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動画配信・広告配信にまつわるトレンドと、これからのデータ活用 (ゲスト : 川延浩彰さん)

PLAZMA PARTNERS #3|ブライトコーブ株式会社 代表取締役社長 兼 本社シニアバイスプレジデント 川延 浩彰氏 × トレジャーデータ株式会社 若原 強

PLAZMAに参画するソリューションパートナーを紹介する、「PLAZMA PARTNERS」シリーズ。
動画ホスティングプラットフォーム「Brightcove Video Cloud」の提供をはじめ、オンライン動画のパイオニアであるブライトコーブ。

今回はブライトコーブ株式会社 代表取締役社長の川延さんをお迎えし、動画配信 / 視聴のトレンドや、動画配信にまつわるデータ活用の可能性などについて幅広くお伺いしました。今回の聞き手はTreasure Dataエバンジェリストの若原です。

Topics

「OTT=Over The Top」って、ちょっとわかりにくい言葉?/OTTサービス戦国時代の到来/課金額に応じて差別化されるコンテンツ/スポーツや音楽ライブとの親和性/アメリカの動画配信トレンドが日本に来るとは限らない/日本の独自モデル「TVer」/グローバル・ビデオ・インデックスレポート/コネクティッドTVによる視聴が増えている/受信デバイスとコンテンツの親和性/リーンバックで観る/定点観測の重要性/動画もパーソナライズの時代/CSAIとSSAI、2種類の広告挿入形式/動画リコメンデーションと、広告ターゲティングのアルゴリズム/視聴者属性データの活用可能性/観ているデバイスにあわせて広告は最適化される/5G|高解像度・高速通信時代の動画配信とは?/コロナ禍でトレンドはどう変わるか/ライブ配信のための機動力/視聴環境が多様化する社会に対応する動画配信サービス

Hiroaki Kawanobe: Senior Vice President & Country Manager, Japan, Brightcove Inc.
Tsuyoshi Wakahara: Evangelist, Treasure Data
Recording: 2020/04/10

※収録はオンラインにて行っています。一部背景に環境音が入っていますがご了承ください。

若原 皆さんこんにちは。トレジャーデータの若原です。様々なゲストをお招きしてデータ活用等々についてお話するTreasure Dataの「PLAZMA PARTNERS」。今日のゲストは、ブライトコーブ株式会社 代表取締役社長 兼 本社シニアバイスプレジデントの川延浩彰さんをお招きしています。川延さん、よろしくお願いします。

川延 よろしくお願いします。本日はありがとうございます。

若原 いえいえ、こちらこそよろしくお願いします。今日、川延さんにいろいろお話を伺いたいと思っているんですけど、特に動画の配信について伺いたいと思っています。

ブライトコーブは動画の配信にまつわる様々なサービスをご提供されていると思うんですが、動画の配信のトレンドがどう変わってきているか、動画の配信がいろいろ変わってくる中で、いわゆるデータ活用もどんなふうに可能性が変わってきているのか、についてお話を伺いたいなと思っています。ぜひよろしくお願いします。

川延 よろしくお願いします。

「OTT=Over The Top」って、ちょっとわかりにくい言葉?

若原 では、早速一つ目のテーマなんですけど、「OTT」というサービスのことについて伺いたいなと思います。私もこの動画配信サービスというものに関して、いろいろ調べる機会があって、大体このOTTという3文字に出くわすことが多いなと思っているんです。

そもそも、この「OTTサービス」というのがどういうものなのか?という辺りからお話を伺えたらなと思います。

川延 はい。まず「OTT」って略称なんです。この言葉自体が、あまりわかりやすい言葉じゃないかなと思っていて、何の略称かと言いますと、「Over The Top」のそれぞれの頭文字を取って「OTT」と呼んでいます。

このOTTとは何か?という話なんですが、従来コンテンツを届ける方式では、電波放送や衛星放送、ケーブル放送だったんですが、それがインターネットの登場と共にそれらをバイパスできるようになり、インターネット上で配信できるようになりました。

インターネット上で配信する形式を、一般的には動画の世界では「OTT」の配信と呼んでいます。

OTTでは、どういったサービスがあるの?というお話になると思うんですが、それで言うと、一番世界でサブスクライブの数が多いのがNetflix(ネットフリックス)ですね。「Netflix」は代表的なOTTサービスの一つと言えます。

OTTサービス戦国時代の到来

若原 今の代表的なサービスで言うと、先程名前挙げていただいたNetflixのほかに有名所で言うと、どんなものがありますか?

