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PV7000万超の人気ビジネスメディアが実践する、データに基づくユーザー開拓と広告主へのソリューション|株式会社ダイヤモンド社

CASE STUDY|株式会社ダイヤモンド社
デジタルメディア局事業推進部 副部長 高見 潤氏

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ビジネス関連の書籍や雑誌の発行を中心に事業展開する株式会社ダイヤモンド社(以下、ダイヤモンド社)。1913年設立の老舗出版社のイメージとは一線を画す新たな取り組みを加速させています。それが、オンラインメディアで蓄積したデータを駆使した新たな施策によるユーザー開拓と広告主へのソリューション提供です。2018年に開催された「TREASURE DATA “PLAZMA” Roppongi」での同社デジタルメディア局事業推進部 副部長 高見潤氏の講演からその全容を見ていきます。

「良いコンテンツ」だけではユーザー拡大は限界

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ビジネス関連の書籍や雑誌の発行を中心に事業展開する株式会社ダイヤモンド社(以下、ダイヤモンド社)。1913年設立の老舗出版社のイメージとは一線を画す新たな取り組みを加速させています。それが、オンラインメディアで蓄積したデータを駆使した新たな施策によるユーザー開拓と広告主へのソリューション提供です。2018年に開催された「TREASURE DATA “PLAZMA” Roppongi」での同社デジタルメディア局事業推進部 副部長 高見潤氏の講演からその全容を見ていきます。

「良いコンテンツ」だけではユーザー拡大は限界

ダイヤモンド社は、1913年に設立した歴史ある出版社だ。主にビジネス関連の書籍や雑誌を中心に発行しているほか、オンラインメディアのダイヤモンド・オンラインも手がけている。同サイトを担当する高見潤氏によると、ダイヤモンド・オンラインのページビューは月間で7000万を超え、ユニークユーザー数は1800万人、無料会員は60万人に上るという。

そのダイヤモンド・オンラインでは、Treasure Data CDP(以下、CDP)を導入し、ユーザーの開拓としてのマーケティングや広告主へのソリューションに活用している。

「オンラインメディアとしてユーザーを拡大するにあたり、コンテンツの良し悪しに頼るだけでは限界があります。保有しているデータを活用し、新たな方法でユーザーを開拓する必要があると考えました。また、広告主へのソリューションを向上させるためにも、データを活用しています」

と、高見氏は話す。

アクティブユーザーと非アクティブユーザーには関心分野の違いがあった

ダイヤモンド・オンラインでは、日々会員に向けて新着記事やおすすめ記事を紹介したメールマガジンを配信している。これまで全ユーザーに同じ内容のメールマガジンを配信していたが、「ユーザーごとに異なる内容を提供することで、レスポンスが向上できるのではないかと考えました」と高見氏は言う。

そこでダイヤモンド社は、株式会社マイクロアドと協力し、ユニークブラウザデータを分析するマイクロアドの「UNIVERSE」を活用、ダイヤモンド・オンラインのユーザーを2通りに分類した。一方は、ビジネス系メディアおよびダイヤモンド・オンラインの閲覧が多いユーザー(アクティブユーザー)で、もう一方はあまり閲覧しないユーザー(非アクティブユーザー)だ。

次に、各ユーザーが興味を持つ分野をUNIVERSEで分析した。アクティブユーザーが金融や投資、ビジネス全般に興味を示すことは予測できたが、「実はこうしたユーザーは同時に、ワインや外国語学習といった自分磨きへの意識が高く、健康や口臭ケアなどを怠らない、という行動の特徴も見えてきました」と高見氏。一方、非アクティブユーザーは、社会、政治経済、仕事、時事ネタなど、幅広い情報収集を好む「いわゆる雑学好き」だったという。

興味・関心に応じた内容でメルマガのCTRは劇的に改善

こうした情報を元に、ダイヤモンド・オンラインのコンテンツ群の中から、過去記事も含めユーザーの興味関心に合いそうな記事をピックアップ、それぞれのユーザーに対して異なるメールを作成して配信した。

その結果、アクティブユーザーに対しては、「従来の方法よりもクリックスルーレート(CTR)が1.8倍になりました」と高見氏は明かす。

「アクティブユーザーは、そもそもダイヤモンド・オンラインでのエンゲージメントが高いユーザーで、メールへの反応率も高いユーザーでした。それでもCTRが1.8倍と、すでにアクティブだったユーザーがさらにアクティブになる結果となりました。驚きの結果でした。」(高見氏)

