材・キッチン・採用の最適化」など多岐に渡ります。中でも今回はデータを活用した「マーケティングの効率化」に注目した事例を紹介します。

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  • 清水圭介
    清水 圭介(Keisuke Shimizu)

    株式会社物語コーポレーション/ 業態開発本部 開発企画・デジタルマーケティング部 統括マネージャー

    グラフィックデザインからブランディング、IT企画を経て、2018年に株式会社物語コーポレーション入社。デジタルマーケティング、アプリ開発、デジタル変革(DX)に従事。

  • 石田孝太
    石田 孝太 (Kota Ishida)

    株式会社物語コーポレーション/ 業態開発本部 開発企画・デジタルマーケティング部 統括マネージャー

    飲食事業、IT×デリバリー、販促・採用コンサルティング事業を経て2019年5月株式会社物語コーポレーションに。PR、SNSを中心にコンテンツマーケティングや販促施策の企画、設計、運用を担う。

1年で大きく変わったブランドとチャネルのあり方

1年で大きく変わったブランドとチャネルのあり方

同社ではリアルでの顧客接点が強く、「店舗=ブランド」という概念が強く根付いていた。しかしここ1年で「店舗=ブランド」ではなく、「ブランドを中心として各チャネルが紐づく」というシフトが起こっているという。ブランドを中心に店舗、EC、テイクアウト、デリバリーがある、という考え方だ。そのため、各チャネルを俯瞰して「顧客体験の最適化」を進めていく必要があった。

デジタルマーケティングに本格的に取り組む前から、社内にはチラシ、タッチパネルログ、POSデータ、Webログ、アプリログ、アンケートデータなど、多種多様のデータが存在していた。それらの社内にサイロ化して散在するデータを活用するために、2019年7月からトレジャーデータの「Treasure Data CDP」を導入し、データを収集・統合して分析をしていくための顧客データ基盤を構築している。

アプリとCDPの連携による「1ユーザー=1ID化」

アプリとCDPの連携による「1ユーザー=1ID化」

同社は1年半ほど前から、4つの主力ブランドである「焼肉きんぐ」「丸源ラーメン」「寿司・しゃぶしゃぶ ゆず庵」「お好み焼本舗(おこほん)」のアプリ化を進めている。ブランド別にアプリ経由で取得した顧客データを全て「Treasure Data CDP」に取り込み、ブランドをまたいで「1ユーザー=1ID化」を実現。それらを一元管理することで一人ひとりのユーザーの分析が可能になった。

アプリで取得したデモグラフィック、来店頻度や時期といったビヘイビアー、クーポン利用などのサイコグラフィックデータをもとにセグメントごとに情報発信を行い、優良顧客の可視化や、離脱防止、値引きの削減などに取り組んでいる

アプリ分析・セグメント配信

ユーザーへのセグメント配信で集客につなげる

特に注力しているのは、いかに値引き以外の魅力でユーザーに来てもらえるかという「値引き誘引売り上げの削減」だ。

これまでは、チラシ・DM・Web広告によるクーポンなど、販売促進のための「PUSH型・値引きあり」の短期施策が中心だった。現在は、クーポン配布を最適化し、そのぶん情報発信やコミュニティ作りにつながる取り組みを増やす「PULL型・値引きなし」の施策にシフトしている。

ユーザーへのセグメント配信で集客につなげる

アプリやブランドサイト、YouTube、テレビCM、ソーシャルメディアなどの多チャネルを活用してコンテンツマーケティングに取り組み、値引き訴求以外でユーザー接点をより多く持ち、集客につなげていく取り組みだ

ホールスタッフが「焼肉ポリス」となって美味しい肉の楽しみ方を提案するサービスや、来店回数に応じて階級が上がる「ポリス手帳」機能をアプリに導入し、階級に応じてオリジナルグッズをプレゼントするなど、相互コミュニケーションのユニークな試みも行っている。

「焼肉きんぐ」アプリ

キャンペーン、期間限定メニュー、イベントなど魅力あるコンテンツを提供することで、クーポンではなく「面白そう、楽しそう」という誘引で興味を喚起し、集客につなげていくことを狙っている。

チラシを減らしデジタルシフトでコスト削減

チラシを減らしデジタルシフトでコスト削減

同社はロードサイドに店舗が多いため、リアルでのチラシ配布は有力な販促のひとつだった。以前はチラシを「ただ配布するだけだった」というが、現在はチラシを削減しデジタルでの配信を加速させている。専用のデジタルマップを作り、アプリで取得したデータと掛け合わせて、どの商圏からクーポンを回収できたかという商圏あたりの回収率と、外部データとして世帯数や人口といった統計データも掛け合わせて分析するようにした。

その結果、チラシの回収率が低い地域と高い地域が可視化され、来店につながる地域に集中して販促ができるようになった。この1年で効果測定のできない販促をやめ、デジタル化に注力した結果、販促費自体の圧縮とROI向上も実現した。また、チラシ発注のシステムもデジタルマップをもとにセグメント化し、ワンストップでチラシ発注できるような仕組みづくりに取り組んでいる。

商品分析の効率化・自動化によるオペレーションコスト削減

商品分析の効率化・自動化によるオペレーションコスト削減

販促のROI向上だけでなく、マーケティング業務自体の効率化、自動化によるオペレーションコストも削減した。当社はこれまで、担当者が一つ一つ各商品データを抽出して毎回分析を行っていたが、現在は「Treasure Data CDP」に取り込んだデータをTableauのダッシュボードで見える化し、数値をスピーディに把握できるようになった。アプリ会員数が増えてきたことで、より深い顧客分析ができるデータになってきたこともあり、商品データとアプリのデータを紐づけた分析をしていく予定だ。 

ブランドを中心に据えたDXの取り組み

ブランドを中心に据えたDXの取り組み

課題の一つである「値引き以外売り上げを増やす」ために、魅力的なコンテンツの拡充と、ユーザーへの個別アプローチ・接点の創出に取り組んできた同社。 その手段としてデジタルマーケティング、そしてDXに取り組んできた。そのコアとなるのは「ブランド」であり、ブランドの顧客接点として店舗、テイクアウト、EC、デリバリーがある。各接点で生まれる顧客データを「Treasure Data CDP」で収集・統合し、分析していくことが、さらなるDXによる顧客体験の進化につながっていく。

今後も「マーケティングの効率化」の強化を推し進めるとともに、データを活用した店舗業務の効率化や食材・キッチン・採用の最適化にも取り組みながら、「外食企業」としてだけではなく「デジタルで顧客体験を進化させる企業」としての認知も目指していく。

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トレジャーデータ株式会社

2011年に日本人がシリコンバレーにて設立。組織内に散在しているあらゆるデータを収集・統合・分析できるデータ基盤「Treasure Data CDP」を提供しています。デジタルマーケティングやDX(デジタルトランスフォーメション)の根幹をなすデータプラットフォームとして、すでに国内外400社以上の各業界のリーディングカンパニーに導入いただいています。
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