川延 いろいろありまして・・。特に直近いろいろな動きがあるので、それと合わせてお話させていただきますね。この直近1年間だけ見ても大きいサービスって結構立ち上がってきています。

まずは、アメリカでは「Apple TV+」(アップルTVプラス)や、「Disney+」(ディズニープラス)という大規模なサービスが、去年の年末にかけて立ち上がりました。

4月から6月のこの四半期だけでも、「Quibi」(クイビー)というサービスが新しく立ち上がったり。今後は、NBCユニバーサルの「Peacock」(ピーコック)、ワーナーメディアの「HBO Max」というサービスがローンチを迎えるということで、OTT戦国時代というか、すごくいろんなサービスが立ち上がってきている状況かなと思います。

若原 それは具体的に言うと、どういうことが変わってきている感じなんですか?

課金額に応じて差別化されるコンテンツ

川延 今申し上げたのは、広く言うと「SVOD」(Subscription Video on Demand) のサービスという言われ方をしているんですが、そのSVODの中でも、課金ユーザーの課金モデルによっては、品質が違うだけではなく、課金しても課金形態が安いものには広告がついたりするので、そこら辺はだいぶ違ってくるのかなと。

いろいろ差別化をする中で、そのサービス名に+(プラス)をつけたりという動きもあるんじゃないかと思っていますね。

若原 なるほど。逆に言うと、日本だとまだそのサービスレベル的なところで言うと、割と一律なサービスが多いという話なんですか?

川延 アメリカと比較した場合で言うと、そういうふうに感じる部分が多いかもしれないですね。広告つきのSVODのサービスって、今パッと思い浮かべて、と言われてもなかなか思い浮かべるのが難しいですね。

それがアメリカだったら、Hulu(フールー)や、今日挙げさせていただいたサービスの中でも、Quibi(クイビー)も確か「広告つき」と「広告つきでない」のでプライスモデルが二つに分かれていたんではないかなと思いますね。

若原 アメリカも、サービスレベルが多様化してきている、という流れなんですか?

川延 そうですね。

スポーツや音楽ライブとの親和性

川延 個人的に感じているのが、多様化がより広がってきているのかなと思っていて。

以前アメリカの同僚と話をしていて面白いなと思ったのが、例えば、NBAの試合の配信を観せるだけでも、年間のフルのシーズンを観せるパッケージがあったり、1試合だけをみせるパッケージがあったり、試合が盛り上がってくるセカンドハーフからだけ観れるような課金形態があったりと、一つ動画の配信と言っても見せ方によってはいろんなパッケージが作れて、いろんなビジネスモデルが作れるのかなと思っています。

若原 なるほど、それは面白いですね。スポーツの中継なんかでカメラを切り替えるみたいな話は昔からよくあることなんですけど、それがもっと多様化して、視聴者のニーズに応じたバリエーションがより拡大していっている、というような感じなんですかね。

川延 そうですね。日本でもマルチアングルのインターネットの配信は結構やられています。

代表的なところで言うと、夏の甲子園はマルチアングルでピッチャーカメラであったり、いろんなアングルのカメラがインターネット上でも観れるんですけど、そこからさらにビジネスモデルに落とし込んでいくと、いろんなパッケージが作れるというのがアメリカが結構先行しているのかなと感じますね。

若原 そういった多様化というのはスポーツコンテンツが先んじて起こるという感じなんですかね?

川延 そうですね。プラスアルファで言うと、スポーツになるとライブの配信になってきたりするので、そのライブの配信の中で特に見たいところや、シーズンものであれば、シーズンの中でも見たいところだけ区切るみたいな感じで、パッケージの作り方ってより多様性があったりするのかもしれないな、と感じますね。

若原 そうすると、スポーツに留まらず、音楽アーティストのライブ配信とか、そういうエンタメ系のコンテンツは、押し並べてそういう特長を広げていきそうな流れはあるんですか?