一方、非アクティブユーザーに対しては、興味や関心にマッチしたコンテンツを配信することで、従来と比較してCTRが9.3倍にまで向上したという。

「これまで非アクティブユーザーは、メールを配信しても反応が鈍かったのですが、今回の施策のようにアプローチを変えることで、オンライン上に帰ってきてくれて、さらにサイトの回遊率が高まることがわかりました」

と高見氏は話す。

「ユーザーが自社サイト以外でどんな行動を取っているのか把握することで、パフォーマンスが向上し、分析の新しい軸の検討にも役立ちました。また、過去のコンテンツや、すでにランキング外のコンテンツでも、流通方法を変えると新しいユーザーには新たな発見として受け入れてもらうことができました。それがサイトを訪れる動機づけとなり、コンテンツに新しい価値を付与できます」

と、高見氏は今回の施策の効果を説明する。
この施策におけるUNIVERSEとのデータ連携は、td_globa_idを使って行った。td_globa_idベースのユーザー属性はダイヤモンド社のTDにも格納されている。そこからUNIVERSEでの広告配信に繋ぎこむことも可能だった。

「マーケティングにおけるデータ連携は課題も多いですが、td_global_idを利用することで、ある程度限定したセグメントのみでデータをやりとりする環境を作り、容易で迅速なデータ連携が実現しました」

と高見氏は述べている。

オンラインメディア上のマーケティングファネルの遷移を測定

ダイヤモンド・オンラインでは、ユーザーの開拓のみならず、広告主に対する施策にもCDPを活用している。広告主とメディアが同じデータを見て施策の効果を分析し、次の施策につなげるためだ。

ここで高見氏は、「ユーザーの属性やメディアの行動データによる効果を検証することで、クライアントが考えているファネルごとの評価を違う視点で可視化できるのではないか」という仮説を立てた。

その仮説を検証するには、ユーザーのファネルの遷移をメディアのドメイン内で測定する必要がある。そこで高見氏は、マーケティングファネルをダイヤモンド・オンライン内に構築した。ファネルの遷移をメディアのドメイン内で測定できるようにするためだ。サイトを訪問する全ユーザーを「潜在顧客」とし、サイト内に設けたキャンペーンページへの訪問ユーザーを「見込み客」、リードが獲得できたユーザーを「顧客」と仮定。各フェーズにおけるユーザーのオンライン上での行動をCDPに格納し、属性や行動特性をそれぞれ分析した。

その結果、特定の属性を持つユーザーが、ダイヤモンド・オンライン全体のユーザーと比較してコンバージョンが高いことが明らかになった。それは、業者別では流通、小売、医薬品など、役職別では部長職や課長職、職種では経営企画、マーケティング、営業職といった属性だ。また、トレジャーデータの提供する記事解析エンジンを活用し、コンテンツ軸でも分析した結果、コンバージョンが高いユーザーは企業経営やMA(マーケティングオートメーション)およびCRM、さらにはIoTといったコンテンツをよく読み、キャリア、マネー、ヘルスケアといった分野はあまり読まない傾向にあることがわかったという。

「これまで広告主はメディアに対し、枠やリード数、送客数など、顕在層の刈り取りを目的としたものを求めていました。それが、データを起点としてメディアが持つ情報を広告主に開示することで、キャンペーンの中でできた潜在層と顕在層の差やコンテンツの効果が、広告主とメディアの間でデータによって共有できるようになります。これは、潜在層の顕在化にもつながります」(高見氏)

勘と経験だけに頼らない「データに基づいた広告制作」へ

これまでは、実際にユーザーがどういったコンテンツに触れているのかをメディア側から証明する手段はあまり多く存在しなかった。また、コンテンツもデータに基づいて制作するのではなく、広告制作のプロが独自の視点で作成するという、勘と経験が物を言う世界だった。「これを変えていく際に役立つのがデータです」と高見氏は語る。

現在ダイヤモンド・オンラインのほとんどのデータは、Treasure Data CDPの中に格納、実装されている。このデータを今後広告主のソリューションにさらに役立てたいと高見氏は言う。

「例えば、広告主サイトに訪れているユーザーと、ダイヤモンド・オンラインに訪れているユーザーとの間でデータを突き合わせるといったことも検討していきたいですね。お互いのデータを起点とすることで、自社ユーザーが外部でどのような行動をしているのか把握できるようになりますから」と高見氏は今後の展望を示している。

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トレジャーデータ株式会社

2011年に日本人がシリコンバレーにて設立。組織内に散在しているあらゆるデータを収集・統合・分析できるデータ基盤「Treasure Data CDP」を提供しています。デジタルマーケティングやDX(デジタルトランスフォーメション)の根幹をなすデータプラットフォームとして、すでに国内外400社以上の各業界のリーディングカンパニーに導入いただいています。
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