事例記事

デサントが実現したデータによるビジネス改革|株式会社デサント

業界を問わず様々な企業でデジタル変革が進む中、多くの企業が直面するのが「知識や経験がない中でどのように推進するべきか」という課題です。老舗企業であれば、新たなシステムやオペレーションの導入に社内の理解を得ることも容易ではありません。1935年に創業したスポーツメーカー「デサント」は、こうした課題をどのように乗り越え、どのようなデジタル変革を実現しようとしているのでしょうか。「データドリブンな仕事改革におけるCDPの活用方法」と題した講演で、株式会社デサント デジタルマーケティング戦略室(2019年2月時点)の湊 俊太氏が語りました。

データを使って、ビジネスを改革したい

スポーツが好きな方なら、「デサント」の名を知らない方はいないだろう。スポーツウェアのブランドの老舗であり、近年はスポーツファッションも若者を中心に人気だ。またデサント以外にはスイムウェアの「arena」、サッカーの「umbro」など数多くのスポーツブランドを展開している。

では、デサントはなぜTreasure Data CDPを導入しようと考えたのか。そこには、湊氏がアパレルメーカーを経て2017年にデサントに入社したときから抱いていた思いが、背景にあるのだという。「データを使ってビジネスを変えたいという思いが、入社したときからあった。データドリブンにビジネスを改革しようという考えるなかで、データを格納する場所が必要だった」(湊氏)。 

湊氏は、入社してすぐにCRM推進プロジェクトに参加してシステム選定を開始。翌2018年の2月にはTreasure Data CDPを導入してシステム連携の準備を開始し、5月から運用をスタートしている。入社した翌年にTreasure Data CDPを活用したビジネス改革へと具体的に動き出すというスピード感だが、その過程では様々な苦労があったという。 

「老舗企業のため、ビジネス改革を社内で理解してもらえるのに時間が掛かった」と語る湊氏。もうひとつ大変だった点は、知見がないということだったという。湊氏は、これまでシステム運用の経験はあったが、ゼロから導入を手がけたことはなかった。このような状況で、ビジネス改革をスタートさせるために、様々な行動を起こしていったのだそうだ。

そのひとつが、「人の話を聞く」ということだったと湊氏は振り返る。様々な会社に出向いて沢山の人にデジタル変革の体験談やアドバイスを聞き参考にしていったのだ。「個人情報を扱う場合の留意点、社内データベースエンジニアの必要性、そして特にデータリテラシーが高くマーケター思考を持つ人材の必要性を重要だと感じた」(湊氏)。

そして、こうしたアドバイスを参考に、湊氏はデジタル変革のためにはエンジニア人材を社内に配置して内製化する必要性を感じ、上司に掛け合い新たに人材を採用して必要な組織を整えていったという。「エンジニアを情報システム部門で採用すると組織の壁という新たな課題が生まれるが、デジタルマーケティングを実際に推進するマーケティング部門に配属できたことでスピード感をもってプロジェクトを進めることができた」(湊氏)。

現在ではリテール販売を担う部門と一体となって、直営店やネット通販の強化、Treasure Data CDPを活用したCRMの推進を担っている。

株式会社デサント 湊 俊太氏

ではデサントは、Treasure Data CDPを活用してどのようなビジネス改革を実現したのだろうか。湊氏は事例を挙げて説明した。

オムニチャネルによる顧客コミュニケーションの最適化

デサントの商品は、小売店への卸売り、直営店やネット通販による直接販売、百貨店への消化取引(メーカーが百貨店の売場に商品を陳列して販売すること)といった様々なチャネルを通じて消費者の手に届けられる。こうしたビジネススタイルの中でまず手がけたのが、顧客情報の統合管理とコミュニケーションの最適化だ。

湊氏によると、これまでのデサントでは直営の店舗ごとにバラバラに顧客管理をしており、ネット通販とリアル店舗で会員制度やポイントも異なっていたという。メールマガジンなどによる顧客とのコミュニケーションも店舗によってバラバラで、顧客との接点がクロスチャネル化していたのだそうだ。「チャネルの主導権がお客様にあるなかで、クロスチャネル化してしまっている状態は改善する必要があった。そこで、オムニチャネルを推進していった」(湊氏)。

こうした課題に対して、同社はまず「CLUB DESCENTE」という直営の実店舗、ネット通販を横断する会員組織を立ち上げ、顧客基盤を統合。Treasure Data CDPには顧客の購買データやアクセスログを集約・統合してチャネルを横断して把握できるようにした。そして、Treasure Data CDPに統合したデータとSalesforceを活用して、メールによるコミュニケーションを最適化したのだ。「データを活用して、お客様ひとりひとりが望む最適なコミュニケーションを実現できることを目指した。今後はアプリやDMなどの顧客接点を増やしていきたい」。 

こうして実現した統合された顧客基盤とデータの一元管理の仕組みによって、湊氏は顧客がロイヤルカスタマーへと成長する過程の見える化を、推進していきたいとしている。

「お得意様(ロイヤルカスタマー)になっていただくまでには様々な段階があるが、どうやってなっていただくのかというカスタマージャーニーはまだ見えていない。お得意様の中にいる当社として本当に深い関係構築をしたいお客様、つまり早期に商品を購入してくれる、レコメンドした商品を好んで購入してくださる、SNSなどでブランドを拡散してくださるお客様は誰なのかは、まだ見えていない。相思相愛の関係が築けるお客様をデータ分析から発見していきたい」(湊氏)。 

社内の業務改革

Treasure Data CDPによるビジネス改革はマーケティング領域だけに留まらない。そのひとつが、社内の業務改革だ。

湊氏によると、これまでは販売チャネルごとの売上データをはじめとする社内の情報がバラバラで、社員にとっては必要な情報を探して活用するのが大変だったという。こうした課題に対して、Treasure Data CDPを活用したデータの統合と見える化によって業務改善を目指した。具体的には、チャネルごとの売上データや社員のPCに保存されている業務データをTreasure Data CDPで一元管理。CSVファイルで必要なデータをアウトプットしたり、TableauなどBIツールで簡単に閲覧したりできるようにすることで、営業活動、マーケティング活動の業務効率化を進めている。

「この取組みは業務改善だけで終わらせず、業務改革まで進めたい。具体的には、データをもとに売上予測、在庫予測できる仕組みを開発して、営業活動、マーケティング活動の質を上げていきたい」(湊氏)。

ビジネスの変革は、点で見るのではなく線で見る 

講演の締めくくりとして、湊氏はTreasure Data CDPをはじめ様々なデジタルツールを活用してデジタル変革に挑もうとしている人に向けて、アドバイスを送った。特に強調したのが、ツールを導入するというひとつの点をもってデジタル変革だと考えず、未来のビジョンを持った上でデジタル変革を考えることの重要性だ。

ビジネスの変革は点で見るのではなく線で見ることが重要だ。ツールは点で見ると導入しただけで終わってしまい十分に活用することはできない。過去、現在を踏まえて未来に会社として何がしたいのか。そして“この未来を実現するためにこのツール、組織、オペレーションが必要だ”という視点が重要だ。

2020年どのようなデジタル変革のビジョンを形にしていくのか。デサントの挑戦はこれからも続く。

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トレジャーデータ株式会社

2011年に日本人がシリコンバレーにて設立。クラウド型データマネジメントソリューションを提供しています。日本では2013年から本格的に事業を展開し、デジタルマーケティングやデジタルトランスフォーメションの根幹をなすデータプラットフォームとして、すでに国内外400社以上の各業界のリーディングに導入いただいています。
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