川延 ありますね。若干、話それるんですけど、スポーツと音楽はライブの配信においては両方ともニーズが強いかなと思うんです。

無料でされているライブの配信の数で言うと、スポーツのほうが、ミュージックコンサートよりは多いかなという感じはするんですが、逆にミュージックは「コンテンツ課金」や「チケット制」でコンサートを見せたりすると、またちょっと違うチャレンジがあって、お金を払ってもらってプレミアムなコンテンツを観せるといったときに、いかに今度は抜かれないようにするか、セキュリティを守るか、みたいなチャレンジもあるのかなと思いますね。

若原 なるほど。特別なビューというか、特別な景色だけに、その場限りにする要望というか、意義がより強くなるということですね。

川延 そうですね。そういうふうに感じますね。

アメリカの動画配信トレンドが日本に来るとは限らない

若原 日本にも同じような流れってやって来得るんですかね?動画配信のトレンドに限らず、孫正義さんがタイムマシン経営みたいなこともよくおっしゃられますけど、アメリカで起こっていることが日本にも流れ込んでくる、みたいな流れってよくあると思うんですが、動画配信のトレンドに関して言うと、川延さん的には日本っていまどういう状況で、今後どんなふうに変わっていきそうでしょうか?見立てっておありだったりしますか?

川延 アメリカのものが必ず日本に来るかといったら、そうでもないかなと思っていて。動画配信、特に放送局の方々とお話をさせていただくと、日本の放送局のモデルってアメリカというよりはイギリスに似ていて、ベンチマークされるところがアメリカよりはイギリスのほうがベンチマークされやすいマーケットなのかなと思っていたりする部分はありますね。

日本の独自モデル「TVer」

川延 日本独特のユニークな取り組みもありまして、日本人も広く使われているサービスなのでご存知の方も多いと思うんですけど、「TVer」というサービスは、各放送局が集まって一つのポータルの中で放送局のコンテンツを見逃しで楽しめるというものなんです。

従来で言うと、放送局ってお互いに競い合ったりするんです。ですが、そういった各社が競い合うのではなくて、一緒のポータルの中で配信をされるというモデルは、なかなかほかの国がやりたくてもできない領域だったというような話をいろんな人から聞いたことがありますね。

若原 それも確かに面白いですね。もともとあった、ある種の商慣習とか、業界内の力学に応じて、取り組める新しい内容も変わってくるということですね。

川延 そうですね。日本が、海外に右に習えでついていくというよりは、日本独自のマーケットに合わせた適切なサービスを展開されているというのが、私がすごく感じているところですね。

若原 なるほど。でも今のお話を伺うだけでも、動画の配信って一言で言っても本当に多様化してきているんだな、ということを、グローバルで見ると感じることができますね。

もしかすると、その多様化の中で新たなビジネスチャンスとか、我々はデータを扱う会社でもあるので、データを扱うチャンスもいろいろ出てきているのかなと改めて感じました。

次のトピックでは、多様化する配信を受け取る側の環境もいろいろ多様化してきているんじゃないかな、ということを感じていまして、そういったことをお伺いしてみたいなと思います。

グローバル・ビデオ・インデックスレポート

若原 次は、多様化する動画配信を受け取る側も多様化していっているみたいな話が伺えたらなと思います。ブライトコーブさんってグローバル・ビデオ・インデックスというレポートを毎年、四半期ごとですかね、出されていると思うんですけど、そのレポートを見ながら、どんな変化を感じられているかみたいなことを伺えたらなと思っています。

川延 そうですね、ありがとうございます。まず「グローバル・ビデオ・インデックスレポート」(参考:2019 Q3 ブライトコーブ GLOBAL VIDEO INDEX)ってどういったものか?というところからお話をさせていただきます。グローバル・ビデオ・インデックスレポートは、今、各リージョンごとのデータを提供できるようになりまして、日本を含むグローバルで視聴者の方々がどのような動画を、どのようなかたちで視聴しているのか、またどのようなデバイスで視聴しているのかというインサイトを、四半期ごとに我々がまとめて発表しているものです。直近では、この3月に、2019年の第4四半期のレポート、2019年10月から12月のトラフィックレポートを我々が分析をしてまとめているという感じですね。

若原 いろいろなインサイトが得られているとは思うんですけど、動画を受け取る側に関して、何でそもそも動画を見ているのか、どういうもので見ている人が増えているのか?、その辺ももしかしたら面白いインサイトが結構見つかるかなと思いまして。

コネクティッドTVによる視聴が増えている

川延 そうですね。一番目立った数字でいくと、先程のOTTのお話に連動するかもしれないんですが、コネクテッドTV、つまりインターネットにつながっているテレビデバイスで見られる視聴傾向がすごく増えてきているのかなと感じていますね。

若原 そのトレンドはいつ頃から出てきているご感覚ですか?

川延 成長率はすごく今高いんですけど、まだトレンド的にはここ数年以内だと思いますね。直近になればなるほど、成長率が高まってきているような印象を受けています。

若原 例えばちょっと前で言うと携帯電話、ワンセグでテレビが観れるっていう話もあったと思うんですが、そういったトレンドとちょっと質が違うのかな?というふうにも見えまして・・。

受信デバイスとコンテンツの親和性

川延 そうですね。携帯のデバイスって、画角のサイズもある程度一定だと思うんです。コネクテッドTVは、画角サイズも違いますし、あえて「刺さっている」という表現を使うんですけど、テレビに刺さるデバイスも、多種多様なデバイスがあるので、「Apple TV」、「Fire TV」や「Android TV」であったりという、もうちょっと幅が広いと思いますね。

ただ、スマートフォンに関して言っても、引き続き高い成長率はデータとしては出てきていますね。

若原 伺って思ったのは、従来型のテレビの受像機というか受信機というんですかね?

それを使って、コンテンツが観れるというパターンも多いと思うので、割と一般のご家庭のお茶の間、慣れ親しんでいる環境で、見やすいということもあって。もしかしたら、その伸びている要因の一つにそういうこともあるのかもしれないのかなかと思いますね。

川延 あると思います。

リーンバックで観る

川延 ただ、違う見方をすると、テレビに親和性が高いコンテンツとスマホに親和性が高いコンテンツがあったりするので、先程の話に戻させていただくと、そこがサービスモデルに逆算すると戻ってくるのかなと思っています。

サービスとしては、本当にスマホだけターゲットにするのであれば、極端な話、コネクテッドTVはプライオリティが下がるでしょうし、逆にこの動画の世界でよく「Leanback(リーンバック)」と言うんですけど、ソファに座ってゆったりもたれてテレビを見るという、そういうのに向いているコンテンツってたくさんあると思うので、そうなるとOTTデバイス向けの配信というのは重要になってくるのかなと思いますね。

若原 それも面白いですね。本来的にコンテンツって最適な視聴環境があったのかもしれないですけど、それが画一的に届けられていた状態から、視聴環境が多様化して、受け取る側も、その最適化を図れるようになってきているというのは、すごく面白いトレンドですね。

川延 そうですね。ポジティブに考えると、サービスの多様化ができるような、よりできやすい時代になってきたので、そう感じますね。

若原 先程コネクテッドTVが非常に伸びているみたいなトレンドを一つご紹介いただきましたが、同じレポートの中でほかにもこんなトレンドがあるよ、みたいな話あったりしますか?

定点観測の重要性

川延 特に僕、日本人で日本に住んでいるという観点でお話させていただくと、今実際使っているデバイスも、iPhoneのデバイスを使ってるんですが、日本に住んでいてiPhoneを使っていて、周りの人もiPhone使っていたりすると、iOSのシェアが世界的に見ても高いのかな?と、ふと思ってしまうことがあるんです。

でも、こういうレポートを定期的に見ることによって、その実態がわかるんです。

今現在で言うと、AndroidとiOSのシェアで言うと、Androidが世界的には60%を超えているので、日本とはぜんぜん違う状態です。アメリカはまだ比率はトントンぐらいなんですけど、近隣国で言うと、東南アジアやほかのヨーロッパとかそういう国々になると、圧倒的にAndroidが増えていたりするので、そういった気づきがあります。

冒頭のお話に戻らせていただくと、四半期ごとに出しているので、四半期ごとにその数字が変わってきたりしますので、定点観測的に、ここが前回と変わってきたんだな、という差分を感じていただけるようなところもビデオ・インデックスレポートのいいところかなと思いますね。

若原 なるほど。このビデオ・インデックスレポートの動きと、最初に一つ目のテーマでご紹介いただいたOTTサービスの変化と上手く掛け合わせると、ビジネスを仕掛ける側にとっても新しい知識が見えそうだな、というのが感じますね。

川延 そうですね。これが1回のスナップショットだけではなくて、変化が楽しめるというか、先がどうなるんだろう?ひょっとしたら次日本はこういう波が来るかな?というような観点で見ていただくと、より興味深く読んでいただけるのかなと思います。

動画もパーソナライズの時代

若原 では、三つ目のテーマに入らせていただきます。今日ご紹介いただいた「動画の届け方」、「OTTサービス」に代表される届け方の変化や、御社が発行されているグローバル・ビデオ・インデックスレポートの中で見られる視聴環境の変化ですね、そういったことを掛け算していくと、そもそも動画配信ってどんなふうに最適化していけるのか?、そこに広告というものが紐づいていくというモデルも少なくないと思うんですが、その「広告の配信の仕方」ってどんなふうに変わっていくのかという話を最後に伺えたらなと思います。

まずは動画の届け方、よくデータを活用するという文脈だと、パーソナライズされる、最適化される、みたいなことがよく話されるのですが、動画配信における「最適化」で言うと、どんなことを今感じていますでしょうか?

川延 広いところからお話させていただくと、今日デバイスや視聴形態のお話もさせていただいたんですが、視聴者が置かれている環境、時間、デバイスなどは、それぞれユニークなものであって、それぞれを掛け合わせることによって、いろんなパターンができると思うんですね。その中で適した動画広告のフォーマットで、ダーゲットとなるユーザーに届ける必要があるのかなと思います。

CSAIとSSAI、2種類の広告挿入形式

川延 動画の広告という観点で言いますと、我々の視点で言うと、広告の挿入の形式が大きく言うと二つあります。一つが、クライアントに依存するようなかたちで、Client-Side Ad Insertion、「CSAI」という言い方をよくするんですね。それぞれ各デバイスごとに広告の入れ方の癖があるので、それぞれに対応するというかたちになっています。

もう一つが、今度は逆に本編と広告をサーバーのほうで1本に縫い合わせて、サーバーからデバイスに落とすような逆のアプローチなんですが、それはServer-Side Ad Insertion、「SSAI」という呼び方をしています。

 今まではCSAIが主流だったんですけど、今後はよりSSAIが主流になってくるのかなと思います。ここだけ見ていると若干話膨らんでしまって申し訳ないんですけど、面白いトレンドがあるのでご紹介します。

実はSSAIって、日本でもここ数年各放送局さんを中心に配信している形式で、スポーツのイベントでもSSAIで広告を入れながら配信をされているケースってあるんですね。

視聴者の観点で言うと、見ていて一番わかりやすいところが、CSAIだと、くるくるっと、広告を呼びに行くときに本編と広告の間に「広告を呼びに行っています」というのがわかるんですね。それがSSAIになると、本編と広告がつながれているので、テレビと同じようなテレビライクな配信ができます。

 日本は、先程申し上げた通り、ライブの世界でも数年SSAI配信しているんですが、逆にVODで言うと、ライブのあとになっていて、まだこれからという状況なんですね。

それが世界になると、VODが先行している国が結構あったりして、ライブがどちらかというと、あとを追いかけてきているということで、日本の独自性みたいなものが、広告の世界でもあるのかなと思いますね。

若原 私の理解不足もあって教えていただきたいんですが、SSAIなるものの広告の挿入の仕方、サーバーサイドで挿入するんですが、その配信する相手によって挿入するものを最適化しながら配信できる、ということになっているんですかね?

川延 そうですね。よくある誤解のうちの一つが、SSAIだとターゲティングができないという話があると思うんですけど、SSAIでもターゲティングはできます。本編と広告が繋がれてはいるんですが、そこは届ける先によって設定次第でターゲティングができるようにはなっていますね。

動画リコメンデーションと、広告ターゲティングのアルゴリズム

若原 なるほど。これ、聞きたいことがすごくたくさん出てくる話で、すごく面白いです。

いろいろ伺いたいんですけど、ある視聴者、例えば、川延さんを視聴者として見たときに、この川延さんという方に、どの動画をおすすめするのか?という最適化と、動画を見ている川延さんに、どの広告をお届けするのか?という最適化があるのかなって思うんですね。

動画コンテンツそのものと広告の配信の仕方って、最適化のやり方が変わるんでしょうか?

川延 動画の本編でも最適化というか、動画の世界で「リコメンデーション」という言い方をしていると思うんですけど、動画のリコメンを利かせることはあって、それに特化したサービスも出ていたりするんですね。

広告の世界でいうと、よりターゲティングだと思うので、属性情報を元に、ユーザーに応じた広告フォーマットを差し替えるというか、いろんな広告を出していく、というのはできるのかなと思います。

もうちょっと掘り下げると、広告つきの動画の配信で、それをどうやってやるのか?となるんですが、それはデバイスIDで、デバイスの属性をとったり、IPをとったりと、いろいろあるんです。

最近は、よくコンテンツを見る前に、無料の見逃しのものでもアンケートをとると思うんですね。ああいうものも、ターゲティングのときには使えるデータかなとは思います。

視聴者属性データの活用可能性

若原 そうすると、広告配信の最適化には、より広範囲のデータが必要になる、言い換えると「活用できる」という考え方なんですかね?

川延 そうですね。収集できるデータが多ければ多いほど、そのデータの使い道っていろいろあるんじゃないかなと思いますね。

先程も少し触れさせていただきましたが、日本では、SVOD、サブスクリプション型のサービスの中での広告つきのモデルというのはないんですが、アメリカでは、例えば、広告ついて月額500円、広告つかなかったら1,000円といったとき、その500円のほうだと、SVODなので、ユーザーの属性情報ってもっととれるはずなんですよね。

なので、やろうと思えばもっとターゲティングができた広告が配信できるんじゃないかなと感じます。

若原 面白いですね。

観ているデバイスにあわせて広告は最適化される

若原 例えば、二つ目に伺った視聴環境が多様化してきているという話も掛け合わせると、コネクテッドTVで同じ動画コンテンツを見ていても、コネクテッドTVで見ている方とスマホで見ている方は、出すべき広告が変わってくる、みたいな話もあり得るんですかね?

川延 できると思いますね。

若原 要は、さっきのLeanback(リーンバック)っておっしゃっていた通り、ゆったり見ている方に受け取られやすい広告と、モバイルで見ている人は、もしかしたら移動中かもしれないので、そういう方に受け取られやすい広告も最適化していくと。

川延 そうですね。いろんな掛け合わせができるんじゃないかなと思いますね。

若原 家で動画を見ている人と、場合によっては、例えば、東京と大阪に新幹線で、出張中の車中で動画を見ている方だと、内容が全然違いますよね。この人これから大阪に向かいそうだな、と思ったらそういう広告を出すとか、あるかもしれないですね。

5G|高解像度・高速通信時代の動画配信とは?

若原 今家にいる時間が、良かれ悪かれ多くなっている人が増えているからこそ、動画配信でできそうなこと、新たに生まれそうな展開など、お感じになられたことってありますか?

川延 今はいろいろ世の中的には動きが多いので、その速い動きの中で動画を掛け合わせるとなると、ライブの配信の目立つ状況かなと思っていて。

急に誰々さんが解禁するとなったら、そこでいかに早くライブをかけられるかというのは、インターネットの世界は機動力があるので、やりやすいのかなと思ったりしますね。

場合によっては、しっかりした機材がなくて、何かブレイキングニュースですぐ撮らないといけないときは、もっと簡易的な、例えばiPhoneを通して配信するとか、そういったことも、今の状況ではなかなか考えづらいんですけど、状況によってはそういうことも出てきたりするのかなと思います。

総じて、今ニュースがよく見られているデータは出てきていますね。

若原 世の中の状況、やっぱり知りたくなりますもんね、こんな時期ですからね。

コロナ禍でトレンドはどう変わるか

川延 そうですね。人類が今まで経験していないような世界なので、それに対するいろんな気持ちがあって、皆さん見ているのかなと思いますね。

コンテンツは、皆さん家にいると思うので、トラフィックは世界的には増えるでしょうね。ただ、これは実際アメリカのほうで出ているデータなんですけど、広告を扱う方々にアンケートを3月の中旬ぐらいにとったらしいんです。

それによると、データ的には、自分たちの広告の出稿や広告のビジネスに対して、今のこのコロナの状況というのは影響を与えるだろう、というのが大きい数字で出てきていたりするんですね。

69%がメジャーなインパクトがあると言っていたり、68%が、2021年にかけても影響が出てくるだろう、というようなデータが出てきていると。それが3月中旬だと考えると、4月だと、もっと高い感じで出てきているのかなと思ったりしますね。

ライブ配信のための機動力

川延 今から、という言い方をしたほうがいいのかもしれないですが、デバイスの世界は、より解像度が上がってくるはずで、4K、その先には8Kが出たり。本当はオリンピックがあって、そういう波がもっと早かったのかもしれないんですが、デバイスの世界でも技術の進化って激しいので、それに対してコンテンツを提供する側からしても、より解像度が高いデバイスに対してどういうふうに届けるかというのはあると思いますし、コンテンツをデバイスに届けるまでの通信の経路で言っても、5Gも今出てきています。

なので、より動画が見られる環境が整ってきたのかなと思います。

特にモバイルだと、5Gによって観れるコンテンツの距離感が近くなると言うか、今までほど構えなくても、よりコンテンツをサクッと観れるような感じになってくるのかなと思うので、そこはだいぶ変わるのかなと思いますね。

視聴環境が多様化する社会に対応する動画配信サービス

川延 見ている視聴者の方の環境やデバイスって、先程申し上げた通りすごく様々なものがあるので、選択肢が増えた世の中においては、届ける側もそれなりにいろんなフォーマットとかカタチがあるでしょうし、逆に言うと、すごく面白い世界かなと思っていて、やりようによってはいろんなカタチが見えたり、可能性が見えたりするので、それが今後どうなっていくのかなというのは個人としても楽しみです。

もちろん僕は、動画の配信の世界にいるので余計に楽しみなのかもしれないんですが(笑)。確実に次回、例えば1年後にこういったお話をさせていただくと、あのときこんな話をしていたけど、今こんなふうになったね、みたいな動きがあるんじゃないかなと思います。

若原 なるほど。ありがとうございます。今日は、本当にいろいろなお話を伺えたと思っていまして、動画の配信が、届け方がどう変わってきているか、受け取り方がどう変わってきているか、それにまつわる新たなビジネスチャンスの可能性もいろいろ伺えました。

実際、広告に関して言うと、出稿される企業や、あとはメディアに携わられている企業に非常に参考になる話が多かったなと思います。本当にありがとうございました。

川延 いえいえ。

若原 ご紹介いただいたグローバル・ビデオ・インデックスレポートも、ご興味ある方はぜひご覧ください。今日教えていただいたトレンドは引き続き追っていけますので、ぜひ皆さんご覧になっていただければと思います。

川延さん、本当に今日は貴重なお時間とお話をいただきまして、どうもありがとうございました。

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最後までお読みいただきありがとうございます。
川延さんとの対談は以上になります。

引き続き、当サイトでは弊社エバンジェリストの若原と各界の素敵なゲストによる対談やソリューションパートナーをご紹介していきます。

ぜひお楽しみに。

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トレジャーデータ株式会社

2011年に日本人がシリコンバレーにて設立。組織内に散在しているあらゆるデータを収集・統合・分析できるデータ基盤「Treasure Data CDP」を提供しています。デジタルマーケティングやDX(デジタルトランスフォーメション)の根幹をなすデータプラットフォームとして、すでに国内外400社以上の各業界のリーディングカンパニーに導入いただいています。
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